戦後、日本独自の文化として生まれ、いまなお老若男女問わず観る者を楽しませてくれる特撮。なかでも、我らがヒーロー・ガメラは度重なる怪獣たちの攻撃から私たちの街を救ってくれた。現在、東京・六本木ヒルズ展望台東京シティビューで開催中の「大都市に迫る 空想脅威展」は、そんなガメラの活躍や怪獣たちが破壊してきた世界にスポットを当て、現実の都市をリアルに再現した模型と都市を襲う怪獣たちを「空想脅威」という形で表現した、なんともファン心理をくすぐるイベントだ。その全貌を体感すべく、さっそく会場を訪れてみた!
■まずは怪獣や悪の組織の歴史をおさらい
会場に入ると、最初に目に飛び込んでくるのが真っ二つに折られた東京タワーに営巣するギャオスの姿。1995年に公開された記念すべき平成ガメラシリーズ第一作「ガメラ 大怪獣空中決戦」のワンシーンだ。その奥には、東京の街並みを縮尺1/1000スケールで再現したジオラマが左右に並ぶ。このジオラマは目線の高さを子どもに合わせているそうだが、大人も腰をかがめれば、まるで自分が怪獣になって町を見下ろしているかのような感覚を楽しむことができる。また、壁には「空想脅威年表」も。ここでは時代ごとの社会情勢に関連しながら誕生してきた怪獣たちの歴史のほか、“悪の組織”の変遷などを紹介している。
■撮影で使用した本物のガメラが目の前に!
さらに進んだ先で出迎えてくれるのは2体のガメラ。一方は昭和版のガメラで、もう片方は平成版ガメラだ。平成版のほうがやや大きく、全体的に攻撃的なフォルムになっている。いずれも触れることは厳禁だが、間近で見られるのでディテールの違いを堪能してみよう。その隣では平成ガメラの歴代映画ポスターや絵コンテ、シナリオといった貴重な資料も展示。また、壁に設置されたモニターでは、1996年公開の映画「ガメラ2 レギオン襲来」の設定を踏襲し、“もし現在レギオンが襲来した場合、いかにして撃退するか”をシミュレートした約15分間の特別動画「緊急シミュレーション 最終防衛線2016」も上映。こちらは自衛隊監修のもと作られており、まさにマニア必見の映像といえる。
■大型パノラマを見下ろし、怪獣の目線を疑似体験!
東京近郊を襲った怪獣たちを紹介するパネル展示を過ぎると、再び1/1000スケールのジオラマが登場。ここは“都市に迫り来る空想脅威”をテーマにした空間となっている。押井 守監修による高解像度の都市空撮映像「東京スキャナー」と、悪の象徴ともいえる永井 豪のマンガ「魔王ダンテ」「デビルマン」のコマ画像が並ぶ。東京の街を再現した模型を融合させたこのエリアに足を踏み入れることで、自分自身が空想脅威の一部になった気分を味わうことができる。
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そのほか、会場の外には特撮の関連図書がずらりと並ぶ読書エリアや限定グッズが購入できるショップ、さらには一日限定20食のガメラバーガーなどが味わえるカフェのコラボメニューなども出現。また、会場内はすべて写真撮影可能なので、心ゆくまで特撮の世界に浸ってみてはいかがだろう。
【展示会情報】
大都市に迫る 空想脅威展
会期:2016年9月24日(土)~11月13日(日)
会場:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー
開場時間:10:00~22:00(最終入場21:30) ※10月20日(木)は10:00~18:00(最終入場17:00)
料金:一般 1800円 / 高校・大学生 1200円 / 4歳~中学生 600円 / シニア(65歳以上) 1500円
文・写真/倉田モトキ