2016年末から1カ月、京都に移住することにしました。ただ、突発的に決めたので、安いといわれる交通機関はたいてい満席だったんですよね。バスも割高で1万円近くする。1万払うなら「ぷらっとこだま(東京―関西がこだま限定で約1万円の企画きっぷ)でいいんじゃね?」と思うものの、こちらも満席。うーん、やっぱり普通に新幹線に乗るべきなのか……? いや、待てよ。この時期ならアレがあるんじゃないか? とっても安いやつが。
そう、ネーミングのせいで学生向けと間違われるけど、最近はお年寄りにも人気だという「青春18きっぷ」です。
そうだ、青春18きっぷで、京都、行こう。
↑ここ、ニヤってするとこです。
青春18きっぷは、JRが1日乗り放題になるきっぷで、5回分で11800円。1回につき2360円の計算になるので、朝から出発してその日のうちに京都に着けば、なんと片道2360円で行けちゃうのです。8時間以上かかるけど。
まあでも、この鈍行列車の旅は電車をこよなく愛する“鉄”の方々にたいへん人気だというし、一度経験してみるのもよさそうです。
もともと関西へはこだまを使うことも多いんですが、それは値段もさることながら、いつもは定刻通りに通過するだけの三河安城駅にきっちり停車したりするのが新鮮なんです。車内も大都市間を移動するだけの乗客とはちょっと違って、ローカルなところも面白いです。鈍行列車はそれ以上に変化に富んでいそう。
とはいえ、路線図ソフトで経路を調べてみるも、いまいちピンときません。「静岡の移動はホームライナーがおすすめ」みたいなサイトはあったけど、どえらく本数が少ないので、使えそうもない。困っていたところ、お友達が鉄道マニアの方に経路を聞いてくれるというではないですか!
気軽にお願いしてみたところ「見たことはある気がするけど、じっくり眺めたことのない表」が送られてきました。おすすめルートをピックアップしてくれているだけでなく、プランや乗るべき号車、乗り換えホーム、電車の混雑具合まで書いてある!! ……これが鉄の実力なのか……! すみません、そうとう舐めてました。
時刻表の数字を操り、乗り換えホームまで考慮する情報力を持った彼のことを、密かに「京太郎さま」と名付けました。ありがとう京太郎さま、おすすめしてくれている「ルート2」で京都へ向かいます。
2016年12月23日 京都に向け出発
品川 8:48発 熱海行き
京太郎さまによると「混雑している」ので(なんでわかるの??)、上野から乗車をおすすめするとのこと。だがうちは上野が遠いので、ここは追加で780円を支払ってグリーン車に乗ることにして、品川から乗車しました。
経路の中でここが一番ゴージャスなはずなので、飲食とお手洗いをガッツリ済ませます。
熱海 10:29着 10:35発 島田行き
ここの乗り換え席取りは争奪戦みたいです。京太郎さまからは「時間的に余裕はありますが端の車両から下車すると100%着席できません」と恐ろしい注意がありました。そして案の定、グリーン車から乗り換えの電車が遠く、争奪戦にまったく間に合わず……。
だけど沼津で座れました。よかった。遅くとも三島からなら座れそうなので、そんなに心配することはないかも。
さてこの電車は島田行きですが、静岡で降ります。静岡最大のビッグイベント富士山ですが、見逃しました。ちょうど富士山を背にして座ってしまったことに加えて、このあたりで猛烈に眠気が。
静岡 11:51着 12:03発 浜松行き
関東在住なので熱海や沼津あたりまでは乗降した経験があるんだけど、ここから先は未知の世界です。
このあたりは難読駅が多い……車内放送で駅名を聞いても、漢字が想像できないです。「西焼津(にしやいづ)」とか「用宗(もちむね)」とか。
浜松 13:15着 13:20発 岐阜行き
入ってきた電車がボックスシートで嬉しかったです。しかしどこまで行っても静岡……。
豊橋 13:55着 14:03発 米原行き 快速
ようやく静岡から抜け出して愛知に突入しました。8番線から5番線に移動して、快速電車に乗り換えです。移動ついでにお手洗いへ。女子は男子に比べてお手洗いが大仰なので、なるべく環境のいいところで済ませたいのです。
豊橋駅はとてもキレイでした。ここで食料をゲットしてもいいかも。
5番ホームに行くと、折り返して入ってきた電車が濡れています。そういえば冬に新幹線で関西に向かうとき、京都の手前で一瞬大雪が降ってる場所があります。そのあたりを通ってきたんでしょうか。この電車は米原行きですが、米原なんて京都の目の前だし、すっかり到着したような気分。
ここで携帯Wi-Fiが電池切れ。朝、フル充電してきたのにすごい消耗っぷりです。
豊橋から先は急に戦国っぽい地名になりました。「三河なんちゃら」「木曽川」「尾張一宮」「関ヶ原」……。三河とか尾張の名前がつくと、大河ドラマっぽいですね。
だんだん日が傾いてきました。
米原 16:09着 16:18発 播州赤穂行き 快速
この電車は始発駅乗り換えではなかったので、窓際席が取れませんでした。でもここまで来たら京都は目と鼻の先。
山科に17:07着でした。京都の1駅手前ですが、ここから地下鉄に乗り換えるため、JRを下車します。
長い静岡が鬼門も不思議な達成感が
行くまでは、ぶっちゃけ重い荷物を抱えて、8時間強も電車を乗り降りしつつ移動できるものかととても心配でした。ですが、終わってみれば、なんとも爽快です。
早朝から出れば関東から九州まで行けるそうなので、たかが関西行きでこんなに喜んでてすみません。でも「一歩一歩地道に歩を進めていけば、いつかゴールにたどり着けるんだ!」みたいな達成感があります。
気分的に辛かったのは静岡あたりです。まだまだ東京の方が近いし、先は長い。座席もロングシートで、各駅停車。「静岡県内の移動はホームライナーがおすすめ」というのがわかりました。ボックスシートに座って快速でここを通過できたら、かなり楽そう!
でも、この「やった感」。この先、地道な作業がいままでよりも楽しめる気がします。
1度やれば様子がわかるので、余裕もできます。今度乗るときは見逃したビューポイントをガッツリ押さえたい。弁天島駅あたり、すっかり見落としていましたが、とても景色がよさそうです。
本を読んでもよし、景色を楽しんでもよし。1度やったら2度やりたくなるのが、鈍行列車の旅といえそうです。
それから、乗車中にどんどんと周りの人の会話が「××じゃーん?」→「××みゃー?」→「××どすえ?」とか変わっていくのかな、と思いましたが、そこまでリアル移動感は味わえませんでした。周囲の会話が「関東とは違う!」と気付いたのは京都の地下鉄に乗ってからです。
そのかわり、電車を乗り換えるたびに、車内吊りの初詣の行き先がだんだん西寄りになっていくのが面白かったです。
そして京太郎さま、情報ありがとうございました! 次からは独り立ちできそうです。
ちなみに、2017年度の春季「青春18きっぷ」の発売は2月20日~3月31日で、利用期間は3月1日~4月10日。春の休暇を利用して気ままな電車旅にでかけてみてはいかがでしょうか?