リファービッシュ家電の品質って、ホントに良いの? 月2500台を新品同然によみがえらせる、CLAS倉庫潜入レポート

ink_pen 2025/7/26
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リファービッシュ家電の品質って、ホントに良いの? 月2500台を新品同然によみがえらせる、CLAS倉庫潜入レポート
藤原 綾香(GetNavi web編集部)
藤原 綾香(GetNavi web編集部)

「GetNavi web」のモノ系コミュニティ「GetNavi Salon」の運営マネージャーも務める、GetNavi web編集部員。報道系ニュースメディアでの勤務や、公式Xアカウント中の人経験アリ。三度の飯よりゲームとコーヒーと、人と語らう時間が好き。

欲しい家電を少しでも安く手に入れたいとき、選択肢の一つが「リファービッシュ品」ではないでしょうか。新品と比べて安く利用できるのがメリットの一つで、昨今だとHHKBがリファービッシュ品を数量限定で発売してはすぐ売り切れるなど、注目度の高さがうかがい知れる例があります。ただ、実際の品質はどうなのかが気になりますよね。

家具・家電レンタル・サブスクサービス「CLAS(クラス)」の船橋倉庫に赴き、月間2500件ものリペア(修繕)・クリーニングを行う現場を取材。1年半使われ、かなり汚れている洗濯機が10分で白さを取り戻すさまは、見事の一言でした!

↑CLASの船橋倉庫内、家電のクリーニングエリア。壁には「ユーザーの気持ちに立ったクリーニング」というスローガンが掲示されていました(写真右奥)。

 

 

「クリーニング工程を経ないものは一つもありません」

リファービッシュとは「整備・修復された」の意味で、出荷・販売後にメーカーに戻された製品を新品同様の状態に戻すことを指します。CLASは「家具や家電を捨てずに再利用し、循環させるビジネス」を手掛けており、レンタルを終えて返却された製品は次のユーザーの手に渡る前に、専門スタッフによって動作確認とクリーニングが行われます。きれいにするだけではなく、できるだけ捨てないように直しているというのがスゴいですね。

倉庫長の笹川敦史さんも、「返却された商品は、まずはクリーニングされます。クリーニング工程を経ないものは一つもありません」と力強く断言。土日も含め、1日に約70個の商品を検品しており、月間にして2500個強、引っ越しシーズンの3月には3000個に達することもあると言います。なおこれは個人利用のみの数字で、法人利用の家具・家電を含めるとさらに多くなるとのこと。

↑小型家電のクリーニングエリアの様子。色々な角度から家電をチェックし、布と洗剤で汚れを丁寧に落としていました。

倉庫に返却される商品の汚れや破損は実にさまざま。「ガタつき、機能の不備から、日常使いによる生活汚れまで、本当に色々ですね」と笹川さん。利用期間の長さに比例する部分もあるようです。最短で当日返却もあり得ますが、大体のユーザーは最短でも4か月以上は使用しているとのこと。中には、冷蔵庫や洗濯機を購入せず、CLASでずっとレンタルし続けている人もいると言います。長期間利用後に返された家具は、汚れの落とし甲斐がありそうです!

専任者が目と手でチェックしてリペア。修理費用の負担は誰が?

故障している場合はクリーニングだけでは不十分で、「リペア」工程に回されます。家具担当3名、家電担当2名、計5名のリペア専任者が長年の経験を活かして、故障原因の特定や修復方法を見極めています。家具と家電とで、リペアのアプローチが大きく異なるそう。 

家具:修理箇所がわからないようにすることが重要。研磨、塗装、ツヤ合わせを行い、違和感がないように仕上げる。特に手間がかかるのがアルミの鏡面仕上げ。3時間以上かかることも
家電:機械的・電気的な部分、基板を交換するような作業が中心。最も時間がかかる工程は故障原因の特定で、一つ一つ問題をつぶして確認する必要がある

 「クリーニングの時点で違和感や迷いがあったら、すぐにリペア専任者やリーダーに確認してもらっています。リペア専任者が『自分が使いたいと思えるレベル』まで持っていくことが基準です。まさにサービスの命ですから」(笹川さん)

