文房具
2021/3/21 17:00

フリクションで書けるホワイトボードノート「バタフライボード notesX」は新発想のペンループで書きたい瞬間を逃さない!

以前、この連載でノート型ホワイトボードと細字ボードマーカー各種を紹介したばかりなのだが、正直なところを告白すると、個人的には苦手なのだ。ホワイトボードとボードマーカーの組み合わせが。書き消しできるのはいいし、消しカスが出にくいのもいい。くっきりして、筆跡の視認性も高い。だがあのツルツルした筆記感が、どうしても苦手。

 

そもそも悪筆とホワイトボードは、相性が最悪なのである。字が汚い人間が使うと、ペン先チップが滑りすぎてコントロールできず、自分でも後から解読できないレベルの字になってしまう。氷上をスリッパで走るが如きあのツルツル感で、どう丁寧な字を書けというのか。

 

だから、ホワイトボードにきれいな字が書かれているのを見ると、言い知れない敗北感に襲われてしまう。たまにいるよね、ものすごく整った字で会議の内容をボードに書く人。

 

だから、以前ああやってドヤ顔で紹介はしたものの、自分ではノート型ホワイトボードを使いこなすには至っていないのである。でも、使いたい。駆使できれば便利なのが頭じゃ分かっているので、ちゃんと使いこなしたいのだ。

 

ホワイトボード? それともノート? 不思議な「notesX」

……と、いつもの悪筆コンプレックスをこじらせて鬱々としていたところ、GetNavi編集部から「じゃあ、これとかどうスかね。んでレビューよろしくですー」と、一冊のノートが送られてきた。

 

それが、現在クラウドファンディングサイトのMakuakeで先行販売中の、バタフライボード「notesX」である。ああコレ、確かに興味はあったんだ。

バタフライボード
notesX
一般販売予価 7200円(税別)

 

「バタフライボード」についてまず説明しておこう。ノート型ホワイトボード「バタフライボード」から始まったメーカーだ。そして2019年には、メモタイプのホワイトボード「notes」がMakuakeでクラファン達成率9000%超という、とんでもない数字を叩き出した。

 

で、今回の「notesX」はその「notes」の発展型という立ち位置で作られたもの。期待値は当然高く、早割でも7000円近い価格ながら、ファンド開始10日間で達成率3500%超えという爆速スタート。ファンド残り20日となった現在は、達成率が5600%に上っている。

 

↑開いたところはごく普通のノートのようだが、実は綴じ方に秘密がある

 

「notes」は測量野帳(コクヨのポケットタイプのスケッチブック)に近いサイズのハードカバーメモだったが、「notesX」は少々サイズアップ。A5(より少しスリム)な大きさで、ノートとして使うにも問題ないサイズだ。

 

表紙を開くと、薄く5㎜方眼が印刷されたページが始まり、ぺらぺらとめくっていくと、6枚(12ページ)の紙……というか、薄いボードが綴じられている。

 

この表紙とページが、引っ張るとそれぞれがこの通り、ポコッと外れて分解できてしまうのだ。これが、初代「バタフライボード」から最新の「notesX」まで共通の、マグネットヒンジを使ったスナップバインディング構造である。

↑引っぱるだけで簡単にページが分離する

 

↑各ページと表紙はマグネットでくっついているので、分離・結合が自由自在

 

ページのノド側(綴じられている側)2か所に極薄のマグネットを内蔵しており、普通のノートのように違和感なくページもめくれるし、リングノートのように表紙を360度折り返して使うこともできる。

 

さらにはページを外してスチール面に貼り付けられるほか、2枚外してくっつければ、ほぼ正方形のボードとしても運用可能だ。バタフラボードシリーズ独自の、かなり面白い機能と言えるだろう。

↑360度折り返せて、邪魔なリングもない。これは快適だ

 

そしてなにより興味深いのが、「notes」「notesX」のページとして採用されている「シンセティックペーパー」だ。

 

従来のホワイトボードと違って、かなりサラッとマットな手触りがあり、テカりもかなり少ない。それでもジャンルとしてはホワイトボードになるので、当然ながら書いて消してが可能……なのだが、書くのにホワイトボードマーカーは使わない。なんと、お馴染みのフリクションボール(など、いわゆる消えるペン系)を使うように作られているのだ。

