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2022/11/7 20:45

ニューバランス「FuelCell Rebel v3」。期待のアイドル誕生⁉/「大田原 透のランニングシューズ戦線異状なし」

いよいよ、FuelCell Rebel v3で試走!

開発の話をたっぷり聞いたところで、FuelCell Rebel v3の試走スタート!まずは、シューズに足を入れた感覚のインプレを行った。そして、初心者も含め、多くの方々がランニングシューズを履く、3つの理由に合ったペースで実際にフィールドを走ってみた。

 

最初は、「運動不足解消」が目的、1㎞を約7分で走る(=キロ7分)の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分で走る(=キロ6分)ゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッとラン」。FuelCell Rebel v3の実力、試してみたぞ!

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感)】

ちょっとズルいくらいの、足馴染みの良さ。ヒールカウンターも薄い割に堅牢で、踵をしっかり固定してくれている。何と言っても、ガセットタンである! 足の甲をシッカリ包み込んだ上で、私好みの薄手の平紐のシューレース(靴ひも)によって、シューズと足が心地よく一体になる。

 

立ち上がって歩くと、なるほど“モチっと”な気がしてくる。ミッドソールを手の指で押すと、心細いほど軟らかいのに……。正直に書くと、前回紹介した、いちばん軟らかい「フレッシュフォーム」よりも、Rebel v3の「フューエルセル」の方が軟らかく感じていたのだ……。これって、ありなの?

 

しかしながら、立って歩いている限りでは、深く沈み込み過ぎたりはしない。「履き心地バツグン!」とは書かれているものの、ランニング厳禁のチャチな街履きシューズにあるような悪い感じは、さすがにゼロである。「どう?」と聞かれたら、「いい感じだよ」と、素のまま返したくなる違和感のなさだ。ますます、これってありなの?

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

「1㎞を7分で走る」スピード調整に手間取る。普段は、目をつぶって(あくまで比喩)も、感覚的に思い描いたスピードを出せるのだが、このシューズでは上手くいかない。7分で走っているつもりが、6分35秒……。困ったことに(笑)、速く走れちゃうのだ。

 

なるほど間宮さんが言っていた通り。体感より早いペースで、軽く走れ、面白いほど進む。“万能シューズ”として期待されるのは、すぐに理解できる。これって、ありなのかもしれない……。と、思った矢先に感じたのは、土踏まずへの、わずかな心もとなさ。このペースでは心配ないので、もう少しペースを上げてみよう!

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

「1kmを6分のペース」で走っているつもりが、GPSランニングウォッチでチェックすると、5分45秒……。ほくそ笑みながら、ペースを落とす。ペースが落ち着いたところで、先ほどのアーチ問題。

 

筆者は普段、走力的にもアーチサポートが効いたシューズに履き慣れている。そのため、わずかな心もとなさを感じた。それもそのはず、FuelCell Rebel v3は、アーチサポートを必要としない走力の高いランナー向けの厚底カーボンプレート入りシューズ「FuelCell RC Elite」と同じ製法を採っているから。なるほど、それなら納得(FuelCell Rebel v3には、カーボンプレートは入っていない)。

 

日常的なトレーニングも含め、厚底カーボンプレートシューズでの走りに慣れたエリートランナーにとって、FuelCell Rebel v3がゴキゲンな一足であることは想像に難くない。加えて、普段から意識せずに、足の前部(ミッドフット)や中部(フォアフット)で着地している人は、ほとんど違和感はないはずだ。

 

問題は、“昭和のヒールストライカー”の我らである。踵での着地から、今さら走り方を替えするつもりもなく……。という頑迷な私たちは、どうすべきか? 昭和のヒールストライカーのひとつの答えを、ペースアップしつつ考えてみよう。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

いつの間にか、1kmを4分15秒で走っている。スカッと爽快だが、喜んでいる場合ではない。ペースを調整し、さっそく昭和のヒールストライカー問題である。

 

頑迷ながら執着が薄い筆者の場合、実は、思い切ってペースを上げるのはひとつの答えだ。“ダッシュに近くなったり、上り坂では踵着地をしなくなる”とは、ランニングの教科書の請け売りだ。となると、履くシーンを変えれば良い!

 

まさに「スカッと走」用として、5kmや1okmのミニレースや記録会でならば、FuelCell Rebel v3を履きながら、地脚(走力)作りに繋げられる。速く走れるシューズだけに、速く走らせてあげよう。(もちろん、フォアフットやミドルフット着地の方々なら、複雑に考える理由は何もない)

 

さらに、ここからは勝手な妄想だが、次の2つのいずれかなら、私たち昭和のヒールストライカーも、FuelCell Rebel v3で暴れられるのではなかろうか? ひとつは、ミッドソール内側のアーチ部分の「フューエルセル」を、もう少し硬度の高い仕様にする。もうひとつは、「Data to Design」に基づいたハニカム構造(詳しくは、前回を参照)の採用で、内側のアーチ部分に凸のパターンを刻み込む。

 

「まずは、YOUのレベルの方こそ、バージョンアップをしなよ~♪」と、赤トンボが囁いたように聞こえたのは空耳だろうか……。それを言っちゃあ、おしまいなのに……。

 

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撮影/中田 悟

 

 

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