ロードバイクのメンテナンスの基礎知識を伝授するコーナー。今回は、「チェーンの交換」のやり方についてレクチャーしていきます。チェーンは、長期間使用しているとどうしても伸びてしまいがちです。定期的に点検するように意識したいですね。
【使用する工具】
ディグリーザー
チェーンカッター
【チェーンを外す】
走行中、チェーンには常に負荷がかかっている。それゆえ経年劣化が著しく、気づいたころには伸びてしまっていることがよくある。伸びたまま走行を続けると、チェーンが外れやすくなるばかりか、走行中に突然切れて大惨事を招くこともあるので、常にチェックしておきたいポイントだ。ディレイラーをいくら調整しても、ギヤチェンジの挙動が安定しないと感じたら、早めにチェーンを交換しよう。
用意するのはチェーンとアンプルピンチェーンカッターの3点。いずれも多様な種類があるので、自分の自転車に使えるものかどうか、留意して購入することが大切だ。チェーンは長さにバリエーションがある場合があるが、一番長いものを購入しておけば間違いない。アンプルピンは新品のチェーンに必ず同梱されている。
作業手順としては、まず、チェーンリングをインナーに入れてチェーンを外すことからスタート。
1.チェーンリングをインナーに入れて、チェーンを外す。チェーンを扱う作業はケガをしやすいので、充分に注意しよう。
【チェーンを切る】
次に、どの場所でもいいので、チェーンをつないでいるピンにチェーンカッターをセット。ネジを回してピンを押し出すように抜く。チェーンカッターを外してチェーンを引っ張れば簡単に切れる。
2.ピンが中心にくるようにチェーンカッターをセット。ハンドルを回し、ピンを押し出す。
3.ピンが押し出されたら、チェーンカッターを外す。チェーンを引っ張ると簡単に外れる。
【新しいチェーンの準備】
古いチェーンの処理が終わったら新しいチェーンを準備する。新品のチェーンに付着している機械油は錆び防止が目的で、潤滑性能には乏しい。装着する前に密閉性の高い袋にチェーンを入れてディグリーザーを吹きかけてしっかりと洗い落としておこう。機械油を落とし、タオルなどで汚れを拭き取ったら、本体に装着していく。
4.新しいチェーンには防錆用の機械油が付着しているので、交換時までは袋に入れておく。
5.厚手のポリエチレンの袋の中にチェーンを入れて、ディグリーザーをたっぷり吹きかける。
6.袋の外からチェーンを揉むようにして、付着している機械油を洗い流す。
7.袋からチェーンを取り出し、ディグリーザーをタオルなどで丁寧に拭き取る。
【チェーンを取り付ける】
まず、リアディレイラーのテンションプーリーの後ろ、ガイドプーリーの前を経由させてスプロケットのトップギヤに取り付ける。続けて、スプロケット上部に出ている側のチェーンをフロントディレイラーに通し、チェーンリングに掛け、もう一方の端は、下側からチェーンリングに掛ける。
8.チェーンの片側をリアディレイラーに入れ、図の赤いラインのように通す。
ウラから見た状態
9.もう片側をフロントディレイラーのガイドの間に入れ、アウタートップの位置で取り付ける。
10.チェーンの両端を、チェーンリングの位置まで持っていく。
【チェーンを調整する】
11.テンションプーリーとガイドプーリーが地面と垂直になる位置に合わせて、チェーンの長さを調整する。
12.前進するとき前になるプレートが後のコマを挟むようチェーンをセットする。
【長さを調整する】
装着する前にチェーンの長さの調整を行う。目安にするのは、リアディレイラーと2つのプーリーの位置関係。この3つが地面と垂直になる状態が適正だ。チェーンが短いとリアディレイラーやフレームの破損につながるので要注意。チェーンは余るはずなので必要のない分は切り取っておく。
13.長さを調節して、チェーンをつなげる位置を決定。長い場合はその部分を切り離す。
【アンプルピンの準備】
長さが決まったら、チェーンをつなげる。アンプルピンを用意してつなげるのだが、作業を楽にするために、アンプルピンへの注油を忘れないようにしよう。中央の溝まで手でアンプルピンを入れ込んだら、チェーンカッターで圧入する。反対側に飛び出たピンはプライヤーなどで簡単に折れる。
14.チェーンをつなげるアンプルピンを準備する。アンプルピンはとても小さなものなので、なくさないように注意。
15.チェーンに装着する前にたっぷり注油する。
16.真ん中の溝までアンプルピンを手で入れ込む。
【チェーンをつなぐ】
反対側に飛び出たピンはプライヤーなどで簡単に折れる。なお、装着した新しいチェーンは油分を一度落としているので、忘れずに注油しておこう。
17.チェーンカッターを使って、チェーンの外面とアンプルピンの底部がフラットになるまで押し込む。
18.適切な位置に押し込み、チェーンカッターを外すと先端が飛び出した形になる。この状態であれば、チェーンはしっかりつながっている。
19.プライヤーなどで飛び出ている部分を折る。切り込みが入っているのであまり力を入れなくても簡単に折れる。
20.最後にチェーンの張り、スムーズに回転するかを確認し、チェーンオイルを注油して終了。
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着脱カンタン!〈ミッシングリンク〉
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