ライフスタイル
2015/10/23 10:45

【アスクル/ローソン/住友化学】有名企業がコメ作り&販売に続々と参入! その背景とは?

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TPPや食料自給率などでなにかと話題にあがる日本のコメ。その生産者といえば、地方で長年稲作を生業とする農家の方々をイメージするかと思います。しかしここ最近、事業としてコメ作りに新規参入する有名企業の動きが活発なのをご存知でしょうか?

 

しかも名乗りを上げるのはネット通販やコンビニなどの小売業に加え、電機メーカーや化学メーカーなど幅広い企業が参入しています。パンや麺類の人気に押され、コメを食べる人が昔より減ったといわれている昨今。一件逆風に思える状況のなか、なぜこれらの会社はコメビジネスを始めるのでしょうか。各社の取り組みを紹介するとともに、背景や狙いにも迫っていきたいと思います。

 

LOHACOは優れた味や鮮度、配送速度を実現すべく精米工場を建設

ネット通販大手「アスクル」が、「ヤフー」と共同で運営する「LOHACO」は、10月14日から自社精米サービスを開始。独自ブランドの「ろはこ米」の販売を始めました。当初は毎日100袋の数量限定販売。2kg/930円、5kg/2280円の2アイテムを用意しています。

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アスクルといえば、”明日来る”というスピーディな宅配が大きな魅力。今回のコメ事業でも、鮮度や納期の速さに注力しています。それを実現しているのが、埼玉県・入間にある物流センター「ASKUL Logi PARK 首都圏」内に開設した精米センター「アスクル ライスセンター」。自社の精米機を備えるとともに品質や施設管理も徹底しており、注文すると商品の出荷日に精米し、最短で翌日に届けるとか。また、より高い鮮度を保つため、包装には冷蔵庫で保管しやすく開閉も簡単なジップ袋を採用しています。

 

もちろん味へのこだわりも随所に見られます。玄米は日本穀物検定協会が毎年発表している「米の食味ランキング」で特Aを獲得した「ゆめぴりか」を使用。さらに、同ブランドのなかでも、LOHACOのマーチャンダイザーが厳選した、北海道の美唄・岩見沢エリアの生産者の米を採用するという入念ぶりです。味と品質と安全安心にも配慮し、こだわりは十分。そんな同米はこの先、1年間の展開を予定しています。

 

アイリスオーヤマは輸出ビジネスでガッチリ!

生活用品から家電まで、消費者目線の自社製品が好評な「アイリスオーヤマ」。宮城県・仙台市が本社であり、東北の活性化を推進しているリーディングカンパニーでもあります。同社は、コメどころという地の利を生かして2013年からコメ作りを開始。同年4月に宮城県の農業生産法人「舞台ファーム」との共同出資により、精米事業会社「舞台アグリイノベーション」を設立しました。精米工場の運営や流通関連はアイリスオーヤマが、仕入れ先開拓や農営指導などは舞台ファームが担うという分業により、10月から販売しています。

 

同社が着目したのは、家庭での消費量。一般的にコメは、数kg単位でビニール袋に詰めて販売されますが、現代型ライフスタイルの多くを占める単身世帯や2人世帯では消費しづらく味が劣化します。そこで同社はコメを3合ずつの高気密パックに詰め、脱酸素剤を梱包。精米後の鮮度を失わないようにするとともに、買いやすい量にしました。この手法が受け、単身者や核家族を中心に右肩上がりの売り上げになっています。

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銘柄の豊富さも特徴です。北海道産の「ゆめぴりか」と「ななつぼし」、秋田産の「あきたこまち」、山形産の「つや姫」、宮城産の「ひとめぼれ」、「ササニシキ」、新潟産の「こしひかり」の6ブランドを1等米で用意。さらに通常精米と無洗米を用意することで、幅広いユーザーに対応しています。

 

