文房具
2020/12/25 18:30

“巻く楽しさ”を強調! コクヨのマステカッター「Bobbin(ボビン)」の男もハマる作り込みを検証

コクヨ
Bobbin
カッター付きケース 450円(税別)
プチカッター 320円(税別)

 

「カッター付きケース」は、ペンケースなどに入れてマステを持ち運べるケース。鉛筆削り程度のサイズ感なので、まぁ収納に不便はないだろう。使う前の準備では、まずカパッとカバーを外して内部にボビン芯をセットするのだが、このとき、ローラーとテープ押さえの間にテープを通すようにしておく。

↑ボビン芯は表裏で穴の口径が微妙に異なるので、逆向きでは軸に入らず装着できない。細かい点だが、ユーザーが間違えるのを防ぐ工夫として上手い

 

カバーを戻したら、これで準備完了。使う際は、背面のダイヤルを左回りに回転させると、ケースのシャッターがバシャッと連動してオープン。「おお!」と驚く間もなく、続いて開口部からマステがダイヤルに合わせてニョロ〜っと伸びて出てくるのだ。

 

必要なところまでマステが出たら、開口部の上部に据えられたカッター刃にテープを当ててカット。切る際に押さえる方向が逆なので(一般的なテープカッターは下部に押し付けるので、粘着面が刃に当たる)、最初はちょっと戸惑うが、すぐ慣れるだろう。むしろ粘着面が開口部に貼り付きにくいので、こちらの方が合理的なほどである。切れ味もサックリと軽い。

↑ダイヤルを回した分だけテープが出てくる様子は、なかなかユーモラス

 

では、動きを見てみよう。

切り終わったら、ダイヤルを少し逆転させてやれば、シャッターが閉じて作業完了。

 

実はこのときによく見ると、テープの送り出しローラーも逆転して、カッター刃に貼り付いたテープをツッと引き戻しているのが分かる。次に使う際に、ミスフィードなくテープを送り出せるようにする工夫なのだろう。

 

こういったシャッターの開閉やテープ送りなど、小さなボディの中でむしろ「コマキキ」よりも複雑な機構が動いている様子は、小さな機械萌えとしては、もうたまらない可愛さなのだ。

↑シンプルな構造だが、よく見ると軸と軸受けを噛み合わせるギミックがあったりと、作りが細かい

 

もうひとつの「プチカッター」は、ボビン芯を挟みこむように装着するだけの、非常にシンプルなもの。カッターも金属のカルカット刃ではなく、ギザギザの大きなプラ刃となっている。

 

一見、さすがにこちらは単純な外付けカッターか、と思ったのだが、さにあらず。テープを切るとき、刃の下にある白いスイッチを上に押し込むと、テープ端がカッター刃から剥がれてピロッと浮き上がるのだ。プラ製とはいえ、刃に触れずにテープをつまめるのは、やはり安心感がある。

↑スイッチを下から押すとテープ端がポップアップしてつまみやすくなる。スイッチはテープを切るときに押し込まれ、元の位置に戻る仕組み
↑ボビン芯とプチカッターの連結。「転がるものは紛失する」の原理に基づいて、芯の転がり止めストッパーとして活用したい

 

また、外装の両面にはボビン芯と同じ凹凸があるので、プチカッターとボビン芯を連結して置いておけるのも、いい工夫だ。こういう小物は紛失の可能性が常にあるので、保管時にスタックさせておくと安心できるのである。

 

結局、マステ小巻きシステムはいつ流行るのか? 問題

実のところ、「コレクションとして死蔵されがちなマステを小巻きにして運用させよう」という発想はさほど新しいものではなく、数年前からmtをはじめ、いくつかのメーカーで小巻きシステムが製品化されている。

 

ところが、なぜか普及しない。良いアイデアだし見た目も可愛いしで、筆者も「これは流行るだろ」と思っていたんだけど。いったい何が足りなかったのか? ということで後発のコクヨが考えたのが、他社のシステムに薄かった「小巻きに巻く作業の楽しさ」の部分じゃないかと思うのだ。

↑「文具女子博2020」で先行販売された数量限定のBobbinセット。豪華な紙箱も含めて、イベントでは大人気だった

 

「コマキキ」でマステを巻く楽しさは、果たして小巻きシステムを普及させるのか? 今後のマステ界の動向から目が離せない。

 

ちなみに「Bobbin」は2020年12月の文具女子博において、最もときめく製品に与えられる「文具女子アワード大賞」を獲得した。注目度はすでに充分。今度こそ流行るか!? マステ小巻きシステム!

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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