2006年発売のコクヨ「ネオクリッツ」を元祖とした自立型ペンケースは、15年以上経った現在でも人気が高い。むしろ、今やペンケースのひとつのジャンルとして定着した感がある。何と言っても、狭い机の上でも場所を取らないうえに、使いたいペンにすぐ手が届くアクセスの良さは、一度慣れるともう普通のポーチ型ペンケースには戻れないほどである。なかでも、“倒れない” 機能を備えたペンケースは特に人気である。
その代表的な商品のひとつに、2020年に発売し、第9回文房具総選挙「収納する」部門で堂々の1位にも輝いたクツワ「エアピタ」がある。同商品は底面に吸盤を備えており、これで机の天板にピタッと吸着して自らを固定することで倒れなくなるという仕組みである。それだけで使いやすさが大幅にアップするのだが、このシリコン製のファニーな外見が、大人としてはちょっと使いづらいなーと感じる人も多かったのではないだろうか。
社会人でも気兼ねなく使える、
吸盤で立つ自立型ペンケース
個人的にはシリコンがま口のエアピタはかわいくて好みではあるのだが、一般的な社会人がオフィスで使っていると、人によっては意外性からチラッと二度見ぐらいはされるかもしれない。もちろん、どんなデザインを使おうと自由ではある。だが、シャイな社会人にとっては、なかなかに使いづらいデザインでもある、ということ。便利なだけにもったいないなーと思っていたら、案の定そういうニーズがあったようで、このほど新たに布タイプの「エアピタファスナー」が登場した。
クツワ
エアピタファスナー
1800円(税別)
エアピタがシリコン素材に金属フレーム入りのがま口開口だったのに対して、エアピタファスナーはポリエステル生地にファスナー開口に。素材の軽さに加えて内部フレームを廃したことで、重量が約半分(176g→90g)にまで軽量化されたのは、地味に嬉しいポイントだ。
自立させるときは、ただトンと机の上に置くだけ。実はこの時点ですでに吸盤が機能しており、あとは本体を揺らそうが、大きく傾けようが、ピタッとくっついたままという優れものだ。
狭い机の上だと、立たせていたペンケースにノートPCのモニターが当たって倒れる、というケースもよくあるが、当然その程度の衝撃ではビクともしない。なんなら、そのまま逆さまにする勢いで本体を曲げても、くっついたままになるほどの吸着力である。
吸盤の役割を果たしているペンケース底の薄いシリコンの円盤は、一見すると「こんなペラペラでくっつくの!?」と疑念が湧いてしまうが、実際に立ててみると、その強力さを実感できる。エアピタシリーズを初めて触った人は、だいたいこの時点で「くっつけるつもりが無かったのに、持ち上げられない!」と慌てるはずだ。そう、そのぐらいにしっかり、ピッタリと吸着してくれるというわけ。
「そんなに強力じゃ、剥がすときに面倒なんじゃない?」と思う人もいるだろうが、ご安心を。吸盤を剥がすときは、底部正面の「air pita!」と刻印されたタブを軽く押しながら持ち上げればOK。これだけで吸盤内に空気が入って、簡単に持ち上げることができる。
逆に言うと、このタブを押さない限り、ただ垂直に引っぱるだけでは簡単には剝がれない。実際に計測してみたわけではないが、筆者の経験から考察するに、まず耐荷重2kg以下ということはないだろう。
使いたいペンにサッと手が届く
ファスナー(両開きできるWファスナー)を開けると、内部は大きな荷室+上部に消しゴムなどの小物を収納するポケット1つという構成。荷室の容量は、ボールペン15〜20本ぐらいが余裕で飲み込めるサイズとなっている。吸盤のおかげで、ハサミやカッターなどの重量物を多めに入れても倒れにくいので、工作用のツールポーチとしても使いやすそうだ。
さらに、フタをガバッと開けて本体に押し付けると、内蔵のマグネットで開いたままで固定することも可能だ。これによって中身の出し入れはとてもスムーズ。閲覧性も高く、使いたいペンにサッと手が届くはずだ。ただし、ファスナーの開き具合によってはマグネットが上手く効かず、フタが戻ってしまうこともあった。磁力そのものはさほど強くはないので、開けっ放しにしたい場合はフタを本体にグッと押し付けるようにするのがコツだ。
スマホの縦置き・横置きに対応
フタの端にあるベロにスマホを引っ掛けるようにして置くと、縦置き・横置きどちらでも安定して立たせられるスマホスタンドとしても機能する。狭い机の上が書類やノートPC、文房具などでゴチャゴチャしていると、スマホの置き場所に困ることもよくある。ゆえに、ペンケースにスマホスタンド機能があると、意外とありがたいのだ。もちろん、動画視聴やビデオ会議にも間違いなく重宝するだろう。
ちなみに、これは筆者の主観に過ぎないのだが、これまでに発売されていた「倒れない自立型ペンケース」は、透明プラだったり、エアピタのようにシリコンでパステルカラーだったりと、なぜかファニー要素強めのものが多かった。その点、エアピタファスナーは、初の「オフィスでも使いやすい、倒れない自立型」と言えそうだ。
機能的にはとにかく便利なのは間違いないので、これまで遠巻きに眺めているだけだった人も、ぜひエアピタファスナーを導入して吸盤でピタッとくっつく快適さを体験してほしい。