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2024/8/13 19:30

間取りは定番でも使いにくい部屋の傾向と、かしこいレイアウト方法をインテリアのプロが実例で解説

一見よさそうと思って借りた部屋でも、いざ引っ越してみると手持ちの家具家電が入らなかったり、生活動線が確保しにくかったり。引っ越し後に困らないためにも、部屋を契約する前にきちんと間取りの確認をしておくことが大切です。

 

インテリアコーディネーターの広島知範さんに実例を挙げながら解説いただきました。「“暮らしにくい間取り”を見抜くコツと解決策」をまとめた前編に続き、この後編では、間取りに問題はなくとも、暮らすうえでよくある部屋の悩みと解決策を教えていただきます。

 

 

意外にあるある?“失敗した間取り”の見分け方と解決策をインテリアのプロが実例で解説

 

1.1人暮らしだけど6畳だと狭い! 広く使うポイントは?

1人暮らしの場合、6畳1Kの部屋を選ぶことは多いと思います。ですが、キッチンスペースが狭かったり、置きたい家具を置くと部屋が狭くなったりするのは1人暮らしでよくある悩みです。

 

→冷蔵庫や洗濯機ラックを活用する

写真中央にある冷蔵庫の上がデッドスペースに。ですが、ラックを使うことで電子レンジや小物を置く場所がつくれました。

 

「1人暮らしの間取りの場合、キッチン周りが狭くて困るケースがとても多いと思います。キッチンは作業スペース件通路になることがよくあるため、棚や作業台などが置けないんですよね。作業スペースを増やすことは難しいですが、収納に関しては、冷蔵庫や洗濯機の上のスペースを使うためにラックを取り付けることで改善します。収納スペースがかなり確保されますよ」

 

→インテリアに合わせた家電を選ぶ

キッチン家電と他の家具の色合いが統一されていることで、部屋に違和感がなくなります。

 

「キッチンがとても狭い場合、冷蔵庫や電子レンジがキッチンに収まらず、やむを得ず玄関近くや部屋に置く場合もあると思います。その際に、マットな質感の家電にしておくと部屋と馴染みやすくなります。反対に光が反射する質感のものだと台所感が出てしまうんですよね。色もブラックやレッドなどおしゃれな色も増えているので、インテリアの1つと考えて家電の色を選んでみるのもおすすめです」

 

→コンパクト&兼用家具で部屋を広く使う

「1人暮らし用のベッドだとシングルサイズが一般的かと思います。ですが、シングルよりも小さいセミシングルというサイズがあるので、なるべく部屋のスペースを確保したい場合はセミシングルを使うのもいいと思います」

 

小柄な方であればセミシングルを検討してみるといいかもしれません。また、ベッドの下に物を入れられる収納ベッドを使うことも部屋を広く使う方法のひとつです。

 

2.趣味の異なる相手と2人暮らし。共有スペースに統一感を出すには?

夫婦やパートナー同士で暮らす2人暮らしをする際、リビングやダイニングなどはインテリアを統一させたいところです。ですが、それぞれ趣味が異なる場合、どうすれば統一感が出せるでしょうか?

 

→“木の色”を揃える

置きたい物が多かったりテイストがバラバラでも、木の色を合わせたり、植物を多めに置くことで統一感が出せます。

 

「テーブルや棚など、木目調の家具を置く際は木の色を揃えておくことで、インテリアの趣味が異なっていてもある程度統一感を出すことができます」

 

→照明や植物を置いてバランスを整える

「照明や植物などを多めに置くことでインテリアのバランスが整えられます。大型の家具がそれぞれの趣味のものになってしまっても、多少のばらつき感をカバーしてくれるのでおすすめです」

 

お互いに寄り添いながらインテリアを決めるのがベストですが、ゆずれない部分が多い場合は木目の色を揃えたり植物を置いたりしてバランスを整えてみましょう。

 

3.3人家族で10畳のリビングダイニング。広く使う工夫は?

小さな子どもがいる3人家族の場合、2LDKなどの間取りが多いと思います。「食事をするスペースもリラックスできるスペースも、子どもが遊ぶスペースも確保したい。だけど10畳程しかない」となると、かなり手狭に感じるはず。共有スペースを広く使うにはどうしたらいいのでしょうか?

 

→ソファーダイニングを使う

ソファーダイニングにすることで、リビングとダイニングを兼用した空間がつくれます。ソファーは硬めの物を選ぶと食事しやすくなります。

 

「ソファーダイニングとは、ダイニングテーブルを置き、イスをソファーにしたものです。食事をするダイニングと、リラックスできるリビングの要素を一緒にしているので、スペースを有効活用できます」

 

テーブルは昇降できるタイプのものであれば、子どもの成長に合わせたサイズにできます。在宅ワークの際にはパソコンを使用する高さに調整することもできるので、とてもフレキシブルに使えるようになります。

 

→隣接する部屋が引き戸の場合、片面の戸は潰して家具を置く

リビングの隣の部屋が引き戸の和室の場合。片側のふすまをソファーに被せていますが、出入りする動線は確保されています。

 

リビングダイニングの隣の部屋が引き戸の場合、引き戸部分には家具を置きにくいですよね。ですが、家具を置くスペースが少ない場合は、思い切って戸を潰すのもひとつだといいます。

 

「引き戸の場合は、人が通る戸の方は開けておき、通らない方は出入りしないと決めて家具を置くとよいでしょう」

 

 

部屋を借りる際に間取り選びに気をつけることは大切。また現在住んでいる部屋なら、家具やインテリアを工夫することでより住みやすい部屋にすることができます。すべてにおいて完璧な部屋を見つけるのは大変ですが、気になるところは工夫をしながら住み心地のいい部屋づくりにチャレンジしていきたいですね。

 

 

Profile

インテリアコーディネーター / 広島知範

札幌で活躍するフリーのインテリアコーディネーター、照明コンサルタント。YouTubeチャンネルでは「快適な住まいづくりをサポートする」をコンセプトに、週2回動画を更新。インテリアのポイントや工夫する方法を、3D画像などを使いながら視覚的に分かりやすく解説している。
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