五輪のフィギュアスケートではこれまで数々の伝説が生まれてきた。日本人にとっては今回の平昌における羽生結弦のほか、4年前のソチで浅田真央が見せたフリースケーティングなどが記憶に新しい。
そんなフィギュア界の伝説として、世界的によく知られているのが34年前のサラエボ五輪、アイスダンスのジェーン・トービル&クリストファー・ディーン組(英国)が披露した『ボレロ』である。
Bolero Day ? pic.twitter.com/E2pdyVhirS
— Jayne and Chris (@torvillanddean) February 14, 2018
すでに世界王者であった彼らが五輪の舞台で見せたパフォーマンスは、型破りなものだった。
A flawless performance. #OnThisDay #34yearsAgo #ValentinesDay @teamGB pic.twitter.com/JivDISzJR8
— Olympics (@Olympics) February 14, 2018
曲のテンポをスロー、クイック、スローと変えるのが当時の常識だったにもかかわらず、単調といえる『ボレロ』1曲のみを使用。自分たちの演技でドラマチックなストーリーを紡ぎだし、最後はのちに“デス・オン・アイス”(氷上の死)と呼ばれる突然の終幕……。
また、アイスダンスの競技時間は4分±10秒と決まっていたが、ルールブックには「スケーターが滑り始めてから」という記載があった。そこでこれを逆手に取り、膝をついた状態から演技をスタートさせることで演技時間を18秒も伸ばしている。
この衝撃的なプログラムは観客だけでなく審査員をも魅了し、芸術点で五輪史上初の「オール満点」を記録。見事金メダルに輝いたのだ。
It’s showtime again! pic.twitter.com/NFrg5IUplV
— Jayne and Chris (@torvillanddean) February 18, 2018
現在のジェーンとクリスはこんな感じ。彼らはサラエボ五輪の10年後、1994年のリレハンメル五輪に出場し、銅メダルを獲得。同大会のエキシビジョンで再び『ボレロ』を演じると、観客席には手書きの「6.0」(※満点)の文字が躍った。
有名な『ボレロ』の曲がフィギュアでほとんど使われないのは、彼らがあまりに偉大だからである。