〜玉袋筋太郎の万事往来
第24回JELLY JELLY CAFEオーナー・白坂翔
全日本スナック連盟会長を務める“玉ちゃん”こと玉袋筋太郎が、新旧の日本文化の担い手に話を聞きに行く連載企画。第24回目のゲストは、ボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」のオーナーで、テレビやラジオなどのメディアを通じてボードゲームの魅力を発信する白坂翔さん。池袋2号店を訪問して、童心に帰ってボードゲームを楽しみながら、その深淵なる魅力に迫る!
【公式サイト:https://jellyjellycafe.com/】
(構成・撮影:丸山剛史/執筆:猪口貴裕)
ボードゲームにハマったのは「タマフル」がきっかけ
玉袋 広々として綺麗なスペースだけど、激しい場所に(お店を)構えているんだね。別の意味のゲームカフェ(賭場)が近くにありそうだ(笑)。
白坂 このあたり、お詳しいんですか?
玉袋 いやいや。昔、女を連れ込んだホテルがあるぐらいだけどね。
白坂 カップルで来るお客さんも多いんですけど、ちょっと来にくさはあるかもしれないですね。
玉袋 もったいないね。でも逆にいいのか。滅多に行けないようなところに行くみたいな、ダンジョン的な場所でね。
−−ここはオープンして何年ぐらいなんですか?
白坂 4年ですね。池袋2号店なんですけど、池袋1号店がここから徒歩5分ぐらいの場所にあって。そちらが、ありがたいことにすぐ満席になったので2号店を作ったんです。
玉袋 「JELLY JELLY CAFE」自体は、確か「たまむすび」で取り上げたことが記憶があるな。
白坂 「たまむすび」さんは何度か使っていただいています。意外とボードゲームはラジオとの相性も良かったりするんですよ。「声だけでできるボードゲームをやりましょう」みたいな企画で、何度かラジオで紹介していただいています。
玉袋 「すごろくや」とは関係性ってあるの?
白坂 情報交換をするなど、仲良くさせていただいています。「JELLY JELLY CAFE」はボードゲームで遊ぶ場所ですけど、販売もしているんですよ。「すごろくや」さんは販売がメインですが、「すごろくや」さんから仕入れて販売もしていますし、逆に私どもの商品を仕入れていただいています。ライバルであるんですけど、取引先でもありますね。
玉袋 そうなんだ。俺は客として、よく「すごろくや」に行ってたんだ。
白坂 「すごろくや」さんは2022年12月に、創業地の高円寺店から吉祥寺に移転したばかりなんですよ。
玉袋 それは知らなかった。高円寺時代は、あそこでサイコロを買ったりしてね。
白坂 たくさんボードゲームがあるのに、サイコロだけ買いに行ったんですか(笑)。
玉袋 一番簡単じゃない。「チョボイチ」とかね。あと究極のゲームと言われる「手本引き」も買ったよ(笑)。
白坂 確かに「手本引き」って 究極のゲームって言われてるんですけど、ボードゲームカフェとは相性が良くないんです。やっぱり賭博のイメージが強いですからね。
玉袋 え? (賭博は)駄目なんだ。
白坂 「駄目なんだ」じゃないんですよ(笑)。「そうだよね」じゃないですか!
玉袋 ま、そうだな(笑)。でもお正月とかに家族でやるのはいいじゃない。もちろん賭博、ダメ! ゼッタイ!
白坂 韓国では過去にボードゲームカフェで賭博が行われていて、摘発されたのをきっかけに、ボードゲームカフェ自体がどんどん減っちゃったんですよ。
玉袋 白坂さんがボードゲームカフェを閃いたのはいつぐらいなんですか?
