パイオニアは、報道関係者向けにカロッツェリアの新製品を体感できる「2025年冬の新製品説明会」を開催しました。説明会では7年半ぶりにモデルチェンジした「カスタムフィットシリーズ」のエントリースピーカー「F」シリーズのほか、デジタルミラー型ドライブレコーダーの廉価モデルも披露されるなど、大きな注目を集めました。

7年半ぶりにモデルチェンジしたFシリーズは明瞭で力強いサウンド
一番の注目は、カスタムフィットスピーカー Fシリーズのモデルチェンジでしょう。パイオニアのカスタムフィットシリーズは、もともとグレード上位から順に「V」シリーズ、「C」シリーズ、Fシリーズの3つをラインナップしていました。
このうちVとCは2024年10月にモデルチェンジ済みで、今回Fのモデルチェンジによって、カスタムフィットスピーカーは全シリーズが一新されたことになります。

Fシリーズは、エントリーモデルとはいえ、カロッツェリアならではの「Open & Smooth」のコンセプトに基づく音作りが継承され、新開発のツィーターとウーファーの組み合わせにより、明瞭で力強いサウンドを提供するのが特徴です。ラインナップはウーファーとツィーターを分けて取り付ける「セパレート」タイプと、これを一体化した「コアキシャル」タイプで、サイズ別にそれぞれ3モデルずつ用意しました。
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| 商品名 | 型番 |
| 17cm セパレート2ウェイスピーカー | TS-F1750S |
| 16cm セパレート2ウェイスピーカー | TS-F1650S |
| 10cm セパレート2ウェイスピーカー | TS-F1050S |
| 17cm コアキシャル2ウェイスピーカー | TS-F1750 |
| 16cm コアキシャル2ウェイスピーカー | TS-F1650 |
| 10cm コアキシャル2ウェイスピーカー | TS-F1050 |
ダッシュボード上がステージのような音場を実現するサウンドシステム
このFシリーズを体験するためのデモカーはスズキのスペーシアです。
クルマに組み込まれていたのは17cmセパレート2ウェイスピーカー「TS-F1750S」で、これをスペーシア専用設計であるツィーター取付キット「UD-K310」とインナーバッフル「UD-K536」を用いて装着していました。そこにヘッドユニットとして10.1インチ大画面を持つディスプレイオーディオ「DMH-SF900」を据え、さらにアンプ内蔵サブウーファー「TS-WX140DA」をカーゴスペースに設置。価格的にも比較的手頃な構成です。


用意されたソースを再生すると、TS-WX140DAの効果もあって力強くメリハリのあるサウンドが耳に飛び込んできました。そのパワフルさゆえについボリュームを上げてしまいましたが、それでもサウンドはへたることもなくパフォーマンスを高めていくのです。これは明らかに純正とはレベルが違うダイナミックさ。スピーカーのタフさを実感できました。
また、このシステムで特に印象的だったのは、ダッシュボード上に広がるステージ感です。これは専用取付キットのUD-K310によって、ツィーターが運転手の耳の高さ+最適な向きで設定された結果。しかもこのキットによってツィーターが露出することなく純正のようにスマートに装着できるのです。まさに一挙両得のシステムといえるでしょう。
純正オーディオの能力をフルに引き出す新製品も続々登場!
次に体験したのは、同時に発表されたトヨタ車専用設計の9cm 2ウェイスピーカー「TS-H100-TY」を取り付けた、トヨタ「ランドクルーザー250」と「プリウス」です。
このスピーカーは一般的なドアではなく、ダッシュボード左右にあるツィーター用スペースに取り付けるというものになっています。その理由は、近年のトヨタ車がエアバッグの作動条件にドア内部の改造を制限しているからで、これによりドアスピーカーの交換も事実上できなくなってしまったのです。
しかし、幸いにもランドクルーザー250とプリウスはともにダッシュボード左右にツィーターを組み込んだスペースがあり、パイオニアはここに収められる2ウェイスピーカーとしてTS-H100-TYを開発。これにより、純正スピーカーを含めるとフロントはチャンネルあたり3スピーカーとして展開できるようになったのです。
TS-H100-TYにはツィーター部のグリルに回転式ディフューザーが備えられ、車種ごとに最適な音場を提供可能にしています。さらにフロントガラスの傾斜がきつい現行プリウス用として、より最適な角度で取り付けられる専用スピーカー取付キット「UD-K401」も用意。また、試聴したシステムには今年5月に発表され、12月に発売が予定されるデジタルプロセッサー「DEQ-2000A」も組み合わされていました。

