災害により寸断された「ローカル線」−−不通となっている19路線の現状をチェックする【前編】

ink_pen 2019/11/9
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災害により寸断された「ローカル線」−−不通となっている19路線の現状をチェックする【前編】
星川功一
ほしかわこういち
星川功一

編集プロダクション・トゥインクル代表。学研プラスの「鉄道図鑑シリーズ」や、「大人ののんびり鉄道の旅」誌の発刊に携わる。本職は編集者なのだが、無類の鉄道好きで年間100日近く、全国を乗り鉄、撮り鉄し放題の日々を送る。

②【東北の不通区間2】リアス線につながるJR八戸線にも被害が

久慈駅で三陸鉄道に接続するJR八戸線。こちらも海岸に沿って走る区間で主に台風19号の被害を受けた。

 

◆JR東日本 八戸線:台風19号(10月12日)の被害

不通区間 階上駅(はしかみえき)〜久慈駅間37.4km
被害状況 11か所で盛土流出、12カ所で法面(のりめん)崩壊
復旧見込み 2か月程度

 

↑八戸線も太平洋沿岸を走る区間が不通となっている(写真は有家駅/うげえき・付近で)。走るのは2017年12月から八戸線での運行が始まったキハE130系500番台

 

同線の不通により美しい海景色が楽しめると人気だった観光列車「TOHOKU EMOTION」も11月30日まで運休。12月以降の運行は決まり次第、と発表されている。

 

 

③【東北の不通区間3】阿武隈急行線の宮城側区間に甚大な被害が

東北本線の福島駅と槻木駅(つきのきえき)間の54.9kmを走る阿武隈急行・阿武隈急行線。ほぼ阿武隈川に沿って走る路線で、車窓から望む阿武隈川の流れが美しい。途中、台風19号による被害が深刻だった丸森町を通る。

 

◆阿武隈急行 阿武隈急行線:台風19号(10月12日)の被害

不通区間 富野駅(とみのえき)〜槻木駅間32.8km
被害状況 48か所で土砂崩れ、路盤流出、あぶくま駅ホームの損壊など
復旧見込み 未定

 

↑第三セクター経営で運行される阿武隈急行線。1968(昭和41)年、宮城県側の丸森駅〜槻木駅間が国鉄丸森線として誕生した。写真は旧丸森線として開業した南角田駅付近で

 

現在、福島県側の富野駅と、東北本線との接続駅・槻木駅間が不通となっている。ちょうど富野駅〜丸森駅は県境にあたる険しい山間部を路線が通っている。通常ならば車窓から阿武隈川の渓谷が楽しめる区間なのだが、阿武隈川が山間を縫って流れる地区だけに、影響も大きかった。

 

現在、利用者の多い丸森駅〜槻木駅間は代行バスが運行されている。ところが、県境の丸森駅〜富野駅間は代行バスもなく、移動手段がない状況になっている。

 

阿武隈急行は東日本大震災でも被災。全線復旧までに2カ月ほど期間がかかっている。阿武隈急行からはまだ復旧の見通しが発表されていない。甚大な被害を被った地域だけに、それぞれの自治体も、まずは河川や道路の改修など生活再建に向けての課題を優先に、とならざるを得ないという状況のようだ。

 

 

④【東北の不通区間4】磐越東線の復旧は11月中旬の見込み

福島県の郡山市や福島市は「中通り」と呼ばれる。一方、太平洋側のいわき市は「浜通り」と呼ばれる。この2つの地区を結んで走るのがJR磐越東線(ばんえつとうせん)だ。太平洋へ流れ込む、夏井川に沿って路線が走っている。この夏井川、台風19号とその後の大雨による氾濫が各所で起り、磐越東線もその影響を受けた。11月中旬には全線が復旧される予定とされる。

 

◆JR東日本 磐越東線:台風19号(10月12日)・豪雨(10月25日)の被害

不通区間 小野新町駅〜いわき駅間40.1km
被害状況 橋りょう盛土流出など
復旧見込み 11月中旬
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