白坂 10年ぐらい前です。もともと「JELLY JELLY CAFE」はコワーキングスペースだったんです。夜にお酒が出したり、DJイベントをやったり、いろんなことをしていく中で、僕個人の趣味でボードゲームを20個ほど置いていたんです。家に置いてあっても、友達を呼ばなきゃ遊べない。だからお店に置いて、自由に遊んでいいよみたいな形でお客さんに貸し出していたんです。そしたら、それ目的のお客さんが増えて、ボードゲームイベントを週一回ぐらいやっていたら、業績が伸びたんです。それでコワーキングスペースをやめて、途中からボードゲームカフェに切り替えました。
玉袋 へ~! そもそもボードゲームにハマったきっかけは?
白坂 それこそ「すごろくや」さんですね。27、28歳ぐらいまでは、「UNO」と「オセロ」と「人生ゲーム」しか知らなかったんです。そんな時に「タマフル(ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル)」に、「すごろくや」さんの社長さんが出演して、ボードゲームを流行らせたいと頑張っていることや、今面白いボードゲームなどをお話ししているのを聞いて、興味を持ったんです。
玉袋 「タマフル」で「すごろくや」を取り上げた時は俺もいたよ! 大晦日だ。
白坂 いらっしゃいましたか! かなり前ですよね。
玉袋 家が近所だったから遊びに行ったんだよ。向かいのすしざんまいで寿司を買って、差し入れで持っていったんだ。最初にハマったボードゲームは何ですか?
白坂 「ワードバスケット」という、スピード勝負で日本語を上手く使うしりとりのボードゲームです。
玉袋 「もじぴったん」みたいなもんだな。
白坂 近いですね。文字遊びで語彙力を競い合うゲームです。それまで「UNO」しか知らなかったから、「こんなのあるんだ!」というのから入って、いろいろ集めだしたら止まらなくなったんです。
玉袋 店内に置いてあるボードゲームを見ると、海外のものが多いよね。
白坂 そうですね。8割はドイツです。ドイツはボードゲーム大国で年に一度、ボードゲームのアカデミー賞とも言われる「ドイツ年間ゲーム大賞」も開催しています。
玉袋 そういえばテレビのドキュメンタリーで見たことあるな。
白坂 ドイツから世界にボードゲームが広まっている状況で、今は日本でもじわじわ伸びています。だから日本のメーカーさんも頑張ってるんですけど、海外製のものが圧倒的に多くて。すごく売れているのは、海外のものを日本語に翻訳したボードゲームです。
――ここで扱っている海外のボードゲームは、全て日本語に翻訳されたものですか?
白坂 そうです。日本語で全部ルール説明があります。
玉袋 ちょうど今、荒木一郎の小説を読んでるんだけどさ。荒木一郎が1969年ぐらいにロサンゼルスに行って、あの人はマジックにも造詣が深くて、トランプにも詳しいけど、その時に日本に入ってないボードゲームを2つ買ってきたんだよ。それで仲間と遊んでいたらしいんだ。先見の明があるよね。
白坂 それはすごい。今でこそ日本にも普及しましたけど、「すごろくや」さんが創業した2006年でも、まだまだ海外のボードゲームは知られていなかったですからね。そこに目をつけていたのは、すごいと思います。
――どうして海外ではボードゲーム人気が高いんですか?
白坂 諸説あるんですが、海外は家族で過ごすことを大切にするので、みんなで家の中で楽しめるボードゲームが好まれると言われています。
ボードゲームは運の要素や駆け引きの心理戦があるから、誰でも勝てる可能性がある
玉袋 俺がちっちゃいころだと「ウォーゲーム」があったよね。
白坂 「ウォーゲーム」は今でもコアなファンが多くて、広義の意味ではボードゲームですなんですけど、ルールが複雑なんですよね。最近流行っているボードゲームは、親子やカップルでも手軽に遊べるものが主流だからこそ、間口が広がったんです
玉袋 子どもの時に「ウォーゲーム」を買ったんだけど、本当に難しかったから、「人生ゲームでいいや」って埃を被っちゃってさ。当時だと「億万長者ゲーム」も人気があったよね。
あと「金田一耕助の推理ゲーム」っていうのもあって、あれも面白かったな。家の間取り図があって、そこで殺人事件が起きて、凶器と場所と犯人を当てるみたいなゲーム。ちゃんと推理メモがあって、それを消して解明していくんだ。定番だと「人生ゲーム」は、ずっと出てるわけだからすごいよね。
白坂 いまだに毎年、新しいのが出ていますからね。
玉袋 「人生ゲーム」はアメリカの「THE GAME OF LIFE」が元だけど、おそらく日本みたいに毎年バージョンアップはしてないでしょう。俺がやってた「人生ゲーム」なんて、最後に金がなくて子どもを売っちゃってたからね。人身売買だよ。
白坂 ええ! ローカルルールじゃなくてですか?
