ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす!ランニングシューズ戦線異状なし
2023「ミズノ」秋の陣②「ウエーブライダー27」の巻(後編)
日本が誇る総合スポーツカンパニー、ミズノ。このミズノを代表するランニングシューズと言えば「ウエーブライダー」である。軟らかで、かつ高反発なミッドソール「ミズノエナジー」が着地衝撃を吸収して推進力に換え、硬質なプレートである「ミズノウエーブ」が走行を安定性させる。ランニング初心者から、42.195㎞のフルマラソン挑戦まで、幅広い走力に応える、まさにミズノのマスターピースである。
27代目となる最新ウエーブライダーの注目は、前モデル(26)で行われた“機能”の見直しを踏まえた、“履き心地”のアップデートにある。しかも、競合メーカーもビックリのお値段据え置き1万4850円という戦略的な値付けも話題となっている。
今回は、いよいよウエーブライダー27を実際に履いて、その実力を体感するレポートに移る。いつものように、ランニング初心者も含めた4つの目的別“ランナーあるある”のランレポをお届けしたい。
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いよいよ、ウエーブライダー27を試走!
まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレから。次は「運動不足解消」が目的で走る1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびり走。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)の、めらめらペース。最後は、距離ではなく、走り切る爽快感を重視した、1㎞約4分30秒~5分(キロ4.5~5分)の「スカッと走」である。
【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】
ミズノがウエーブライダー27のプロモーションで最もチカラを入れるのが、試履き体験。マラソン大会の会場や、その大会が行われる地域のスポーツ量販店にミズノの社員が赴き、シューズの履き方からレベルにあった選び方まで、訪れた人々とのコミュニケーションを通じたプロモーションを計画している。
ランニングシューズの正しい履き方は、改めて書くまでもなく、シューレース(靴ひも)を十分に緩めて、かかとに合わせて足を入れ、つま先を軽く上げて馴染ませるところから始まる。ウエーブライダー27のシューレースを丁寧に、きつ過ぎも、ゆる過ぎもせずに締める。すくっと立ちあがり、ミッドソール「ミズノエナジー」のクッションの快適さを感じたら、出来上がりである。
なるほど、ウエーブライダー27のかかとのホールド感は、さすがミズノが自信を持って語るだけの快適さ。足首回りを含め、アッパーも優しくフィットしている。一度シューズを脱いで、雑に履いてみると、どーにも違和感が生じる雲泥の差。シューズはちゃんと履こう! と改めて思い知らされる。
試しに26に履き替えると、27は同じアウトソールとミッドソールとは思えない“履き心地”だ。“さては、中敷きを換えたか……”と思い、インソール(中敷き)を引き出して、26と27を比べてみたが、色が違うだけで厚みや質感は変化なし。ケチな疑いを持った自分を恥じるほどだ(疑って、スミマセン……)。
【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】
ウエーブライダー27を履き、軽く前傾姿勢。つま先に重心を移すと、自然にカラダが前へ前へと走り出そうとなる。その理由は、ドロップが12㎜あるから。ドロップは、つま先とかかとの高低差を差すギョーカイ用語。かかと側が12mm高い構造のため、ほどよいドロップによって生まれる前傾姿勢で、カラダが前へ進むのだ。
ウエーブライダー27のドロップに導かれるまま、ゆっくり走り出す。ミッドソールの「ミズノエナジー」が着地の衝撃を快適に吸収してくれる。1㎞を7分かけて走る「運動不足解消ラン」のペース。いい感じに全身の筋肉をリラックスさせ、どこにも無理がないペースだ。一緒に走っている人とお喋りしても息も切れない。お散歩替わりのランである。
最初はウォーキングから。慣れてきても一気にペースを上げず、心肺機能も、内臓を支える筋膜も、骨や関節や筋肉たちも、ランを自然に受け止められるように慣らしてゆく。これからランニングシーズン初めにもってこいのペースだし、レースをガシガシ走る上級者が大会の翌日などに体調を整えるリカバリー走のペースにも合う。“履き心地”をアップデートしたウエーブライダー27、良い感じだ。
【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】
脚の向くまま、気の向くまま走ったら自然にペースが上がり、1㎞を6分10秒。あくまで筆者の走力での話だが、シューズ設計で想定されたドンピシャのペースでもある。なるほど初心者からマラソン挑戦者まで、ウエーブライダー27の対応レンジの厚さに納得。
お散歩(走)から、もうちょいペースを上げてもカラダが順応してくると、30分や1時間でもヘッチャラになってくる。そうなれば、体脂肪は腹回りから消え、ランニングのエネルギーへと供出される。という「痩せラン」でも、ウエーブライダー27は快適に走りを支えてくれる。
着地衝撃を優しく吸収してくれるミッドソールの「ミズノエナジー」に加え、中足部に内蔵されたプレート「ミズノウエーブ」が走行安定性を確保。内側への過度な倒れ込み(オーバープロネーション)を防止し、かかとの着地衝撃を、前足部の蹴り出しの反発へとアシストしてくれるのだ。と、構造として説明すると難しそうだが、要は、不安なく走れるってコト。
試しに、左足にウエーブライダー26、右足に27を履いてみる。(怖いので)歩くだけのつもりが、いつの間にやら「痩せラン」ペースに。機能面を共有しているので似ているけど、やはり違う。クールなお姉さん(兄ちゃん)と、愛嬌のある妹(弟)……(お好きな設定で、妄想ください)。
※インプレ用の走行テストのため、真似して走ることは推奨しません。
【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】
走る目的は、自分に勝つため! 時間がない日の2㎞走の最後の50mだけでも、風を切ってゴール(自宅前)に駆け込みたい。そんな「スカッと走」に、ウエーブライダー27は応えてくれるだろうか?
せっかくなので、石畳のあるいつもの坂道へ。上り坂でペースを上げても、ウエーブライダー27はクロスオーバーSUVのようにしっかり加速に追従してくれる。さすが、軽量にして衝撃吸収性と反発性に富む「ミズノエナジー」である。
下り坂でも、ビックリの安定性。かかとから足首回りの抜群のフィッティングで、石畳の着地も怖さを感じない。加速によって、地面からの足裏への情報が増えているにも関わらず、安定した走りが得られる(26でも試したが、軍配は27である!)。
下り切って、フラットな道に入り、再度の加速。と、ここでの打てば響くような反応性は、残念ながらウエーブライダー27は持ち合わせていない。シューズの設計的にも、ウエーブライダーに採用されている「ミズノウエーブ」の構造的にも当然の反応である。
ウエーブライダー27は、打てば響く取り扱い要注意のレーシングタイプではなく、上りも下りも快適にこなす長距離でのクルーズ感を楽しむモデル(もちろんミズノはガチなレーシングタイプのラインナップも豊富だ)。
ということで、ウエーブライダー27での「スカッと走」は、上りゴール(もしくは下りゴール)がお薦め。誰かと競り合うのではなく、クルーズ感の延長、余裕で迎える大人のゴールこそ似つかわしい。
撮影/中田 悟
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