【きだてたく文房具レビュー】ちょっとしたストレスを解消したテープのり
嫌いな言葉は? と問われれば「乾燥時間。」と答えてしまうぐらい、接着系の乾燥待ちが面倒くさい。四十半ばを過ぎても精神年齢は小学生並みなので、成果が出るまでじっと我慢して待機するのが耐えられないのである。だから、ちょっとした紙工作なんかでは、手軽かつ乾燥の待ち時間ゼロで使える「テープのり」ばかりを多用してしまうのだ。
となると当然、テープのりの新アイテムには注目してしまうわけで、今回はこの春以降に発売された面白い最新テープのりを2点紹介したい。
スルスルと軽く引けるテープのり
まずは、トンボ鉛筆から発売されたばかりの「ピットエアー」。この「ピットエアー」という名称だけでどういう新製品かピンときた人は、文房具好き黒帯レベルの、なかなか“お好きな方”だとお見受けする。
トンボ鉛筆は、使い切りまで軽い力で引ける修正テープ「モノエアー」を2016年春に発売、かなりのヒットとなった。この“軽い力でテープが引ける”機能を司る新機構「エアータッチシステム」をテープのりに転用したのが、この「ピットエアー」である。
トンボ鉛筆の消字ブランド「MONO」+エアータッチシステム=「モノエアー」、接着ブランドの「ピット」+エアータッチシステム=「ピットエアー」というわけだ。
エアータッチシステムは、ヘッドが接地している時はテープリールのテンションをオフにして軽く回転させ、ヘッドが離れると同時にリールをロックしてテープを切る、という仕組み。
従来の修正テープ/テープのりがテープをたるませないよう常にリールに抵抗をかけ続けていたのに対して、スルスルスルーッと軽く引けるのが最大のポイントである。
実際にピットエアーを使うと、確かに引き心地がはっきりと軽い。なにより、従来品がリールのギアからギリギリギリギリ……と音を立て続けていたのが、ピットエアーはほぼ無音。この静音性だけでも「おっ、これいいじゃん!」という気にさせられた。
またテープのりは、テープの残量が少なくなるほど引くのが重くなるのが、これまでの常識だった。感覚的な話だが、だいたい2/3ほど使った辺りから、手応えが確実に重くなっていたはず。これは、テープ残量が少ない=テープ供給側の直径が小さくなる。つまり自転車のリア側ギアが小さいほど重くなる、というのと同じ仕組みだ。
しかしエアータッチシステム搭載のピットエアーは、もともとの引き抵抗が圧倒的に低いため、テープの残りが少なくなっても変わらず、軽い引き心地が得られるのである。
ピットエアーののりパターンは、比較的大きなドットが端でつながり合っている網目状の「パワーネットテープ」。細かいドットが密集している他社のドット系テープと比べるとのりのキレはやや劣るが、ドット面積が大きいこともあってか、粘着力はかなり強めに感じられた。
のり自体も、曲面接着力(折り曲げた紙を貼り合わせた際に、紙の反発力によって剥がれない力)を高めた新開発のものということで、メーカーリリースでは「封筒の封かん作業に最適」と謳っている。
ヘッドに関しては、トンボ鉛筆お得意の“首振り型ヘッド”を採用し、作業時の手の傾きを吸収。雑に引いてもヘッドが勝手に紙にフィットしてくれるので、ムラなくきれいなのり付けができるようになっている。
テープのりを使うのが苦手、という人が使っても安定して作業ができるので、これは便利だ。