カーナビが左方向へ進もうとすると、左方向から「左折してください」という案内が聞こえてくる――人間の心理として、音が聞こえる方向に注意は振り向けられるもの。その心理を利用した、より自然にクルマとのコミュケーションが取れる新たなインターフェイスのデモンストレーションが、日産グローバル本社(横浜市)ギャラリー内「ニッサン インテリジェント モビリティ」展示ゾーンで行われた。本稿ではその様子をリポートしたい。
この技術は、音響メーカーのボーズのヘッドレスト・スピーカー技術「Bose Awareシグナルステアリング・テクノロジー」を活用したもので、音源が耳元にあるために、ドアやダッシュボード内に組み込まれたスピーカーよりも音の方向性がより明確になる。ボーズではオープンエアでも音楽を聴きやすくするためにヘッドレストスピーカーを開発していたが、それをさらに進めてドライバーの状況認知力向上や安全運転のサポートにつなげたのだ。
冒頭で挙げたカーナビの例以外にも、電話のハンズフリーや車両の警告音などを特定の方向で出すようにすれば、その情報をドライバーがより的確に捉えられるようになる。また、仮に緊急車が近づいてきた場合もその方向に合わせて警告すれば、早期にその認知につながることにも役立つ。近年、こうした技術は急速に進化しつつあり、新たなインターフェイスとして大きな注目を浴びているところだ。
デモそのものは、マイクロソフトが開発した車載VPA技術「Cortana(コルタナ)」を活用。主人公のイーサンがコルタナとやり取りしながら、指定先へメールを送ったり、目的地へ到着すると自動的に駐車するオートバレーパーキングなどのコマンドを実行したり、というストーリーだ。
このやり取りを「Bose Aware」が音の方向性を生かしてサポートする。右左折する際は、たとえば左折時に左側から音が聞こえるようになり、ドライバーがその方角へ自然と注意を向かせるよう仕向ける。つまり、これによってより自然にクルマとのコミュケーションが図れるようになることを目的としているのだ。
デモカーは、今年1月、アメリカ・ラスベガスで開催されたCES2018で公開されたものをそのまま持ち込んでおり、体験中の表示はすべて英語のまま。次の動画ではその様子を撮影し、日本語字幕を加えているので参考にしていただければ幸いだ。
また、「Bose Awareシグナルステアリング・テクノロジー」についての解説ビデオはこちらから見られる。ぜひ先進の技術をその目で確かめてもらいたい。