スズキ初のバッテリーEV「eビターラ」に試乗! 余裕あるパワーと先進機能で長時間ドライブも快適

ink_pen 2026/3/21
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スズキ初のバッテリーEV「eビターラ」に試乗! 余裕あるパワーと先進機能で長時間ドライブも快適
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行う他、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立てている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

1月16日に販売が開始された、スズキ初のバッテリーEV(BEV)「eビターラ」。発売にともない、ラインオフされたばかりの車両の公道試乗会が開催されました。

昨年のプロトタイプ試乗イベントでは路面状態が良好なサーキットを走行しましたが、今回走るのは公道です。日常で使うeビターラはどんな走りを見せるのか? 今回は走りを中心としたインプレッションレポートをお伝えします。

インドから世界に向けて発信されるスズキの世界戦略車

まずは概略を改めてご紹介します。eビターラは、スズキのBEV戦略の第一弾として2025年に初公開されました。スズキの世界的ヒット作「ビターラ(日本名:エスクード)」の血統を受け継ぐ、次世代の電動SUVという位置づけです。生産はインドで、日本だけでなくインド国内はもちろん欧州など世界中で販売されることになっています。

日本で展開されるラインアップは、大きく分けてX/Zの2つのグレードです。このうちXは2WDのみで、Zでは2WDと4WDが選択可能。また、バッテリー容量は49kWh/61kWhの2種類あり、Xは49kWhのみ。Zは49kWhと61kWhの2つから選択できます。

↑スズキBEV戦略の第一弾として、日本では1月16日に発売したeビターラ。初の公道試乗会は千葉市内のホテルを起点に実施された。

バッテリーはすべて、安全性が高く長寿命といわれる中国・BYDのリン酸鉄リチウムイオン電池 (LFP)が採用されました。

↑従来のスズキ車とはそのデザインコンセプトを大幅に変更。ソフトパッドも多用され、品質の高さを感じ取れるデザインとなった。写真はZの4WD。
↑インテリアと色使いをマッチさせたシートは、合皮とファブリックを組み合わせるもの。写真はZの4WD。
↑広々とした後席は大人がゆったりと座れる。写真はZの4WD。

外観デザインは、大径タイヤと力強いフェンダーアーチがSUVらしさを強調。一方で、空力を考慮したフラッシュドアハンドルや専用ホイールがBEVらしさを演出しています。ボディサイズは、全長4,275×全幅1,800×全高1,640mmで、最小回転半径は5.2mを実現。狭い道でも取り回しやすいサイズに収められています。

↑大径タイヤと力強いフェンダーアーチがSUVらしさを強調。一方で、空力を考慮したリアのフラッシュドアハンドルや専用ホイールがBEVらしさを演出している。写真はZの4WD。
↑ボディサイズは市街地でも取り回しやすいBセグメント。SUVだが、日本仕様にはリアフォグを設定しない。写真はZの4WD。

eビターラの日本での価格は、X(2WD)が399万3000円、Z(2WD)が448万8000円、Z(4WD)が492万8000円(いずれも税込)。国からは補助金が交付され、スズキのWebサイトによれば、その額は全車とも127万円(※2026年3月31日までの登録車が対象。それ以降は新年度予算による)。これによりベースグレードのXなら登録費用を含めても300万円未満で買えることになります。初めてBEVを購入する人にとってもうれしい設定ではないでしょうか。

↑ダッシュボードセンターにはハザードスイッチや空調のコントロールパネル、そしてオーディオのボリュームダイヤルが備わる。写真はZの4WD。
↑後席側コンソールにはUSB端子以外に、AC100V/1500Wまで使えるコンセントを標準で用意している。写真はZの4WD。

【2WD】軽快なハンドリングが楽しめる一方で路面からのショックは大きめ

さて、eビターラの試乗会で用意されていたのは2WDと4WDのZグレードで、バッテリーはいずれも61kWhを組み合わせていました。つまり、トレイルモードなど4WDならではの機能以外、基本的な装備は同一の状態で試乗となったわけです。

↑市街地で軽快な動きを見せるZ・2WD。決してピーキーではなく十分なトルクで、市街地を楽に走ることができる。

最初に試乗したのは2WDの方でした。2WDのパワーユニットは最高出力128kW/最大トルク193Nmと、通常走行するにはまったく問題のないスペックです。それだけに、スタート直後から十分なトルクで発進し、制限速度領域までスムーズに加速していきます。

フットワークも良好で、全体的にとても軽快な印象を受けました。静粛性ではロードノイズもよく抑えられており、これだけでもBEVらしさを実感できる走りだったといえるでしょう。

↑BluE Nexusと、アイシン、デンソーが共同開発したeAxleを搭載。最高出力128kW/最大トルク193Nmを発揮する。

街乗りして感じたのが、視界がとても広いことです。これは車体左右のガラス面積を大きくしたことに加え、死角を徹底して抑えたことに理由があるのは間違いありません。バッテリーをフロアに搭載したことで車内の床面は若干高めですが、それでも運転姿勢は自然でメーター類の視認性も上々でした。

↑バッテリー状態はインフォテイメント上で監視でき、電費や航続距離なども簡単に把握できる。
↑充電口は急速/普通充電に対応する。

一方で、少し違和感を覚えたのがサスペンションの固さです。路面からコツコツとしたショックがストレートに伝わり、段差を乗り越えた際はそれが意外なほど大きい。これはサーキットで走行した際にはまったく感じなかったことです。試乗車の装着タイヤはグッドイヤー「EfficientGrip 2 SUV」で、この固さが影響しているのかもしれません。

【4WD】乗り心地は上級車並み。走りのパフォーマンスにも驚き!