玉袋 ローカルルールじゃないよ(笑)。今は絶対にアウトだな。デジタル版に移植されているボードゲームもあるの?
白坂 ありますけど、逆が多いですね。もともとデジタル版だったものがボードゲームにもなるっていうパターンが結構あります。代表的なものだと「フォールアウト」がそうです。数字を持っているから、ボードゲームにしても売れるんです。
玉袋 「フォールアウト」のボードゲームなんてあるんだ。それにしても、かっこいいパッケージが多いよね。
白坂 日本ではなかなか見ないようなパッケージが多いですよね。
玉袋 俺もボードゲーム買おうかなんて、Amazonで調べていた時期があってさ。スナックに置いてあったら盛り上がるだろうってことで、「マスターマインド」を買おうかなと思ったんだ。何せスナックでやるゲームなんて「チンチロリン」ぐらいしかないからさ(笑)。
白坂 「チンチロリン」ってお金を賭けないで盛り上がるんですか?
玉袋 お店だけで使えるチップを渡して、一番勝った人にはボトルプレゼントってことでやったら盛り上がったよ。それだったらセーフでしょう?
白坂 完全にセーフです(笑)。
玉袋 チップにもこだわって、いいのを買ってさ。よく裏カジノで押収されるようなチップにしたんだ(笑)。ここは年齢制限ってあるの?
白坂 ないです。
玉袋 一番下だと小学生ぐらい?
白坂 たまに土日の午前中に親子イベントをやっているので、下は3、4歳ぐらいのお子さんもいらっしゃいます。順番を守ってサイコロを振りましょうとか、勝ち負けじゃなくて、ゲームを通して“学ぶ”みたいなことをやっています。
玉袋 いいね。この間、プロレスライターの堀江ガンツと話したら、彼のおじいちゃんは栃木で民謡の師匠をやってるから、正月になるとものすごい人が集まってくるんだ。それでご挨拶した後に宴会が始まって、みんな酒が回ってくると、「回り将棋」を始めるんだって。それで大の大人が、恐ろしいほど盛り上がるらしいんだよね(笑)。久々にやりたくなったよ。「回り将棋」は、いい駒じゃないと、ちゃんと立たないんだ。
――ちなみに高田馬場には系列店の「将棋カフェCOBIN」があるんですよね。
玉袋 そうなの!?
白坂 ボードゲームが流行ってきた流れで、ちょっとした将棋ブームもあったんです。僕自身、将棋のルールは知ってたんですけど、本格的に始めたのは、ここ5年ぐらいで。
玉袋 段位は持ってるの?
白坂 1級です(笑)。
玉袋 荒木一郎は4段だよ。もともとミュージシャンであり、俳優であり、カードマジック研究者でもあり、多彩だよ。まあ、荒木一郎の話はいいんだけどさ(笑)。それで将棋にハマって、どうして将棋カフェを始めたの?
