大地震の際、飼い猫をどう避難させる? 獣医が教えるキャリーケースに迅速に誘導させるトレーニング方法

ink_pen 2016/5/14
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大地震の際、飼い猫をどう避難させる? 獣医が教えるキャリーケースに迅速に誘導させるトレーニング方法
津山悠
つやまゆう
津山悠

酪農学園大学獣医学群獣医学類卒業。2015年12月に「品川WAFどうぶつ病院」を開院。“どうぶつに優しい医療”を掲げ、動物用内視鏡や超音波検査診断装置などの医療設備を充実。また、“スマート・オープン・コミュニケーション”をコンセプトとし、電子カルテやWEB予約システムなど、動物病院での導入例が少ないIT技術を積極的に活用した病院運営を展開中。 http://waf-ac.com/

大地震や火災といった一刻を争う非常時に、自宅の飼い猫をどのように避難させるかを、徹底できている人はそこまで多くないのではないでしょうか? もともと猫は環境の変化が苦手なため、動物病院に限らず知らない場所へ行くことに不安やストレスを感じがち。普段の外出ですら、移動手段であるキャリーケースに入るのを嫌がる猫が多く、困っている人も多いはず。 ましてや災害時には飼い主も平静でいられるのが難しいシチュエーションです。

 

今回は避難行動の第一歩となる、自宅の猫をスムーズにキャリーケースに誘導できるトレーニングを紹介。万が一のときに備えて、日ごろから実践することをオススメします。

 

キャリーケースの選び方は「上から出入りタイプ」がオススメ

まず、キャリーケースの選び方ですが、上部に蓋がついているタイプ、もしくは本体が上下に分割できるタイプがオススメです。猫は引っ張られることを非常に嫌います。そのため、キャリーケースの中から出てこなくなってしまった場合、前の扉から出入りするタイプだと無理に引っ張り出すことになり、猫をよりいっそう怖がらせたり、興奮させることにもなりかねません。

 

その点、上部に蓋がついているタイプであれば、身体を上に持ち上げるので、猫のストレスが少なくて済みます。また、簡単な触診や注射であればそのままキャリーケースの中で行うことも可能です。

 

ちなみに、キャリーケースは大きすぎるとかえって持ち運びの際に安定しません。サイズは、猫が「伏せ」をしたときの、足先からしっぽの付け根までの長さが目安に選ぶと良いでしょう。

 

リラックスには猫用のフェロモンスプレーも効果的

キャリーケースが決まったら、まずは中に入るトレーニングから。扉を開けっ放しにするか、上下に分割できるものであれば下側のみを使用し、室内の猫が落ち着ける場所にキャリーケースを置きます。

 

次に、好きなおやつを中に置くなどして、猫が自分からキャリーケースに入る練習を繰り返しましょう。おやつの他に、「フェリウェイスプレー」という市販されている猫用のフェロモンスプレーをタオルや敷物などに噴霧して、キャリーケースの中に入れてあげるのも、猫をリラックスさせる手段として効果的です。

 

キャリーケースの中に入ることに慣れてきたら、今度は徐々に中にいる時間を延ばしていきます。

 

「中に入る→扉を締める→移動する」を約1か月かけて行う

キャリーケースに出入りするのを嫌がらずにできるようになったら、今度は猫が中に入った状態で扉を閉め、こちらも5分、10分と少しずつ時間を延ばしていきます。

 

最後は、扉を閉めた状態で、家の中で移動の練習をします。持ち運びをするときには手持ちのハンドルは使わず、底を支えるように両手でしっかりと持ち、自分の体に密着させて運ぶようにしてください

 

以上のような流れで、大体1か月くらいかけて段階的に慣らして行けば、キャリーケースを見ただけで逃げ出すというようなことはなくなると思います。

 

キャリーケーストレーニングでいちばん大切なのは、「キャリーケースの中は安心できる場所」「中に入ったら楽しいことがある場所」ということを覚えさせることです。おやつやペットの好きなおもちゃなどを上手く使いながら、楽しんでトレーニングに取り組めるようにしてあげましょう。

 

【URL】

品川WAFどうぶつ病院 http://waf-ac.com/

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