老後2000万円問題を不安視するなら、iDeCoを活用して、公的年金に上乗せできる老後資金を用意しましょう。毎月の拠出額次第では、所得税・住民税の節税効果も非常に大きいのもポイントです。本記事では、iDeCoの口座開設ステップと職業別の拠出限度額について経済ジャーナリストの頼藤太希さんに教えていただきました!
※こちらは「GetNavi」 2023年5月号に掲載された記事を再編集したものです。
私が教えます
経済ジャーナリスト 頼藤太希さん
Money&You代表取締役、中央大学客員講師。19万部超のベストセラー「はじめてのNISA&iDeCo」(成美堂出版)など、投資関連の著書多数。YouTube「Money&You TV」でもお金の情報を発信中。
節税効果にあやかりながら老後資金を作る
What is iDeCo (イデコ)
(個人型確定拠出年金)年金の不足ぶんを補うための制度。
掛金が全額所得控除になり、所得税や住民税を節税できる。さらに運用益は非課税、受取時には退職所得控除または公的年金等控除、と3つの税制優遇を享受できる。
iDeCo最大のメリットは、資産形成をしながら節税ができることです。加入している年金の種類により拠出限度額は細分化しているので、どのくらいの恩恵があるのかチェックが必要です。
よく「NISAとiDeCo、どっちが良い?」という質問を受けます。月10万円以上を充てられるなら、併用を推奨。所得が多ければ、節税の効果も一層増します。月1万円ほどなら、自身の年齢や性格も判断材料です。老後資金を作りたいけれど半ばで切り崩すのが心配なら、iDeCoを検討。60歳まで引き出せないこともある種のメリットです。一方、ライフステージに合わせて徐々に切り崩したい場合は、NISA一択です。
投資信託のほか、定期預金と保険も投資対象ですが、商品の選び方はNISAと同じで大丈夫。優良な投資信託で、長期・分散・積立を実践しましょう。
iDeCoの職業別 拠出限度額
自営業・フリーランスの場合
拠出限度額 6万8000円/月
1年間の節税額 課税所得300万円の場合
最大 16万3200円
国民年金のみの受給の場合、令和5年時点で月約6万8000円(満額の場合)。今後の大幅増の期待も薄いので、iDeCoで老後の資金を確保したい。掛金は年間最大81万6000円で、同じく所得控除となる小規模企業共済を併用すると効果大。
年末調整による還付金をプチボーナスとして楽しもう
会社員(企業年金なし)の場合
拠出限度額 2万3000円/月
1年間の節税額 年収600万円の場合
最大 5万5200円
会社員にとって、iDeCoは数少ない節税対策のひとつなのでぜひ活用したい。厚生年金に上乗せする“三階建て部分”のため、多少のリスクを取りながら積極的に増やす商品を選ぶのも良い。最大拠出額は勤務先の企業年金制度によって異なる。
節税効果は一部の人のみ投資の一環として活用!
パート・専業主婦(主夫)の場合
拠出限度額 2万3000円/月
1年間の節税額 年収200万円の場合
最大 4万1400円
パートや専業主婦の場合、節税効果は限定的。扶養の範囲で働いた場合、103万円以上(住民税は約100万円以上)の年収の場合に税金が控除される。自分用の年金を確保するための投資を主な目的に、積極運用する商品を選ぶのも良いだろう。
物価上昇時の対策としてインフレに強い商品を
公務員の場合
拠出限度額 1万2000円/月
1年間の節税額 年収600万円の場合
最大 2万8800円
共済年金が厚生年金に一本化され、老後の保障が縮小した公務員では、補填策としてiDeCoを利用するのもオススメ。拠出限度額が低いことや、インフレ時の昇給率の遅さなどを考慮し、株式やREITで積極運用する商品を選ぶのも一案だ。
iDeCoの口座開設STEP
【STEP1】 申込書の取り寄せ、返送
加入申込は証券会社で行う。
まずは「個人型年金加入申出書」(下図参照)を記入・返送。証券会社によって、運用可能な商品の種類や運営管理手数料が異なるので、資料を確認して証券会社を選ぼう。月々の掛金は5000円以上、1000円単位で決められる。
【STEP2】 加入審査
会社員や公務員の場合、勤務先が記入した証明書類とともに、証券会社に申込書を提出。証券会社経由で国民年金基金連合会へと送られる。加入資格の確認・審査が行われ、1~2か月で口座開設が完了。通知書等の書類とともに、IDやパスワードが届く。
【STEP3】 初期設定を行う
口座の開設が完了したら、iDeCoの管理画面にログインして、どの商品に拠出するか初期設定を行おう。掛金をどの商品で運用するか、1%単位で配分指定を行う。一定期間指定をしないと、証券会社が指定する商品が自動的に購入されるので注意したい。