DEQ-2000Aのメリットは、カーナビ機能を備えた純正インフォテイメントシステムに組み合わせることで、アプリ側から高度な音質調整を可能としたことです。特に現行プリウスには、カロッツェリアがセッティングした専用データを用意。これによってDEQ-2000Aと接続したスマートフォン上のアプリから、車種ごとに最適な音場設定ができるのです(ランドクルーザー250用もアップデートで導入される予定)。
最初に試聴したのはプリウス。中高域の明瞭度が大幅に向上しており、全体的に音のバランス感が改善されていることがはっきりとわかります。低域の膨らみもほどよい感じで、そのままとなっている純正ドアスピーカーがサウンド全体に厚みをもたらしていたのかもしれません。

しかも音像は運転席前方に定位し、まるでボーカルが目の前で歌っているような音場の中で、臨場感たっぷりのサウンドが再現されていました。
音質向上に抜群の効果を発揮したDEQ-2000A
ランドクルーザー250は、TS-H100-TYとDEQ-2000Aを組み合わせつつもサブウーファーを含めないシステムとなっていました。現時点でDEQ-2000Aのプリセットがないため、サウンド調整はパイオニアの技術者が直にチューニングしたとのことです。


そのサウンドは車内の広さが手伝ってか、上下方向にも広がりが出ていて、臨場感はさらに増しているような印象。これはDEQ-2000Aによって、スピーカーの能力をフルに引き出された可能性があります。
デジタルプロセッサーのDEQ-2000Aは「シビックタイプR」でも効果を発揮していました。
シビックタイプRの場合もオーディオをインフォテイメントシステムに組み込んだために、出力側での対応が基本となります。デモカーではスピーカーも純正をそのまま活用していました。そのうえで、DEQ-2000AにはシビックタイプR用にプリセットされた専用データが収録済みで、純正スピーカーの能力をフルに引き出すことを可能としたのです。まさにDEQ-2000Aは“魔法の小箱”というわけですね。

ホンダ「フリード」では、楽ナビを中心として、従来のカスタムフィットスピーカー「TS-C1740S」やパワードサブウーファー「TS-WX400AS」を組み合わせたシステムを組み込んでいました。
ポイントは、現行型フリード専用に準備された取付キット「KK-H88DE」を使ってシステムがインストールされていることです。フリード側はオーディオレス仕様として2DINサイズのスペースさえあればよく、このキットを使うことで後付け感を感じさせないセットアップが可能となります。
なお、楽ナビについては2023/2024年モデルを対象に「Apple CarPlay」「Android Auto」が使えるようになる無償アップデートについても説明。また、2026年2月に発売される予定の、急速充電対応「USBシガーチャージャー」をはじめ、マグネット式「USBケーブル」「Lightningケーブル」といったモバイルアクセサリーも紹介されました。

人気のミラー型ドラレコが身近な価格で新登場!
最後に紹介するのは、ミラー型ドライブレコーダー「VREC-MZ300D」です。このモデルは、上級機「VREC-MS700D」で好評だった機能を継続搭載しながらも、より廉価な価格を実現したスタンダード機となります。

廉価モデルながら、ディスプレイはMS700Dで採用していた同スペックの11型IPSディスプレイを採用して広視野角を確保。ケーブルも、本体内に収納することで車内から見えにくくする工夫を同じく採用しています。
一方でフロントカメラはヨコに引き出すタイプとし、センサーにはOMNIVISION製CMOSセンサー「PureCel Plus」を採用。夜間でも高感度かつ鮮明な映像を撮影できる「ナイトサイト」に対応し、昼夜を問わずナンバープレートも文字まで鮮明に記録できる実力を備えているそうです。3年間のメーカー保証が備わるのはMS700Dと同様。人気の電子ミラー機能が使えて、長期間にわたって安心して使えるのはうれしいですね。


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