ダブルウォールテントという自立式タイプのテントにおいて、インナーテントとフライシートの間に生まれる空間を前室と呼びます。前室があれば靴を置いておいても雨に濡れることはありませんし、ここで煮炊きをすることもできます。テントの前室は、山で快適な夜を過ごすうえでとても重要な役割を果たしてくれるのです。
前室が広ければ広いほど快適性が高いといえますが、その分、手間や嵩、重量は増えると考えてよいでしょう。歩行中の快適性をとるか、居住時の快適性をとるか、好みが分かれるところだと思います。ですが、個人的に前室のないテントはいくら手軽で軽くても興味が湧きません。テントは人が横になるだけの狭い空間ではありますが、その空間が快適であればあるほど、一国一城の主になったような満足感が得られるからです。
ここで紹介するのは、そんな前室空間を新しい発想で作り出す「オニドーム」というテントです。これは日本を代表する老舗テントメーカー「アライテント」の新作。日本の気候や山に合わせたテントをつくり出すアライテントは、数々のロングセラー商品を生み出していますが、この新作オニドームも間違いなく代表商品として長く広く使われていくことでしょう。
その最大の理由は、前述の前室にあります。オニドームの底面部には鬼の角のような部分が2か所あり、この角が前室をつくり出すポイントなのです。
通常のダブルウォールテントは、フライシートをペグで固定することによって前室部分をつくり出します。対するオニドームは、インナーテントにフライシートを被せ、角の先端部分に固定するだけで前室ができあがります。
鬼の頭でいうところの頭頂部が、ちょうど玄関のような空間になるのです。ペグを忘れたとき、ペグが刺さらないような地面のときでも、前室がつくれる。これはユーザーとしてありがたいことですし、何よりも新しい発想ですよね。
それでは室内を見てみましょう。奥側にサーマレストのマットを敷いて、その横にSOTOのミニテーブルを置く余裕があります。一番長い長辺がマットを敷いた奥側になるので、この配置がスタンダードになるでしょう。もちろん、左右の角部分にもスペースがありますので、ここもしっかりと活用することができます。
こちらはインナーテントのみを上から見たところです。写真のとおり、奥側が長辺であることがよくわかると思います。
テントはその形状からどうしても壁が斜めになるため、中央に寝たくなるのですが、オニドームの場合は壁の傾斜が急なので、奥側に寝ても圧迫感をほとんど感じません。ただし、この面で思いっきり風を受けないような設営を心がける必要があります。
また、室内空間の高さも快適性における重要なポイントです。モデルの身長は170cmほどですが、天井部まで十分な余裕があることがわかります。前室で煮炊きをしていても、まったくストレスを感じることはないでしょう。
インナーテントの出入り口は、上部分をメッシュパネルにすることが可能。奥側の換気窓と合わせ、室内の換気を促してくれます。四季の寒暖差が激しい日本の気候に合わせた設計がなされているのは、さすが国産メーカーといったところです。
信頼度と安定感抜群のアライテントの新作オニドーム。なお、このオニドームには2人用の「オニドーム2」もあります。テントデビューの1張目にもオススメですが、買い替えを検討している人、2人用のテントが欲しいと思っている人への2張目としても、絶対の自信をもってオススメします。
【製品概要】
重量:1290g(本体+フレーム+フライシート)
サイズ:設営時/間口148(最大230)×奥行122(就寝部82)×高さ97cm、収納時/30×13φcm
カラー:本体/クリーム、フライ/オレンジ、シート/グレー
素材:本体/28dnリップストップナイロン、フライ/30dnリップストップナイロンPUコーティング、シート/40dnナイロンタフタPUコーティング、フレーム/NSL9フェザーライト(DAC社製)
価格:4万3000+税
※別売で専用のアンダーシートもあります
【URL】