白坂 将棋道場に通っていたんですけど、客層が偏っていて、ほぼ小学生かおじいちゃんしかいないないんです。僕が行くと浮いちゃうみたいな感じで、みんな黙々とやっていて。これは30代や40代の社会人が、ビールを飲みながら将棋を指せる場所を作りたいということで、高田馬場に将棋カフェを作ったんです。今は「観る将」といって、将棋のルールは知らないんだけど、観るだけという棋士のファンがいるんですよ。けっこう「〇〇先生を応援してます」みたいな女性ファンも多くて、なかなか将棋道場には遊びに行けないから、うちの将棋カフェに来てくれるんです。指さずに、将棋トークをしに来るだけの方もいますね。
玉袋 俺も「回り将棋」の話をしているんだから似たようなもんだけどな(笑)。あと、ちっちゃいころは「軍人将棋」ね。あれも将棋から外れたボードゲームの一緒でしょう。
白坂 まさしくそうなんです。あれも駆け引きがありますからね。ボードゲームのいいところって運の要素が入るところなんです。将棋や囲碁って実力差があったら絶対に勝てないじゃないですか。でも「軍人将棋」とかって運の要素や、駆け引きの心理戦があるから、誰でも勝てる可能性があるんですよね。
同じ時間、同じ場所に集まらないとできないボードゲームは贅沢な遊び
玉袋 「ポケモン」カードとか、「遊戯王」カードとかも市場はすごいんでしょう。
白坂 よくご存じで。あれも、すごく広く言えばボードゲームの一種なんですが、「TCG(トレーディングカードゲーム)」と言われるジャンルで、またちょっとコミュニティが違うんです。1枚何百万円とか異常なプレミアがついているカードも多くて、お金をかけて集めて、自分だけの最強のデッキを作って大会に出るみたいな。そういう競技的になっていて、お金がないとできないんです。
玉袋 車いじりと一緒だな。最強のチューンアップをして走るみたいな。この間、秋葉原にあるポケモンカード屋が襲われたよね。それぐら儲かってるってことだな。「遊戯王」も人気が高いの?
白坂 いまだに人気がありますね。転売屋が発売日に買い占めたり、抽選じゃないと買えなかったり。本当に欲しいちびっこたちが買えないんですよね。だから大人の遊びになっちゃってるというか。「遊戯王」なんて作ったら作っただけ売れるから。「遊戯王」のカード事業部は“造幣局”と呼ばれているらしいです(笑)。
玉袋 ブシロードなんかもそうだもんな。
白坂 本当に何でも詳しいですね(笑)。ブシロードさんの「カードファイト!! ヴァンガード」は根強い人気です。
玉袋 考えてみたら、昔からプロ野球のカードゲームで遊んでいたよ。あれもサイコロだった。本当の野球チームみたいにベストナインを作って、先攻後攻でサイコロを振って戦うんだ。時代によって遊ぶものは変わってきたし、テレビゲームだスマホゲームだって流行ってきたけど、ボードゲームは昔からあるから、いわば原点回帰だよな。
白坂 実際に会わなくても、イヤホンをして、スマホやNintendo Switchで友達としゃべりながらゲームができちゃう時代に、わざわざ同じ時間、同じ場所に集まらないとボードゲームはできません。言ってしまえば、贅沢な遊びというか。僕も子どものころはよくテレビゲームで遊んでいたんですけど、ずっと画面を見ているだけじゃないですか。でもボードゲームって対面で相手の表情を見ながらやるから、テレビゲームでは味わえない娯楽なんですよね。
玉袋 前に「たまむすび」のメンバーが集まって、ホテル三日月で忘年会をやったんだよ。それで、みんな酒が入ってさ、俺はサイコロを持って行ったんだけど、赤江珠緒さんがトランプを持ってきて、「みんなでババ抜きをやろう」って言うんだ。ところが20人以上いたから終わらないんだよ(笑)。でも対面で遊ぶのは幾つになっても面白いよ。子どもたちだってそうでしょう。
白坂 最近、うちで全国の児童館などにボードゲームを寄付しているんです。そうすると小学校が終わった後に、その児童館に行って遊んでくれるんです。
玉袋 いい取り組みだね。
白坂 子どものころにボードゲームに触れると、将来大人になってからボードゲームに戻ってきてくれたり、ここに遊びに来てくれたりするんです。あとボードゲームだと親御さんの財布も緩みやすいというか、テレビゲームは難色を示すけど、「ボードゲームならいいか」と買ってくれるんです。
玉袋 確かにそうかもしれない。俺のせがれも小さい時からテレビゲームをやっていたけど、それだけじゃ駄目だってことで、一緒に「すごろくや」に行ったもんな。それで「ごきぶりポーカー」を買って、正月に家族でやって盛り上がったよ。
正解がないボードゲームは遊ぶメンツによって答えが変わってくるのが楽しい
――幾つかオススメのボードゲームを紹介してほしいんですが、まず自社商品はいかがでしょうか?