また、大きなトピックとして海外への輸出も見逃せません。実は世界的な日本食ブームを背景に、コメの海外輸出は増えており、2014年のコメ輸出額は過去最高を記録。農林水産省は「攻めの農林水産業」をキーワードに掲げ、コメとコメ加工品の輸出額を、2020年までに600億円と、2012年と比べ約5倍に拡大させる計画です。そんな背景もあるなか、アイリスオーヤマはマレーシアの食品卸業から現地市場向けのコメを受注しました。今後ますますの拡大にも注目です。

 

住友化学はBtoB用のコメ作りでコンビニやレストランを囲い込む

肥料や農薬の製造販売を手がけてきたメーカーが、取引先である農家の協力をもとにコメの生産から販売まで一貫して手がけるビジネスに着手するというケースもあります。その企業は、農薬で国内首位の実績を持つ「住友化学」で、2014年からこの取り組みを開始しました。

 

前2社がBtoCの小売だったのに対し、住友化学が手掛けるのは、コンビニや外食チェーン向けのBtoBの米販売事業。

 

BtoBゆえに大量かつ安定的なコメの提供が求められるものの、コメの売り先が明確なのが特徴です。生産は地域の農協を介するなどしていくつかの農家に委託するという手法を採用。委託農家が収穫したコメは住友化学ですべて買い取り、企業に販売するという仕組みをとっています。これにより、農家は安心してコメ作りに従事でき、チェーン系は必要分のコメの仕入れ先を確保できるというメリットが生まれ、Win-Winの関係が構築できているようです。

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買収を続けるローソンは取扱米を自社ブランドに切り替えか

コンビニの話が出ましたが、実はローソンもコメ作りを始めます。同社は以前より有力農家との共同出資による農業生産法人「ローソンファーム」を全国で展開しており、たとえばおでんのじゃがいもなどにローソンファームのものを使用してきました。

 

昨年、新潟市が国家戦略特区の「大規模農業の改革拠点」に選ばれたことで、農業生産法人の設立要件が緩和。それも追い風となり、23番目のローソンファームが新潟市に設立される運びに。新潟といえば国内屈指のコメどころ。そこで先述のアイリスオーヤマのように地の利を生かし、新潟のローソンファームではコメを栽培するというもくろみなのでしょう。なお、ローソンファームでの本格的なコメ作りは初めての試みとのことです。

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具体的な戦略はまだ発表されていませんが、農場ではローソンの店舗で販売するコメの生産・加工を行い、将来的に自社米の販売の拡大を目指すとともに、おにぎりなどの原料にも使用していきたいそうです。ローソンは昨年、高級スーパー「成城石井」を買収して話題になりました。今後さらにそれらのシナジーを活かし、自社米の販売チャネルが増えていく可能性もあります。

 

各社の新規参入によりコメ市場はどうなるか

各企業の例をいくつか挙げましたが、新規参入の狙いにはさまざまな背景があります。ひとつは日本人のライフスタイルの変化。核家族化や食の欧米化により、コメの需要は減少しつつあります。また、コメ自体が食品の販売店だけでなくホームセンターやネットなどでも買えるようになり、売り手のチャンスが広がりました。さらには食の安全・安心が重要視されるなかで、産地や生産者の情報開示はもちろん、“モノはストーリーで売る”という時代にもなっているといえます。

 

世界的な健康志向から紐づく日本食ブームも見逃せません。事実、コメやコメを原料とする日本酒の輸出は右肩上がり。少子高齢化を迎え、国内消費のさらなる低下が確実とみられる日本のコメ事情は深刻です。よって、今後はより輸出に目を向けていくべきであるといえるでしょう。

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他分野をみれば、たとえば書籍の販売は書店からネット、電子へとシフトし、コーヒの消費スタイルは大量生産型から単一農場栽培豆によるサードウェーブに進化していきました。輸送やITの技術が発達したうえ、消費者のニーズや嗜好が多様化するなか、コメにも革命の時代が訪れているのかもしれません。”グローカル”という考え方が浸透しているように、海外はもちろん国内にもビジネスチャンスは十分にあるはず。コメビジネスに新規参入する企業もさらに増えるでしょう。個人的には、2020年の東京オリンピックも控えたいま、「WAGYU」や「SAKE」などに続き、日本のおいしい「KOME」が世界で一層注目されてほしいと思います。

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