文房具の“持ち歩き”について考えることがある。もちろん、全部まるっとペンケースに放り込めばいいのでは? って話なのだが、そうしにくいモノもあるのだ。
その代表が、付箋(ふせん)だ。一般的な短冊形の付箋をそのままペンケースに入れると、気付くと中でバラバラに分離していたり、汚れてみすぼらしくなっていたり、ということも少なくない。だから、付箋専用ケースを使ったり、ペンケースの隔離されたポケットに入れたりといった工夫はしたいところなのだ。
さらに、ペンケースと一緒に持ち運べないケースだってある。例えば、書類を挟んだクリップボード+ペン1本と付箋、という場合。さてこれは、どうしたものだろうか?
このように、携行するには意外と悩ましい付箋だが、その問題にひとつの提案をしてくれている新製品があったので、今回はそれを紹介したい。
かっこいいロールふせんが使いやすくバージョンアップ
ヤマト「テープノクリップフセン」は、以前にもこの連載で紹介した「テープノフセン」のバージョンアップ版。
ベースとなった商品は、ソリッドでやたらとカッコいいロールタイプの付箋だが、そこへ新たにクリップとマグネットが付きました、というものだ。ボディと紙テープロールの質感が揃ってスッキリとしたカッコよさで、前モデルと同様にグッドデザイン賞も獲得している。
ヤマト
テープノクリップフセン
550円(税別)
ただ、ボディ中央のロール軸になっている部分がポコッと盛り上がっており、そこがクリップとして機能するようになっているのが、新しくなった部分。
クリップは内部に食い込みがあるので、ノートや手帳の表紙、クリアホルダーなど、薄いものでもそれなりに固定は可能。つまり、貼るモノと貼られるモノをセットにして携行できるということで、そこは単純に使い勝手がアップしたと言えるだろう。
加えられる厚みは、メーカー公称で0.4mm~2.5mm前後とある。クリップは、バネではなく素材の弾力だけで挟む構造。クリップボードでも3mm厚以上のものがよくあるので、バキッといかないように見定めつつ、あまり無理のない範囲で使うのが良さそうだ。
本来は、可動式のバインダークリップのようなものの方が運用上は向いているのだが……デザインとの兼ね合いを考えれば、これがほどよい着地点なのかもしれない。
また、クリップとは逆サイド(裏面)側にも、新たにネオジム磁石を内蔵した。金属面ならしっかりとくっつくので、冷蔵庫やオフィスのパーテーションに貼りつけての運用にも問題なさそうだ。
冷蔵庫に貼っておけば、日付を書いて貼って手作り総菜の消費期限を管理するなど、地味ながら有用な使い方もできる。携行がラクなのに加えて、置き場所に悩まなくても済むのはありがたい。
付箋としては、全面のりタイプなので、少し使い方にクセがある。ただ、長さを自由に調整できる分、慣れればいろいろと幅広く使えるのが面白い。
例えば、小さく切ってマーカーとして貼れば、紙コップなど自分の飲み物の目印にすることもできる(書き込みも可能なので、名前を書いてもいい)。手帳と一緒に携行した場合、よく開くページの端に二つ折りにして貼れば、インデックスに早変わり。テープ自体がしっかりとした硬さなので、ページを開く手がかりとしても充分に使えるはずだ。
また、付箋だけに粘着力は弱いものの、ちょっとした仮留めテープの代用として使うことも可能だ。実際、“付箋”というよりも、“多用途に貼れる紙片”と捉えた方が、使い道は広がるだろう。
もともと汎用性の高かった「テープノフセン」だが、それが携行しやすく、設置しやすくなっているわけで、「テープノクリップテセン」へのバージョンアップは確実に“アリ”。持ち歩いていれば便利に使えるシーンがそこかしこにあるはずなので、“とりあえず買い”で1個ぐらい持っておいてもいいのだろうか。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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