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2022/3/24 20:10

一体成形のソールが超画期的! アディダスの新作ゴルフシューズに、元ゴルフ誌編集者のGetNavi編集長も思わず感動の「ファーーー!」

2022年で創刊40周年を迎えた、押しも押されぬモノ誌の決定版「モノ・マガジン」と、創刊23年目を迎えたピチピチの“新卒世代”「ゲットナビ」とのコラボ連載は第2回。世界的スポーツブランド・アディダスのゴルフライン、その名もアディダスゴルフのショールームを訪れました!

 

アディダスゴルフが扱う製品のカテゴリはウエア、シューズ、バッグ、アクセサリーなど。すなわち“クラブ以外”と多岐に渡りますが、今回はシューズのフラッグシップ「TOUR360」の最新世代に注目。なんでもアウトソールに画期的な機構を備えていて、いまゴルフ界で話題沸騰中だというのです。

↑アディダスゴルフの森 悠馬さん(右)と田中温子さん(左)にお話を伺った。幼少期からゴルフに親しんできた森さんはプレーヤーとしてもかなりの腕前だという

 

元ゴルフ雑誌編集者としてアディダスの着用歴は15年以上!

何を隠そう、私は週刊のゴルフ雑誌で編集者としてのキャリアをスタートさせた男であります。プロツアー担当として、シーズンに入ると北は北海道から南は沖縄まで、トーナメント取材のため全国各地の開催ゴルフ場を訪れていたあのころ。一日中コース内を歩き回っていた私の足は、いつもアディダスのゴルフシューズをまとっていました。

 

アディダスのシューズを選んだ理由は、オジサン臭くないデザインだからとか、信頼のブランドだからとかそんな感じでしたが、何だかんだ4年くらい愛用。もちろん自分がラウンドするときも履いていたので、マイファーストゴルフシューズとして非常に愛着のあるブランドなのです。私が初めてアディダスのゴルフシューズに足を通してから15年以上。圧倒的に進化を遂げた(当たり前か)最新のフラッグシップモデル「TOUR360 22」が登場しました!

↑アディダスゴルフ期待の新製品だけに、森さんのプレゼンもアツくなります。編集長2人は思わず引き込まれました

 

※モノ・マガジン前田編集長のレポートは記事の最後にリンクがあります!

 

二つの目で見ればピントが合う!

ゲットナビ×モノ・マガジンの「ヒット」スコープ
– Target 2.アディダス「TOUR360 22」-

↑3月10日に発売されたばかりの「TOUR360 22 BOA」(2万7500円/編集部調べ。以下同。BOAモデルは、ダイヤルを回してレースの締め付け具合を調整できることと、足を包み込むようなラップ構造が特徴。一般的なシューレースを採用した「TOUR360 22」(2万4200円)も発売中

 

「スパイク」と「スパイクレス」の違いとは?

まず簡単に説明しますと、ゴルフシューズは「スパイク(ソフトスパイク)」と「スパイクレス」の2タイプに大きく分けられます。「スパイク」はソールに樹脂製の鋲がいくつも埋め込まれていて、これが地面に刺さることでグリップ力を生み出し、ショットする際の安定性を確保してくれます。スパイクはそれなりにシューズ全体が硬く、鋲がソールから飛び出ていることで多少の突き上げ感があるため、長時間履いていると足への負担は大きいです。かつてスパイクは金属製でしたが、芝を傷めることなく生育を促すという観点から、現在は多くのコースで金属製スパイクの着用が禁止されています。

 

もう一方の「スパイクレス」は、文字通りスパイクのないゴルフシューズです。見た目は一般的なスニーカーに近く、ソールを滑りにくい素材や形状とすることでグリップ性を担保しています。スパイクに比べて足にかかる負担は小さいがスイングの仕方によっては安定性という点では劣ることがある……というのが筆者のゴルフ編集者時代の定説でしたが、最近ではスパイクレスの技術が大幅に進化により、試合で着用するプロも数多くいるとのことです。

↑硬いプラスチックの鋲が埋め込まれているスパイク(左)と、スニーカーに近い感覚で履けるスパイクレス(右)

 

ざっくりまとめると、地面に刺さることでブレにくいぶん足に負担がかかるのがスパイク、足裏がフラットで快適性が高いぶん、状況やゴルファーの振り方によっては安定性に欠けるのがスパイクレス。どちらも一長一短があり、そのデメリットを少しでも解消するために、アディダスゴルフほかのシューズメーカーは日々研究を重ねているというワケです。

↑アディダスゴルフのシューズは、「TOUR360」のほか、軽量でありながらアグレッシブに振れる安定性を高めたスパイクの「ZG21」、快適な履き心地と運動性能を追求したスパイクレスの「コードカオス」をラインナップ。このほか、タウンユースにも向く「レベルクロス」がリリースされました

 

画期的な機構を備えた“第3のゴルフシューズ”

と、前置きがたいそう長くなりました。長年に渡って繰り広げられてきたこのゴルフシューズ論争に新機軸を打ち立てるのが、アウトソールに新機構「スパイクモア」を採用した「TOUR360 22」なのです。

 

この「スパイクモア」、見た目は従来のスパイクに近いのですが、液状のTPU素材を型に流し込むダイレクトインジェクション製法による一体型構造を採用したのが特徴。接地する「タービン」が動きや用途に合わせて形状が変化することで、歩行時とスイング時の性能を自動的に差別化し、スパイクとスパイクレスのいいとこ取りを実現できるというのです。……って、つまりどーゆーことだってばよ? 元ゴルフ誌編集者の私も理解が追いつきません!

