ここ数年のマスキングテープ市場は、「集める」から「使って楽しむ」へシフトしている…もしくは各メーカーがシフトさせようとしているようだ。実際のところ、単純に集めて楽しむだけのコレクションというのは、必ずどこかで飽和点が来る。このシフトは、マスキングテープというジャンルを長きにわたって楽しむためには必須の方向転換と言えるだろう。
そのあたりが分かりやすいのが、文房具好きの票で決まる文具女子博アワードの結果だ。2020年の大賞はマステを小巻きに巻いて楽しむコクヨ「Bobbin」だし、2021年にはマステとハンコを組み合わせて遊ぶビバリー「ますてのあいぼう」が優秀賞を獲っている。
個人的にはネチネチとただ集めて眺めるだけのコレクション趣味も嫌いじゃない(というか好き)なのだが、とはいえ消耗品なのだから、使って楽しむのが健全かな、という気もする。
そして直近の2022年文具女子博アワードは、というと、実はまたしてもマスキングテープで遊ぶ系アイテムが大賞を獲ったのだ。これがシンプルながらになかなかに遊べるツールなので、あらためて紹介しておきたい。
マステ “かわいい化” カッター「マステノリボンボン」
それが2023年1月に発売されたクツワ「マステノリボンボン」だ。聞くだけでも気持ちが弾むようなカワイイ製品名だが、使ってみるとこれまたシンプルにテンションが上がる系で、とても良い。
クツワ
マステノリボンボン
3個セット 350円(税別)
基本的には3種の樹脂製テープカッター(15mm幅専用)のセットで、それぞれ切り口が、(1)リボンの端みたいな二叉(ふたまた)の切り口、(2)大きめのギザギザの切り口、(3)テープを半幅に細くする、となっている。
マステの切り口といえば、以前は古くからのギザギザしたカッター刃に対して「ギザギザよりもスパッとフラットな方が美しいよね」というムーブメントがあり、それに対して「いや、テープらしさを出すならギザギザカットだ」という揺り返しがあったり……。要するに、マステで遊ぶ上でそれなりに注目されていた部分ではあったのだ。
そこで、さらに切り口いろいろ選べると楽しいんじゃない? と投入されたのが「マステノリボンボン」というわけだ。
個人的に気に入ったのが、(1)のリボンカット。テープをカッター本体の内側でめくり起こしたら、三角形をした刃の頂点に当てて切る。三角刃の側面には細かなギザ刃があって、樹脂製ながらわりと気持ちよくスーッと切り裂くことができて、まさにリボンの端っこのようなカットができあがり。
これをただ手帳やカードに貼るだけでも、グッと見栄えが上がる。
今までもマステをリボン風に見せるテクニックはあったが、それはハサミを使って手作業でカットしていたもの。専用カッターを使えば技術も不要でサクーッと簡単にできてしまうので、それだけでも充分に楽しいはずだ。
同様にベーシックな(2)ギザギザカットも簡単。デフォルメしたような大きめのギザ山のカットはキュートだし、しかも大ギザ刃の側面には同じく細かなギザ刃がついているため、とても切りやすい。いちいち破り取るわけではないので、切り口がシャープなのも美しくて良いと思う。
ただ、使ってみてちょっと戸惑いがあったのが、(3)の半幅カッターだ。
こちらは15mmのテープを半分幅の細切りにできるというものだが、きれいにカットするのはかなり難易度が高い。少しずつ切り進めてはカッターを後退させ、また少しずつ切って……という作業になるため、テープによってはどうしても切り口がスパッとせず、破れたようなヨレ具合が出てしまうのだ。
細幅テープは手帳の仕切り線に使ったり、フチ取りにしたりと、使い勝手が良い。だからお気に入りの柄のテープをきれいに細切りできれば最高だな! と思ったものの……これはちょっと難しいかもしれない。慣れてくればもう少しきれいに切れそうにも感じるが。
とはいえ、リボンやギザがきれいにカットできるだけでも充分すぎるぐらいに楽しいし、貼るだけで「ステキな感じ」にする効果は確実。マステを貼ってデコをしたいなら、今のところ持ってて絶対に損はしないツールだと思うので、見つけたら買っておこう。