白坂 「エモラン」です。最近、大喜利系ゲームの人気が上昇しているんですけど、このゲームは、「はずかしいこと」とかいろいろなテーマに沿った答えを全員が書き、親プレイヤーはそれぞれの回答をランキング付けします。子は狙い通りの順位に選ばれるような答えを書くんですが、たとえば5位だったら、「ちょっとはずかしいこと」を書いて、その回答を見た親が何位かを当てるんです。
玉袋 確かに大喜利だ。面白いね。頭使うわ。これは家族でやっても盛り上がるよ。
白坂 「エモラン」みたいなゲームって正解がないんですよね。将棋とか囲碁は「この手が一番良い」っていう正解があるじゃないですか。でも、正解がなくて、遊ぶメンツによって答えが変わってくるのがいいんですよね。
玉袋 自社商品は海外にも出しているの?
白坂 毎年ドイツで開催されているおもちゃショーに出展して、我々が作ったゲームをドイツ、フランス、イタリアなどに向けて翻訳して、海外のメーカーさんに売り込んでいます。
玉袋 それでドカンと当たったら最高だね。
白坂 夢がありますよね。日本はドイツやアメリカに比べるとボードゲーム後進国なんです。いまだに国内で「ボードゲームのお店をやってます」と言うと、「人生ゲームですか」と言われることが大半で、こんなに世界にはたくさんボードゲームの種類があると知られていないんです。
玉袋 ただ発展途上国だからこそ、伸びしろもあるよね。
――自社製品の企画は誰が考えるんですか?
白坂 僕も考えるんですけど、社員全員、ボードゲームが好きで入社してるので、店長や営業担当にかかわらず、みんなからアイデアを出してもらっています。あと「ゲームマーケット」というボードゲーム版のコミケみたいなイベントがあって。個人でゲームを作って、売る人も多くて、そういう場所に素晴らしい原石がいるんですよね。そこで声をかけて、「うちでリメイクさせてくれませんか?」と交渉することもあります。
玉袋 素人が作ったゲームには、突拍子もないアイデアがありそうだもんな。
白坂 最近はYouTuberさんが企画でやっていたゲームを、ゲーム化することもあります。テレビのバラエティ番組でやっているゲームも、カードゲームにしようと思えばできたりしますからね。
玉袋 確かにそうだな。でも、その中で王様だと個人的に思うのはサイコロだな。シンプルに削ぎ落した最高のゲームがサイコロなんじゃないかと。だから「すごろくや」で何面もあるサイコロも買ったよ。「クイズ!脳ベルSHOW」に出た時に、そのサイコロを最後のすごろくで出したら9が出て怒られちゃったよ(笑)。
白坂 やっぱり6面のサイコロが一番ですか?