↑フリクションボール(0.5mm)が付属。思ったよりも紙に近い書き味だ

 

通常のホワイトボードでは、表面でボールペンのボールが空転し、きちんと書くことができない。しかしシンセティックペーパーは、樹脂と鉱物を原料に作られた耐水紙で、表面に無数の微細な孔がある。この微細孔がほどよい引っかかりとなって、ボールペンでも書けるマットな紙面を生んでいるのだ。

 

もちろん、コピー用紙などと比べればやや滑りはするが、それでもホワイトボード+マーカーの不安なほどのツルツルさはない。印象としては、だいぶ紙っぽい。「7割ぐらい紙かな」という感じである。なによりボールペンなので、細字マーカー以上に細い字が書けるのも嬉しいところ。これなら「notesX」を普通にノート感覚で運用することだって、充分にできるはずだ。

 

フリクションなので当然のことながら、1文字だけ消したい場合は、軸後端のラバーで擦って消すことができる。さらにある程度まとめて消したいときは、濡らしたキッチンペーパーやウェットティッシュで撫でると、きれいに拭き取ることができるのだ。

↑まとめて消したい時は、ウェットティッシュでサーッと!

 

↑指に水分が付いてなければ、擦っても大丈夫。夏場は汗で流れる可能性がありそう

 

チマチマと拭くのが面倒くさいなら、いっそ水道からページ全体にダバーッと水をかけてやってもいい。これで一気に全部洗い流せてオールクリア。うーん、なかなか気持ちいいぞ。

 

フリクションインクは乾燥しても水に弱いという性質を持っているので、こういうことも可能なのだ。

↑流水でインクがきれいに落ちるのが楽しい

 

もうひとつ面白いのが、ペンを携帯するために備わっている「バタフライループ」。単に2本のゴムベルトが交差しているだけに見えるが、これが直径9~15mmのペン軸に対応した万能ペンループとして機能するのだ。

 

手帳やノートカバーのペンループと言えば、ユルユルすぎてペンが抜けたり、多色ペンだとキツくて入らなかったりと、ちょうどよくペンが入ることがあまりない。それがバタフライループなら、だいたいのペンがクリップを使わずにピタッと固定できて、抜け落ちる心配もない。うまく装着するのには少し慣れが必要かもしれないが、それでも良くできているんじゃないだろうか。

↑交差しているゴムベルトの中央にペンを挿し込んで……

 

↑パタンと表紙を閉じればペンが固定される。太さに関係なく使えるのはナイスアイデアだ

 

ノート型ホワイトボードを超えて、もはやノート感覚

さて、ひとまず一週間ほど手元で使い続けてみたのだが、慣れるほどに「ノート型ホワイトボードを使っている」という感覚は薄れてくる。というか、もうほぼノートだわ。これはやはり、シンセティックペーパーのマットさによるところが大だろう。

 

アイデアノートとしてあれこれ雑に書き込んで、必要な部分はiPhoneの「メモ」アプリでスキャンして取り込み。あとはざっくりウェットティッシュで拭き取って(一気に洗い流すのは楽しいけど、あとで水気を拭うのが面倒になってきた)、また書いて……という運用が、なかなか快適だ。

 

さらには、リモート会議用の小型ホワイトボードとしても充分に実用的。この場合はサインペンタイプのフリクションカラーズがマッチする。

↑摩擦で消えるインクであれば問題なく使える。特に、カリカリ感があってインクも濃く出る「フリクションポイントノック04」(パイロット)との相性は最高だと思う

 

↑消す前提で運用するノートなので、保存したいものはスキャンしておくといい。iPhoneなら「メモ」アプリが手軽だ

 

価格は、たしかにノート/ノート型ホワイトボードとしてはかなり高額かもしれない。しかし個人的には、それだけの価値はあるかもなー、とも感じる。

 

クラウドファンディング終了後には、これまで通り一般発売もされるはずだが、気になるのであれば、割引の効く先行販売中に買っちゃったほうが良さそうだ。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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