かつては単なる “筆記具を入れて持ち運ぶ箱” に過ぎなかったペンケースだが、近年、その進化が止まらない。例えば、コクヨ「ネオクリッツ」は、自立してスリムなペンスタンドになるという変形機能があり、ノートPCやタブレットを置いて狭くなった作業スペースが有効に使える、と人気となったアイテムだ。類似の機能を持ったペンケースが各社から多数発売されており、今や自立ペンケースは一大ジャンルとして成立しているほどである。
とはいえ、デジタル機器に追いやられて省スペース化前提のデザインばかり、というのは少々寂しい気持ちになる。PCに寄り添うことで、別方向の生存戦略として生き残るというのもありではないだろうか?
PCに寄り添うことで真価を発揮する機能性ペンケース
2023年10月末にナカバヤシから発売された「スマウス」は、まさにPCとセットで使うのを前提に作られた新しいペンケースだ。見た目には太めの三角柱型セミハードケースなので、一見すると省スペースで使えるようなタイプには思えない。
ナカバヤシ
スマウス
2500円(税別)
ではデスクのどこに配置すればいいのか? というと、答えはズバリ、PCの真横。なんとこのペンケース、変形してマウスパッドになるという予想外な飛び道具を持っているのである。使う際には、三角柱側面に折りたたまれたタブをパタパタと展開していく。すると、このタブがそのままマウスパッドに早変わり、という仕組みだ。
パッド面は幅200mm×奥行160mmとコンパクトだが、実際に使ってみたところ、小さめなマウスを使う限りは特に操作しづらいと感じることもなかった。
フリーアドレスのオフィスでは、マウスパッドをセットで持ち運ぶのは面倒くさい。かといって、机の上でダイレクトにマウスを動かすと、机の天板にぶつかってカツカツと硬い音がうるさく感じるし、天板の材質によっては光学/レーザー式マウスがうまく反応しないということもありうる。そういう場合にはやはりマウスパッドは欠かせないので、ペンケースと一体化して持ち運べる点は充分に価値があるといえよう。これによって省スペース化できるわけではないが、置き場所が常にピタッと決まる点はなかなかスマートだ。
パッド面はフェルトのようなマットな手触りで、レーザーマウスの反応も良く、手触りもなかなかに気持ち良い。パッドとして敷いている裏面にはエラストマーのすべり止めラインが入っているので、使っている間にズレ動いてイラつくようなこともないはず。
さらに、パッド上部に付いている小さな合皮製のタブを活用すれば、スマホスタンドとして使用することも可能。ビデオ通話やWeb会議、動画閲覧など、PCと合わせて作業する際にこれは便利だ。
ペンケースとしてはちょっと不満も……?
ちなみに、ペンケースから中身を取り出す場合は、三角柱の頂点をパカッと開くだけ。開閉部分は磁石でピタッととまるので、カバンの中などでもパカパカと開くことはない。底面幅は約80mmとかなり大きく、容量も充分以上といった印象。筆記具だけでも20本ぐらいは収納できるので、ペンケースとしての物足りなさは感じないだろう。とはいえ、入れすぎると重量がかさんで、開閉用の磁石が耐えきれず勝手に開いてしまうことはあるかもしれない。実際に使ってみた体感としては、ペン10本前後が程よい量かな、という感じ。小さなガジェットやケーブル類を収納するポーチとして使うのも良さそうだ。
ただし、机に置いたままの状態だとやや開きにくく、また開いたままで固定できない点は、やや使いづらさを感じるかもしれない。このようにペンケースとしての不満点はいくつかあるが、マウスパッド兼用ペンケースという機能は他に類を見ないものだ。マウスパッドとしてはさほど不満もないので、使ってみたら意外と便利! と感じたのも事実。
さすがに万人にオススメとは言い難いが、「ペンケースとマウスパッドが合体したやつ、待ってた!」という人はきっといるはずなので、そんな人にこの記事が届くことを願っている。