文房具
2021/8/8 22:00

深海魚のような、トルコ生まれの「ホッチキス」の中毒性が凄かった話。【愛用品コラム82】

本連載ではGetNavi web編集長・山田佑樹が日々の生活で愛用している品々を紹介していきます。

 

【#愛用品 コラム:MAS「1186」】

●起

深海魚を思わせる、発達した顎と頭蓋骨。アンバランスなように見えて全体では調和が取れた不思議なスタイリング。ただただ、見た目のインパクトだけで衝動買いしたのがMASの1186だ。とにかく言いたいことがたくさんあるプロダクトだ。

 

●承

まず、購入したのがたぶんデルフォニクスだったと思うのだが、オンラインショップでももう取り扱いがない。ネットで調べても全然出てこない。MASはトルコのブランドで、トルコ語表記のサイトが出てくるのがほとんど。そこまでレアなアイテムを買ったつもりはないのだが、最近の中ではトップクラスに検索に引っかかりづらいアイテムだった。

 

●転

次。そもそもこれ何かというと、ステープラーだ。紙を束ねるための文房具だ。ホッチキスというと、手の中に収まる小型のものを想像すると思うが、これは長さが約15センチ。デカい。デカいし、重い。握力も使う。つまり、収納性も機動性も低い。使う針も3号針(24/6)。通常の10号針よりもひと回り大きい。日常に全然ハマらないのである。

 

●結

だからこそ愛が止まらない。実用性よりも所有することを楽しむ。針を入れることを楽しむ。持ち手を握るときの、ゴツさ、無骨さ、針を通したときの無機的な音がやみつきになって、ハンドスピナーのような中毒性がある。金属の冷たさに道具らしさが溢れる。こうしたアイテムを通して、自分の嗜好の輪郭が少し明確になる。自分という不確かな存在が繋ぎ止められる、とまで言いたい。ちなみに、そこに愛はあるが、あんまり使ってはいない。

 

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