↑「TOUR360 22」の「スパイクモア」アウトソール。オレンジ色のタービンが取り付けられているように見えるが、実は青いソール部分と一体成型なのです

 

もう少し詳しく説明していきましょう。比較的柔らかいTPU素材を採用する接地部分のタービンは、歩行時にバネのように反応してクッションの役割を果たし、足への負担を軽減してくれます。よりアウトソールに負荷(体重)のかかるスイング時には、タービンがさらに広がって芝を巻き込むように噛むとともに、歩行時は接地しないタービン内部やソールの適所に設置された鋭い突起物が剥き出しになり地面に刺さることで、高いグリップ性能を発揮するのです。

 

ショールーム内で実際に履かせてもらいましたが、確かに接地の感触はふんわり。ラウンド時は、スタート前練習やランチ休憩も含めると8時間以上もスパイクを履きっぱなしということもザラですし、コース内はアスファルトで舗装されているところも多いので、途中で足裏が痛くなってくるんですよね。その点、このスパイクモアならストレスを感じにくそうです。

↑つまりはこーゆーこと!

 

アウトソール一体成型のメリットはもうひとつあります。それは、シューズのサイズに応じてタービンのサイズや位置を自由に調整できるという点。

 

従来スパイクの鋲は取り外し・交換が可能という利点はあるものの、取り付けるための台座が必要となり、この台座によって設置箇所のソールの柔軟性が著しく失われ、重量も取ってしまいます。これに加えて、シューズのサイズが30cmでも22cmでも同じ大きさ・規格の鋲を使うため、クリートとその台座が占有する面積がサイズによって異なり、各サイズで必ずしも最適な性能にならないというわけです。

 

台座などが一切ないスパイクモアなら、性能的に柔軟性を持たせたかったり構造的に従来クリートでは設置できなかったりする箇所でも配置が可能になり、スイング時と歩行時の両性能を高次元で両立し、追求するとスパイクモアに分があることは間違いありません。

 

スパイクモアだけじゃない! TOUR360 22の快適設計

「TOUR360 22」には、アウトソール以外にも見どころが満載です。元々はアディダスのバスケットボールシューズで使われていた「Feet You Wearラスト」をゴルフシューズとして初めて採用。これは人間の足の微妙なカーブや形状を忠実に再現したもので、シューズの適所にゆとりとホールド感のメリハリをもたらします。

 

また、BOAモデルは、包み込むようなラップ構造の新システム「360WRAP BOA」を搭載。スイング時のアッパーの膨張やブレを抑え、安定したパフォーマンスを快適に発揮できるのです。そして、BOAといえばやっぱりフィット感を微調節できるダイヤルと、ワイヤーのように強靭なレース。ゴルフは繊細なスポーツなのでショットやパットの際にシューズのフィーリングは結構気になりますし、ラウンド後半は足がむくんでしまうこともあるんですね。この快適さは、BOAモデルでこそ実感できるものでしょう。

↑BOAモデルを分解するとこんな感じ。包み込むような設計が特徴だ

 

↑ソールをさらに細かく分解。シューズと足をシームレスにフィットさせる「デュアルスタック・ミッドソール」や「360WRAP」により快適性を高めている
↑調節ダイヤルを側面に搭載。好みに合わせて細かくフィット感をコントロールでき、もちろんレースがゆるんだりほどけたりするストレスもない

 

そうこうしているうちに、季節は春。ゴルフシーズンが到来です。実はもう3年以上もラウンドから遠ざかっている私ですが、「TOUR360 222」でゴルフ欲を刺激されて、久々にコースへ出てみたくなりましたよ! 寒すぎず、暑すぎず、芝もイイ感じに育ってくるこのシーズンのラウンドは気持ち良いんですよね~。まあ、その日を気持ち良いまま終われるか、不快なものになるかは気候よりスコアに影響されるので、とりあえず練習しないとな……。

↑モノ・マガジンの前田賢紀編集長(右)はゴルフ未経験とのことですが、筆者(左)よりもはるかにゴルファーらしい風貌。いつか仲良くラウンドできる日が来るといいな

 

前田編集長のレポートはこちら→https://www.monomagazine.com/40888/

 

写真/鈴木謙介