次に4WDを試乗しました。すると、2WDで感じた足回りの固さはどこへやら、路面からのショックもずっとマイルドになり、プロトタイプで感じたしなやかさを再び感じることができたのです。

高速域に入るとこの足回りは一段と落ち着きを増し、ひたすら快適になります。これは上級車にも匹敵するレベルで、これなら長時間にわたるドライブも心地よく楽しめるでしょう。

↑市街地を走行するZの4WD。前後の重量バランスがいいのか、路面の凹凸にも的確に対応してショックが少ないドライブフィールが楽しめた。

2WDとの乗り心地の違いはどこから来るのでしょう? まず、4WDには後輪用に備えた約100kgのモーターの重量が加わっています。さらに4WDの後輪にはスタビライザーも加えられており、この相乗効果が乗り心地アップにつながっていると推察できます。

いずれにしろ、4WDは2WDよりも44万円高くなりますが、個人的にはこれだけでも「4WDにする価値は十分ある!」と実感した次第です。

さらに4WDは走りでも優れたパフォーマンスを発揮します。2WDと同じ駆動モーターを前輪用に使いつつ、後輪用に最高出力48kW/最大トルク114Nmのモーターを追加。これにより、システム最高出力は135kW、最大トルクは307Nmとなり、2WDと比較してはるかに高いパフォーマンスを発揮するのです。それだけに、どの速度域でもアクセルを軽く踏んだだけで簡単に交通の流れをリードできました。この醍醐味を味わえば間違いなく「BEVにして良かった」と実感できるでしょう。

また、運転して楽しかったのが2WDにも搭載される「イージードライブペダル」。これはアクセルペダルを戻したときに発生する回生ブレーキを活用して車速をコントロールできる機能で、他社も採用するいわゆる“ワンペダル”に類するものです。

eビターラではその減速量を3段階で選べますが、個人的にはもっとも強い効果が出る「強」がオススメ。このモードにしておくとブレーキを踏む機会が驚くほど減ります。これは市街地でのスムーズな走行につながるだけでなく、峠道を走行したときにも大きな効果を発揮します。

↑シフトノブは上から押して左右に回転して操作するタイプ。電動パーキングブレーキは標準装備。写真はZの4WD。
↑シフトノブ左側には、イージードライブペダルと、ヒルディセントコントロールのメインスイッチを装備。
↑右側には3モードのドライブモードスイッチが備わる。

フルスペックのADASを搭載し、最先端デジタルコックピットで近未来感を演出

先進安全運転支援(ADAS)は単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたもので、予防安全として歩行者や自転車も検知し、交差点での出会い頭や右左折時の事故による被害軽減など多彩な分野で役立てられます。高速道路や自動車専用道路を走行中の運転操作の負担を軽減するアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)も備えられ、その制御はごく自然なものとなっていました。

↑高速道路をACCを使って走行。先行車との間隔も自然なフィールでコントロールできていた。センサーは単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせ。
↑デジタルコックピットとして提供されている運転席側メーター。速度などの基本情報のほか、バッテリー状態やナビゲーションの情報を同時表示できる。

また、車内にはドライバーモニタリングシステムも備えられ、運転中の眠気や脇見運転などを検知。必要に応じて警告もしてくれていました。ただ、欲をいえば電動シート側にメモリー機能を用意して、ドライバーごとのシートポジション自動化なども実現してほしかったところです。

↑「インテグレーテッド・デジタルコックピット(IDC)」は画面を機能別に最大3分割で表示可能で、その位置はドラッグ&ドロップで自在に変えられる。
↑IDCには音声認識機能を備え、さまざまな車内機能の操作に役立つ。ただしカーナビの目的地検索には対応していない様子だった。

そして、見逃せないのがeビターラに初採用された「インテグレーテッド・デジタルコックピット(IDC)」です。

これは、10.1インチのセンターディスプレイと10.25インチのメーターディスプレイを同一平面上に配置し、直感的な操作を可能にする新世代の統合型インターフェースディスプレイとしたものです。メニューの階層が深く、操作に手間がかかるものの、そのデザインはBEVらしい先進感を演出。ニーズに応じた多彩な表示機能や音声認識機能も搭載し、ここでは駆動用バッテリーの状態や平均電費やエネルギーフローなども確認できます。

↑バックモニターは表示を必要に応じて3モードから選べるが、カメラの解像度はあまり高くない。
↑スマホともつながって充電状態をチェックでき、空調のON/OFFなども操作できるスズキコネクトは3年間無料で利用可能。さらに緊急時のヘルプネット機能も備える。

また、IDSはシステムをひとつのECUの配下に置くことでインターフェースやアップデートまでも含む、より自由度の高いシステムにしたことも大きなポイントです。現状では「SDVライト」として、OTA(Over The Air:無線通信による更新)によるアップデートは地図データにとどめているようですが、将来はインターフェースや各機能の進化・改善などに活用されることが期待されます。

eビターラはそんな近未来までも見据えたスズキの世界戦略車なのです。

【フォトギャラリー】

撮影:松川 忍

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