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2019/9/2 18:15

投球数を巡る議論に一石を投じるか!? 投手を肘のケガから守るウェアラブルデバイスが日本でも発売に

野球における投手の球数制限が叫ばれるようになって久しい。実際に、多くの選手が投球過多で肘を壊し、10代のうちに内側側副靭帯再建術、通称トミー・ジョン手術を経験する子どもたちが多数いるという現実がある。日本でも規制やルール作りは早急に進めるべきだろう。

 

ただし、一定の登板間隔を守り球数を制限したから肘の故障に見舞われることがなくなるかというと、そうとも限らないところが難しい。当然個人差はあるし、できるだけ肘に負担をかけないフォームで投げることも必要になってくる。野球先進国・アメリカでは、そうした状況に対する1つのソリューションとして、投手の肘を守るウェアラブルデバイスが開発されているという。それが、motus BASEBALL。投球データに基づいて客観的に投球過多を可視化するデバイスである。

motus BASEBALLは、投手がセンサーを搭載したスリーブを肘に着用して投球することで、投球動作の数値やトレーニング量、肘のストレス値データを取得・蓄積する。そこで得られたデータを分析することによって、投球パフォーマンスの改善や、肘の故障の予防に役立てることができる。すでにアメリカでは、MLB球団の約半分にあたる15球団で導入されているという。

 

motus BASEBALLのセンサーを着用して得られるのは、以下の4つのデータだ。

 

・リリース時の前腕と地面の角度
・腕の振りのスピード(RPM)
・後期コッキング期の肘2nd外旋
・アームストレス値(肘UCLにかかる最大トルク)
※アームストレス値は身長・体重によって安全領域の最大値が変動する

 

これらの数値を、たとえば球種と対応させることで、球種によって変化する肘の動きをデータとして取得できることになる。つまり、球種ごとの肘にかかる負荷レベルが数値化され、故障を未然に防ぐ投球プランを考える手助けになるというわけだ。さらには変化球ごとの腕の振りの変化も可視化されるので、球種が分かりづらい投球動作の習得をもサポートしてくれることになる。

 

さらにmotus BASEBALLは、肘のストレス値から判断される適切なトレーニング量やメニューを提案してくれるほか、投球データと肘の故障歴の相関性に関する膨大なデータに基づき、独自の計算式によって『A:C値』なる数値を算出。“A:C値が1.3を超えると肘の故障リスクが26倍になる”という機械学習データから、肘のケガを未然に防ぐための対策もたてやすくなった。

 

これまで指導者や選手は、経験と感覚に基づいて投球を管理するするしか方法がなかった。投球数の管理も、結局は客観的に得られる数少ないデータの1つであったわけだ。しかし、このデバイスによって投手やコーチは、ようやく科学的裏付けとなる客観的な判断指標を獲得。投手が肘の故障から身を守り、長く選手として活躍できる方法が確立されてきたことになる。

 

MLBの世界では、すでに2015年以降、motus BASEBALLの試合中の着用も認められており、投球量の継続的な管理と投球の改善に取り組んでいるという。そしてこの9月には日本でも公式販売がスタートする予定。販売価格は専用のセンサーや装着用スリーブがセットで2万9800円。データは専用アプリをインストールして見ることになる。なお、アプリはiOSのみとなっており、Androidは未対応なので注意が必要だ。公式サイト(https://motus-baseball.site/)では初回限定分の先行予約を受け付けている。

 

投球数の規制よりも登板間隔を空けるべき、いややはり投球数に関するルールは必要などなど、投手のケガ予防に関する話題は、現在もさまざまな場面で議論されているが、motus BASEBALLという新デバイスによって、状況が少しでも良くなることを期待したいところだ。

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