1980年代後半から1994年まで、F1は日本でも社会現象ともいえるほどのブームとなった。そのなかでも、初期のブームを牽引したのが、アラン・プロスト、ネルソン・ピケ、アイルトン・セナ、そして“大英帝国の愛すべき息子”と呼ばれたナイジェル・マンセルだった。
そのマンセルが、自身のコレクションを世界最古の国際競売会社、サザビーズに提供。5月14日から開催されるモナコオークションで「ナイジェル・マンセル・コレクション」として出品される。
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計5台の希少なコレクションの1台が、1989年のフェラーリ640。セミオートマチックトランスミッションを初めて実戦に投入したマシンで、マンセルは初戦のブラジルGPでマクラーレン・ホンダのプロストを抑えて優勝を飾った。さらに第10戦のハンガリーGPでは、予選12位から猛然と追い上げ、マクラーレンのセナをファステストラップでオーバーテイクしシリーズ2勝目をマーク。この伝説的な一台は推定落札価格250万~500万ユーロ(約3億2000万~6億4000万円)と見られている。
そして、1991年のドライバーズランキング2位を飾った「レッド5」ウィリアムズ・ルノーFW14だ。
Williams’ Nigel Mansell gives a lift to McLaren’s Ayrton Senna at the end of the 1991 British Grand Prix. Mansell had won the race and picked up Senna post race who had run out of fuel. pic.twitter.com/ohtuRB6nvN
— Williams Database (@WilliamsdbF1) March 3, 2022
第7戦のフランスGPから3連勝を飾ったマンセル。第8戦、マンセルの地元イギリスGPでは独走で優勝すると、ウイニングラップの途中、そこまで2位だったセナがファイナルラップでガス欠。コース脇にたたずむセナの近くにマンセルはマシン停車し、セナをサイドポンツーンに乗せてウイニングランを続けたのだ。
「セナ・タクシー」と呼ばれたこのシーンはF1ファンの間でも伝説となっている。そして、1991年シーズン終了後、ウィリアムズはマンセルの成功を称えてこのFW14-5を贈った。ルノーのV型10気筒エンジンはシーズン終了後にルノーに移管されたため、オリジナルそのものではないが、落札価格は150万~300万ユーロ(約1億9000万~3億8000万円)となっている。
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この他にも、マンセルにまつわる希少車3台が含まれるが、フェラーリ640とウィリアムズFW14は、それらの時代のF1を象徴する重要なマシンだけに、一体いくらで、誰が落札するのか、その動向が大いに気になるところだ。