いざクラブフィッティングを体験!
筆者の腕前を考えるとSIM MAX-Dが最適に思えますが、まずはフラグシップモデルであるSIMドライバーから試してみます。ロフト角は10.5度。シャフトはSIMドライバーの標準シャフトである「TENSEI SILVER TM50 CARBON」でフレックスはS、キックポイントは「中」です。なお、コロナ禍前はグローブとシューズの貸し出しを行っていましたが、現在は中止しているとのこと。
打ち始めから3球目で、キャリー177ヤード、ラン206ヤードと、いつもの自分の球筋が出ました。ヘッドスピードは35.5m/sと、これまたいつも数値です。「打ち出し角が低く、スピン量が少なめ。だから球が上がらない。打ち出し角が低いのはフェースの下に当たっているから。まずはティーを高めに設定しましょう。スイング軌道がアウト・インが強いのでフェースの返りやすく、ミスヒットをカバーすべくスイートエリアが低いヘッドにして、スピン量を稼ぐために柔らかいシャフトにしましょう」(阿部さん)
阿部さんのアドバイスにより、ヘッドをSIM MAX-D、シャフトは同じTENSEI SILVERでフレックスSRに変えてみます。しかし、あまり変わったようには見えません。でも、「スイングが力強くなりました。キャリーで183ヤード出ており、先程より10ヤードくらい伸びています。ボール初速も少し上がっています。振りやすくなったためでしょう。ヘッドをDタイプに変えたことでボール落下点のバラツキも少なくなっています。でもまだスピン量が足りない。より柔らかいシャフトのほうが良さそうですね」(阿部さん)
ということで、TENSEI SILVERのRシャフトに変えてみます。「これまで安定してドローボールを打っています。Rシャフトにするとヘッドが返りやすくなって余計に左に行ってしまう可能性もあるので、もっと右に打ち出す意識を持ち、身体を使って思い切り振り切るように打ってみてください。右に行くのを怖がらずに」と、打つ前にくれたアドバイスを心に刻み、思い切り振ってみました。
キャリー195ヤード、ラン219ヤード!! ヘッドスピードは38.3m/s! しかもドまっすぐに飛んでいます! すごいすごい!! ミスヒットでも189ヤード出ているのだからすごいですね。「Dタイプはオートで球がつかまるので人間が合わせる必要がない。クラブ任せで思い切り振ればよいのです。先程まではクラブヘッドを置きに行っていましたが、今回は思い切り振り切っており、シャフトのしなり戻りもちょうどよい場所で行われています。そのため、ヘッドスピードが38出ており、ボール初速も今までで一番速くなっており、球も高い。230ヤードも夢じゃないです。あとは芯に当てられるよう練習の積み重ねです」(阿部さん)。うひゃー!うれしー!
まさにフィッティング効果。感動です! これはゴルフが楽しくなります。実はこれまで筆者はカッコつけていました。というのも、周囲の同年代ゴルファーの多くがSシャフトを使っているため、Rシャフトはシニアが使うもの、50代前半で使うのはカッコ悪いと思い込んでいたのです。なので、頑なにSR以上のシャフトを選んでいました。でも、そんなところ誰も見ていないんですよね。
「自分の思い込んでいるカッコよさにこだわっていると、自身が本来持っている良さが消されてしまう。本当は速く振れるのに、道具が合わなくて速く振れない。自分が思い切り振れるスペックのクラブを選ぶのが上達のコツです」と、阿部さんは爽やかに笑います。何の役にも立たないプライドはかなぐり捨てて、素直に自分の技量と筋力と経験に合った道具を選ぶべき、ということが痛いほどよく分かりました!