玉袋 そうだね。常に財布にも入れているから。こないだ財布を落としちゃったんだけど、運よく出てきたんだ。警察に取りに行った時、一応中身を確認しますってことで財布を開いたらサイコロが出てきてさ。「これ何に使うんですか?」って聞かれたから、「お守りです」って言ってね(笑)。サイコロが5個あればポーカーもできるんだから。
白坂 初心者向けで、気軽にできるってことで言うと、サイコロのボードゲームはルールも簡単でウケが良いんです。運の要素が強くて、実力差が出にくいので人気があります。中でも「ストライク」はオススメですね。
玉袋 初めて聞いたよ。
白坂 コロシアムの中にサイコロを投げ入れて、ゾロ目を揃えると、サイコロをもらえるというメンコのようなボードゲームで、サイコロのぶつけ方も重要なんです。サイコロを使ったボードゲームで言うと、1993年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞した「ブラフ」や、サイコロを使って誰よりもお金を稼ぐことを目指す「ベガス」なんかも人気があります。
(※しばし、二人で「ストライク」をプレイ)
玉袋 これは面白いな! さっそく買って帰ろうかな。
白坂 わりとルールも簡単なので、初めてのお客さんでも楽しめるんですよね。やっぱりルール説明に10分20分とかかっちゃうと、嫌になっちゃいますから。
玉袋 「ストライク」は子どもでもできるよ。
白坂 うちの子どもも、まだ小さいんですけど、よくやってます。
(※続いてライター、玉ちゃんマネージャーも加わって4人で「ブラフ」をプレイ)
玉袋 いやぁ、駆け引きが大切だね。こりゃあタヌキが強いよ。やっぱりボードゲームにも人気のメーカーってあるの?
白坂 そうですね。あと「あのゲームを作った人の新作なら面白い」ってことで、作者さん(ボードゲームデザイナー)で買う人も多いです。
玉袋 トップで言うと誰なの?
白坂 知名度で言うとライナー・クニツィアが現役では一番ですかね。2004年に亡くなりましたが、アレックス・ランドルフは「ボードゲーム界の手塚治虫」と言われていて、「ガイスター」や「ハゲタカのえじき」などは後世に影響を与えています。
玉袋 「ガイスター」は俺も持ってるよ。「すごろくや」に行った時に薦められて、最初に買ったボードゲームだ。せがれとよくやったよ。
白坂 「ガイスター」は2人用のゲームで、チェスや将棋のようにお化けのコマを配置して戦わせるんですけど、シンプルなルールなのに奥が深くて、親子やカップルにもオススメです。
――今はお店の景気はいかがですか?
白坂 コロナ禍で落ち込んでいたんですけど、だいぶお客さんも戻ってきました。ただ現在、全国に13店舗あるんですけど、ボードゲーム業界という狭い中で、お店もどんどん増えているので、ライバルも多くて大変です。
――今後の出店計画はいかがですか?
白坂 コロナ禍前はいけいけどんどんで出店していたんですが、今は新規出店を控えています。そんな中で将棋カフェのようなスピンオフのお店が好評で、今水面下で動いているのが「大喜利カフェのボケルバ」です。大喜利もコアなファンが多くて、素人がお笑いファンを集めて、プロのように大喜利をするコミュニティがあって、公民館などを貸し切ってイベントを開催しているんです。それをお店の形にして、春ぐらいに秋葉原でオープン予定です。
玉袋 大喜利で素人に負けちゃったら恥ずかしいから、俺は怖くて近づけないな(笑)。
白坂 何度か素人の大喜利イベントを観に行ったんですけど、プロよりもゲラで笑ってくれるんです。なぜかというと、自分の回答も笑ってほしいから(笑)。優しい空気感に包まれているから需要はあると思うんですよね。
玉袋筋太郎
生年月日:1967年6月22日
出身地:東京都
1987年に「浅草キッド」として水道橋博士とコンビを結成。
以来、テレビ、ラジオなどのメディアや著書の執筆など幅広く活躍中
一般社団法人全日本スナック連盟会長
スナック玉ちゃん赤坂店オーナー(港区赤坂4-2-3 ディアシティ赤坂地下1階)
<出演・連載>
TBSラジオ「たまむすび」
TOKYO MX「バラいろダンディ」
BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」
CS「玉袋筋太郎のレトロパチンコ☆DX」
夕刊フジ「スナック酔虎伝」
KAMINOGE「プロレス変態座談会」