文房具に関するイベントやメディアへの出演、新商品のプロデュースなど、年を追うごとに活躍の幅を広げる文具ソムリエールの菅未里(かんみさと)さん。新作からロングセラーまで文房具を知り尽くした菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた愛用の文房具を1点ずつ紹介する連載「文具ソムリエール・菅未里の自腹買い文房具」を、毎月お届けしています。
2022年最後の回では、この1年で自腹買いしたボールペンの中から、リピート買いするほど気に入ったものをピックアップ。
2022年にリピート買いしたボールペン5選
日常的に最もよく使う文房具といえば筆記具でしょう。なかでも、社会人にとってボールペンは必須アイテム。筆者が2022年にリピート買いした、間違いないお気に入りボールペンを紹介します。
1.グロッシーなブラックが魅力「ジュースアップ クラシックグロッシーカラー」
「ジュースアップ」とは、細書きでも滑らかで心地よい書き味を実現したゲルインキボールペン。“シナジーチップ”という、一般的な三角錐形のコーンチップとも細長いパイプチップとも違う、特殊なペン先を搭載していることが特徴です。
自宅に専用の引出しを作り絶対に切らさないようにしているほどの愛用ボールペンで、過去にブラックやレッドなどの通常カラーについて記事にしたことがあります。
その「クラシックグロッシーカラー」は、書き心地のよさはそのままに、ツヤ感のあるちょっと大人なダークカラーなインク色のシリーズです。
ただの黒に飽きた大人がビジネスでも使える“黒っぽいカラー”は、筆記具業界のトレンドですが、ジュースアップのダークカラーも見逃せません。
ツヤ感があるためリッチな気分にもなるこのシリーズは、セットでダークカラー好きの知人にプレゼントしたこともあり、いつでも使えるように自宅には2セット用意しています。普段の色に飽きたけれどカラフルすぎる色は使いづらい、という人におすすめです。
パイロット
ジュースアップ04/05 クラシックグロッシーカラー
200円(税別)
2.押し間違いを防ぐ多色ペン「ジェットストリーム新3色ボールペン」
2021年12月に発売された「ジェットストリーム」の多色バージョンに登場した新シリーズで、一時は完売するお店も出るほど注目されました。
見た目のよさで複数買いをする方もいますが、多色ボールペンを使う際に、誰もが一度は経験したことがある“押し間違い”を防いでくれる機能に魅了されるユーザーが後を絶ちません。
一般的なボールペンは、黒・赤・青の3色すべて、ボールペンの側面についたスライドバーを下ろすようにしてペン先を出しますが、このボールペンは黒のみノック、赤と青は側面のスライドバーを下ろすように設計されています。
黒は“押す”、赤と青は“スライドさせる”という動作が違うため、「黒だと思って出したインクが青だった」という事故が起こりにくいのです。
リピート買いのきっかけは使い勝手が格段にいいこと、さらにボディーカラーの展開が絶妙でどれも欲しくなってしまったことです。機能と見た目、どちらもパーフェクトなボールペンと言っていいでしょう。
uni/三菱鉛筆
ジェットストリーム 新3色ボールペン SXE3-507 0.5/0.7
500円(税別)
3.「フリクション」にも書き味のよさを求めたい!
最近、台本への書き込みに欠かせないのが「フリクションポイントノック04」。書き消しができるボールペン「フリクション」シリーズの0.4mmタイプです。
先に紹介した「ジュースアップ」でも使われているシナジーチップを搭載したフリクションペンで、0.4mmの細書きでもひっかかりなく滑らかに文字を書けます。
もともと「フリクションボールペンはあまり筆記感がよくない」というイメージを持っている人も少なくないのですが、そんなイメージは吹き飛ぶほどの書き心地のよさです。
私はフリクションボールペンの書き心地があまり得意ではなかったのですが、シナジーチップペン先バージョンのフリクションが出たと購入してみると、あまりの書き心地のよさに、フリクションといえばこれしか使えなくなりました。
フリクションに苦手意識があるなら、店頭で試し書きしてみてください。そのままレジへ直行すること間違いなしです。
パイロット
フリクションポイントノック04
250円(税別)
4.細書きと言えばこれ!「ハイテックC」
1994年に発売され、一世を風靡した「ハイテックC」。2000年代には俳優の相武紗季さんが白衣を着て出演していたテレビCMを記憶している人もいるかもしれません。
激細ボールペンといえば「ハイテックC」ですが、私は実は、これを長らく使っていませんでした。
再びリピート買いするようになったきっかけは、「ジブン手帳」という約3mmの方眼罫が印刷された手帳でした。
あまりに細かいので、書き込むには細書きのボールペンでなければ文字が潰れてしまいます。そこであれこれボールペンを試した結果、最も文字が潰れにくく綺麗に書くことができたペンが「ハイテックC025」だったのです。
学生時代に流行った「ハイテックC」を大人になってこんなにもヘビーユースすることになるとは思いもしませんでしたが、今ではこれなしには生活できません。
パイロット
ハイテックC025
200円(税別)
5.36色を贅沢使い「サラサナノ」
2021年11月に発売されたゼブラの人気ボールペン「サラサ」シリーズの新ライン。0.3mmという細書きですが、ペン内部にスプリングを入れることで、筆記時のガリガリした感触を緩和したゲルインキボールペンです。
私はGetNavi web以外にもいくつか連載をもっているため、毎月連載のネタ出しをしたり構成を考えたりする必要があります。黒ではなんだか飽きてしまうので黒以外のカラフルなペンを使うのですが、そこで活躍するのが「サラサナノ」です。
企画ごとに色を変えて書き込むため、カラフルで賑やかなネタ帳になり、仕事のノートに飽きません。
色展開の多さだけではなく、水性顔料インキで水がかかってもインクが滲んで読めなくなることがないため、キッチンや洗面所、お風呂などどこにネタ帳を持ち込んでも心配いらないところも魅力です。
読者の皆さんは、さすがにお風呂に持ち込むことはないかもしれませんが、雨天の屋外や川の近くなど、水濡れの心配がある場所でも文字が流れる心配をせずに使えるカラフルなボールペンだと聞いたら、使ってみたくなりませんか?
ゼブラ
サラサナノ
200円(税別)
ボールペンを1本に絞らない
多くの人が、使うボールペンは1本、または1種類と決めているでしょう。私はノートや手帳、資料など書くものによってボールペンを使い分けるため、普段使いするボールペンがいくつもあります。1本使いの人からすると面倒くさそうに見えるかもしれませんが、日常生活で出会う紙やメモ、ノートはそれぞれに特徴があり、ペンとの相性も違います。
毎日使うボールペンだからこそ書くものにあったものに変えるだけで気分良く書き物ができるのです。ボールペン数百円で快適な仕事環境に近づくと考えれば、とてもお得ですよね。
今使っているボールペンで満足していても、新しいシリーズが出ていたり、インクがバージョンアップしていることもありますから、2023年はぜひたくさんのボールペンを試してみてください。