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ランニング
2023/2/16 20:30

世界初! サブ4を目指すランナー向けシューズ「S4」誕生のきっかけはアシックス社長の不満から!?

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中止や延期となっていたマラソン大会がようやく通常通りに開催されるようになってきました。自身の記録更新を目指すランナーにとっては、また目標を持ってランを楽しむことができます。そんなランナーたちの最初の壁であり、誰もが目指すのがフルマラソンを4時間以内で完走する“サブ4(S4)”です。

 

アシックスは今回、サブ4達成を目指すランナーに向けて『アシックス「S4(エスフォー)」ローンチイベント』を開催。シューズの販売だけでなく、トレーニングメニューやレースまで提供する、世界初のパッケージでサブ4達成を全力支援します。

↑「S4」は、2月16日よりアシックスオンラインストアで先行発売し、23日からアシックス直営店(一部店舗を除く)、全国のスポーツ用品店などで順次発売されます。価格は2万2000円(税込)

 

54歳で“サブ4”を達成した廣田社長が抱いた不満

アシックス代表取締役社長CEO兼COOの廣田康人氏もサブ4を目指したランナーの一人。50歳でランニングをはじめ、54歳で参加した「東京マラソン」でサブ4を達成し、現在も精力的に大会に参加していますが、シューズには不満を持っていました。

 

「世の中にはいろいろシューズはありますが、サブ4向けのシューズがないことは私にとって大いに不満がありました」(廣田氏)

 

そんな社長が自身の不満を解消すべく開発陣を呼び集め、サブ4専用シューズの作成を依頼。そうして完成したのが今回発表された「S4」なのです。

↑「サブ4を達成した時の喜びは今でもよく覚えている」という廣田氏

 

「この『S4』は、トップアスリート向けの『メタスピード』などで培った技術をふんだんに盛り込んだうえで、サブ4向けに安定性を高め、クッション性も取り込んでいます。サブ4ランナーにとって、大きな壁となる30キロ地点でも足が残っている。そんな構造としております。そして今回は、シューズをローンチするだけでなく、サブ4を達成するためのトレーニングコンテンツ、そしてサブ4を実現するレースも用意しました」(廣田氏)

↑シューズボックス内のQRコードからサブ4を達成するためのトレーニングメニューにアクセスでき、リアル、オンラインでメニューが体験できます。さらに、5月14日・大阪(淀川河川敷コース)、5月21日・東京(国立競技場)で、サブ4達成への挑戦をテーマとした特別フルマラソン「チャレンジ4」を開催します

 

レースでの記録向上を目指したい日本のランナーに向けて

昨年の東京マラソンでは、完走者1万8000名のうちサブ4達成者は30%程度と高い壁となっていますが、同社では日本のランナーはレーシング志向が強く、レースでの記録向上を目指すランナーが多いと分析し、まずは日本限定で発売。その結果を見て海外での展開も検討するようです。

 

この「S4」は、「Sub4(サブ4)」の「S」はもちろん、「Speed(スピード)」「Stability(安定性)」「Safety(安全性)」の4つの「S」の要素を備えています。続いて、パフォーマンスランニング フットウエア統括部 開発部の谷垣雄飛氏が商品の特徴を紹介しました。

↑「サブ4を目指すランナーに、私たちの最適解を届けたい」と語る谷垣氏

 

「S4」最大の特徴が、ミッドソール内の前部から後部にかけて搭載されているカーボンプレート。V字形状のプレートが、つま先に向かって下がるよう傾斜をつけて配置することで、着地から蹴り出し時の足の動きを安定させ、効果的に体を前方向へ推進させるようになっています。

 

「フォーム材は、『メタスピード』に搭載しているアシックス史上最軽量、高反発素材の「FF BLAST TURBO(エフエフブラストターボ)」をミッドソールの上層部に搭載し、下層部には軽量なクッションフォーム材「ブライトフォーム」を採用し、安定性も兼ね備えた最適な反発性を提供します。

↑着地と同時に変形、圧縮し、素早く元の形状に戻ることで、跳ね返るような感覚が得られる

 

また、安定性確保のためにアウトソールの接地面を広げることで、反発力を持ちながらもサブ4達成を目指すランナーに適したライド感になるよう工夫しました。さらに、耐久性の向上にもつなげています」(谷垣氏)

↑さまざまな路面コンディションでもグリップ力を発揮する「ASICSGRIP(アシックスグリップ)」

 

アッパーは、上位モデルのメタスピードのデザインを踏襲し、同シリーズや「エッジプラス」と同じ軽量かつ通気性に優れた「モーションラップアッパー」を採用。フィット性も高めています。

