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2022/8/4 11:15

来年が待ちきれんって!新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」とパナソニックのタッグが期待感しかない

野球ファンだけにとどまらない人気を獲得している「きつねダンス」、BIGBOSS(新庄剛志)監督による積極采配、2023年の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」(以下、エスコンフィールド)への本拠地移転など、球界に多くの話題を振りまいている北海道日本ハムファイターズ。そのファイターズが、新球場移転に伴ってパナソニックとのパートナーシップ契約を新たに締結、パナソニックが新球場に提供する照明技術などとあわせた発表が行われた。

 

「エスコンフィールドHOKKAIDO」と、その周囲に広がるボールパーク「Fビレッジ」。その具体像はどのようなものなのか。両社のパートナーシップに注目しながらレポートする。

 

世界初・日本初が満載の、球場を中心にした“街”

2023年3月に開業予定のエスコンフィールドは、北海道日本ハムファイターズが球団初の“自前球場”として、建設工事が行われている。ガラス張りの壁面や、開閉式屋根と天然芝の組み合わせなど、これまでの球場にはなかった画期的な試みが多く詰まった、“21世紀型”ともいえる球場だ。

 

球場内では、宿泊しながら観戦が楽しめる宿泊施設や、世界初の球場内温泉・サウナ施設が入った5階建てのビルや、センター後方からフィールドを一望できるブリュワリーレストランなど革新性あふれる施設がグラウンドを囲っている。

↑エスコンフィールドと周囲の施設。球場の形状が異彩を放つのはもちろんのこと、近くに建つマンションなど、“従来のボールパーク”からも進化した全容になっている

 

球場周辺の32ヘクタール(東京ドームの建築面積の7倍弱)にもおよぶ敷地には、エスコンフィールドを中心としたボールパーク「Fビレッジ」が広がる。土地を新規開発できるという強みを活かした広大なボールパークには、ショッピングモールや宿泊施設はもちろん、体験型農園、認定こども園や子ども向けの遊戯施設、さらにはマンション、シニア向けのレジデンス・メディカルモールなどが立ち並ぶ。「世界がまだ見ぬボールパークを創る。」というコンセプト通り、球場を中心としたひとつの街がそこに完成しているといえよう。

↑Fビレッジに立ち並ぶ施設の地図

 

球場と街を照らす、選手にも人にもやさしい灯り

そのボールパークを電気設備の面で支えているのが、パナソニックだ。球場内の照明や、演出に用いられる約600のサイネージ、映像制作プラットフォーム、球場全体の冷暖房熱源装置を納入している。特に、球場の照明では、エスコンフィールドのために開発したオリジナルのLED投光器を合計354台設置。プレイヤーファーストの競技環境実現のため、各照明が照らす方向を微妙に変えるなどして眩しさを抑制、「照明の光が選手の目に入ってフライボールを落としてしまう」などの事態を防いでいる。

 

照明の演色性の高さもポイントだ。演色性とは「太陽の光に近い色を出せるか」を表した指標で、Raという単位を用いて表される。演色性が最大の場合はRa100となり、虹色の7色で構成される太陽の光と同じ鮮やかさが再現できていることになる。現在の技術では、Ra100の照明はまだ実現していないのだが、エスコンフィールドではそれに迫るRa90以上の照明を導入した。

 

これにより、球場の魅力である天然芝や、選手たちの姿がより映えて見えるというわけだ。せっかくの天然芝球場なのだから、その魅力を活かすという意味でも、この照明の存在意義は大きい。このRa90以上という数値は、国内の他球場と比較しても最高級のものだ。

↑演色性が高い照明を使用すると、モノの色が鮮やかに見える。球場での生観戦はもちろん、テレビのモニターを通しての観戦でもこのメリットは発揮される

 

また、エスコンフィールドには、世界の球場でも最大級の大型ビジョンが2つも設置されている。同球場のLED投光器は、瞬時の滅点灯と、1台ごとの制御に対応してるため、スタメンの発表時や得点時などには、ビジョンと照明が連動した圧巻の演出が繰り広げられる。

 

その模様については、下記の3D動画を参照してほしい。前半では、照明の照射角度のシミュレーションが、後半では実際に行われる演出の様子が収録されている。(ビジョンに写っている演出は2022年時点のもの)

 

エスコンフィールドの照明は、選手、観客双方にとって、魅力のあるものに仕上がっている。しかし同球場の革新性ゆえ、その照明を実現するためには、独自の取り組みが必要だったと、担当者は語る。その最大の難点は、照明を設置できる場所が限られていたことだった。球場の仕組みの都合上、投光器を設置できる場所は天井のわずか6か所。

 

しかも、ライン状に設置しなければならないという、いまだかつてない形状だった。そこでパナソニックでは、VR技術を使い、工事前に照明環境を事前検証。従来のような図面ではなく、各地点からの見え方を「サイバードーム」という1/1スケールで体感できる装置などを使って入念なプランニングを行なったという。

↑エスコンフィールドの照明設置位置。赤枠部分と青枠部分で取り付けられる照明が異なる。赤枠には明るい2kW相当の照明、青枠には出力を抑えた1kW相当の照明が設置されるという

 

球場の周囲、ボールパーク内の照明もパナソニックが担当している。全周への確かな明るさが必要な駐車場は高さのあるポールライト、人々が集まる広場には広い範囲を照らせるライトを、沢の周囲に広がる自然あふれるエリアにはその雰囲気を醸し出す低い位置で淡く光る街灯など、場所ごとのニーズに応える照明を設置した。球場外・ボールパークエリアの照明は約450台に達している。

 

球場にマッサージチェア!? 3塁側ダグアウト「Panasonic CLUB LOUNGE」に注目

さらにパナソニックは、ファイターズとのパートナーシップを象徴する取り組みとして、球場内3塁側ダグアウトに設置されるラウンジのネーミングライツ(命名権)を取得。スポンサーとしても球団を後押ししている。「Panasonic CLUB LOUNGE」と名付けられたこのスペースは、選手と同レベルの目線から観戦できる座席を備えたシート部分と、その座席裏にある室内部分から構成される。

 

室内には、食事や歓談ができるエリアが広がり、その一角には、マッサージチェアなどのパナソニックの最新製品を体感できるスペースもあるという。ガラス張りの壁面、球場内の温浴施設など、他に例を見ない設備を数多く備えるエスコンフィールドだが、マッサージチェアがある球場も、おそらくここだけだろう。

↑Panasonic CLUB LOUNGEで体感できる、パナソニック製品の例

 

2020年5月に着工したエスコンフィールドおよびFビレッジの工事は、すでに佳境に入っており、竣工予定は2023年1月。同年3月には開業予定だ。北の大地に現れるその球場と街の誕生が、いまから楽しみだ。