筆者が工場内に足を踏み入れると、ちょうどアロマディフューザーのリペアに取り掛かろうとしている専任者がいました。スイッチを押しても電源が入らなくなっているとのこと。原因は特定済みで、基盤を取り換えれば問題なく動作するはずだと言いますが……。

↑スタッフが慣れた手つきでアロマディフューザーのパーツを取り外し、内部を見せてくれました。故障原因と思われる部分に、黄色のマスキングテープが貼られています(写真右)。

「じゃあ始めますね」。そう言うや否や、問題部分の基盤を迷いなく取り外したリペア専任者。用意してあった替えの基盤に付け替えると、何事もなかったかのように電源がつきました。この間わずか1分程度。非常にスムーズです。 

今回は15分くらいで原因を特定できたものの、時にはメーカーに問い合わせて必要な部品を手配する必要があったり、どれだけ時間をかけても直せなかったりするケースもあるそう。それだけに「工数をかけたものが直った瞬間は本当にうれしい」のだとか。

ただ、あまりに専門的な知識を要する修理はメーカーに依頼することも。その際の費用はCLASが負担します。「明らかにお客様起因で壊れている場合は請求させていただくこともあります」(笹川さん)。

↑家具(木製イス)のリペアの様子。足のガタつきを直す過程で空けた穴をカモフラージュし、違和感がないように仕上げていました。

 “判断の目”が、倉庫に届く前から利くこともあります。配送ドライバーと連携し、「どう見ても汚れや壊れ具合が酷いものがあれば事前に画像を送ってもらい、倉庫へ商品が到着すると同時に廃棄や売却を決めるケースもあります」と笹川さん。倉庫内外で連携し、廃棄する場合にはそもそもクリーニングの段階にさえ進めないようにすることで、業務の効率化を図っているようです。 

蓄積した1年半分の汚れを、10分でほぼ落とす熟練技

「リペアは難しそうだけど、クリーニングはそこまで大変じゃなさそうじゃない?」……なんて思うかもしれませんが、そんなことはありません。 

大型家電のクリーニングエリアでは、18か月間のレンタルを終えて返却された全自動洗濯機を掃除する様子を見学させてもらいました。洗濯槽やパルセーターなど各パーツを取り外すと、底部分は思わず顔を背けたくなるような汚れっぷり! さっそくスタッフが、高圧洗浄機で汚れを洗い流していきます。

↑汚れが溜まりやすい「溝」が多いパーツも、無駄のない動きできれいにしていきます。

大型家電ともなるとパーツも大きく、分解したり洗浄する角度を変えたりするのも重労働に見えます。しかしノンストップで手際よく高圧洗浄を続けること10分、汚れやサビがここまで落ちました。それぞれ、左が洗浄前、右が洗浄後です。

↑左が洗浄前、右が洗浄後。
↑左が洗浄前、右が洗浄後。

既に見違えるようですが、これで完了ではありません。必要に応じて二度、三度とクリーニングを重ね、綿棒やメラミンスポンジなども使ってできる限りきれいにしてから送り出すそう。手元に届いた時に使用感はあっても汚れがそこまで気にならず、買うより断然安く使えるというなら、数年にわたって利用し続けたくなるのも頷ける話です。

もしサイズ感や使い心地を確かめたうえで、「レンタルはもう十分。ちゃんと買って使いたい」と思うことがあれば、「あとから購入」サービスで手軽にゲットできます。支払ったレンタル料金は購入価格から差し引かれるので、損はありません。 

大きな買い物の前に、リファービッシュ品でお試し

リファービッシュ現場は想像以上に高度な技術と経験、そして扱う商品への真摯な気持ちが必要なのだとわかりました。倉庫の至る所で、クリーニングやリペアに黙々と、手際よく取り組む職人たちの姿は頼もしかったです。さまざまな家具・家電のビフォーアフターを目の当たりにして、リファービッシュ品の質の高さに驚きました。

家具や家電はこまめに買い替える機会が少ないので、買った後でイメージと違ったり、そもそも使えなかったりしたときの心理的・金銭的ダメージが大きいもの。大きな買い物をする前のお試としてリファービッシュ品を活用し、出費を抑えるのは賢い手段なのでは。CLASでは様々なアイテムをレンタルできるので、まさしく「購入前にちょっとお試ししたい」ときに便利ですね!

※電気用品安全法に基づき、「あとから購入」対象外の商品があります

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