↑シューレースについてもメタスピードシリーズ同様、凹凸のあるシューレースを採用することで、走行時に発生する緩みも抑えます

 

「アシックスはこれまで、サブ4を目指すみなさまに『エボライド』『マジックスピード』『GT2000』など様々な商品を紹介してきましたが、それぞれのモデルと比較して、抜群の推進性が大きな特徴となっています。サブ4という壁は、最適なシューズとトレーニングメソッドで打破できるというメッセージを伝えたい。実際、開発中に協力してくれたランナーでも、10年間かなわなかったサブ4を『S4』を履いて達成しています。この『S4』との出会いが、みなさまにとって後押しになれれば光栄です」(谷垣氏)

 

サブ4達成に欠かせないのは継続性

続いて、先日の香川丸亀国際ハーフマラソンでシーズンベストの62分51秒を記録した、市民ランナーから圧倒的な支持と人気を集めるプロランナー・川内優輝選手が駆けつけました。ちなみに丸亀国際には廣田社長も参加し、「S4」を履いて1時間53分7秒で完走。

 

川内選手(中央)とともに、サブ4ランナーの代表として廣田社長(左)、アシックスランニングクラブ コーチでもあるママランナー・池田美穂さん(右)も参加し、トークショーが行われました。

↑それぞれの目線で「S4」の印象やサブ4について、和やかに行われたトークショー

 

まず「S4」を履いてみた印象について、それぞれ語ってくれました。

 

「デザインはアシックスのスピードモデルと似ていますが、履き心地は違う。スピードモデルは筋力が必要だったり、ある程度トレーニングをしないと履きこなせない。S4は安定しているので、サブ4を狙うランナーにはすごく履きやすい。踵から着地すると推進力が得られるので、踵着地のランナーにはすごく合うシューズだと思います」(川内選手)

 

「前方への足運びが良くて『このシューズは違うな』と思いました。丸亀国際で履き、自分では(1キロ当たり)5分30秒ぐらいと思っていたところ5分10秒でいけたので、かなりいいシューズだと実感しました。しかし、最初から突っ込みやすい私のような性格は、気をつけないといけないシューズだと思います」(廣田氏)

 

「履いてすぐにライド感(スムーズな重心移動)が分かり、アッパーのフィット感の高さもしっくりくるシューズです」(池田さん)

↑サイズ展開は22.5〜29.0cm(0.5cm刻み)。カラーはハザードグリーン×ホワイト1色のみ

 

そして、サブ4を達成するために必要なことについて、それぞれが語ってくれました。

 

「継続して練習することが大事。足が痛くなったら無理しない。故障して長期間練習ができないと難しくなってきます。日常生活のなかで少しでも走る時間を見つけて、15分でも10分でもいいので必ず走るという習慣をつけることが大事」(川内選手)

 

「まずは怪我をしないためにランニングフォームの見直し、ストレッチをして欲しい。そして、練習。またペース感覚を養ってほしい。今、何分ペースで走っているのか分かるのもひとつですが、自分の体は何分ペースだとどれぐらいまで持つのか、体力の残量を見極める力も必要。ハーフマラソンや30kmマラソンに参加することで、足の感覚と呼吸の感覚の判断力は付いていくと思います。勢いだけではなかなか42キロは行けません。自分の体力がどれくらいだったら最後まで歩かず、走りきれるかのペース配分を養えれば、フルマラソン4時間切れると思います」(池田さん)

 

「サブ4をなんとしても達成したいという気持ちを強く持つこと。市民ランナーの中でサブ4を達成しているしていないかは、勲章があるかないかぐらいのもの。勲章が欲しいという気持ちは大切だと思います」(廣田氏)

 

最後には、それぞれがサブ4を目指すランナーへの応援メッセージを披露しました。

↑「練習が必要とばかり言いましたが、私たちも一緒に頑張る。応援している人がいっぱいいることを思い出してほしい」(池田さん)

 

↑「自信を持って出したサブ4ランナー向けのシューズです。みなさんにサブ4を達成していただきたい」(廣田氏)

 

↑「防府読売マラソンはサブ4を達成することで出られる大会。サブ4を達成するということはステータスになる。一緒に走りましょう」(川内選手)

 

近年は、厚底シューズ中心に各メーカーがトップランナー向けの革新的なシューズを発表していますが、一般のランナーにとっては憧れるものの、どうしても履く人が選ばれます。しかし今回発表された「S4」は、見た目はトップモデルながら多くのランナーが安心して履けるシューズ。

 

サブ4を目指すランナーだけでなく、新型コロナなどの影響でブランクがあるサブ4達成者など、力強くランをサポートしてくれる「S4」とともに、パッケージも見逃せません。

 

撮影/我妻慶一、編集部、オフィシャル

 

 

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