ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、スイフトのスポーツ仕様で、新たにターボエンジンを搭載したコンパクトスポーツをチェック!
PROFILE
永福ランプこと清水草一
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。
安ド
元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。
【今回のクルマ】スズキ スイフトスポーツ
スズキ
スイフトスポーツ
183万6000円〜190万6200円
SPEC【6速MT】 ●全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm ●車両重量:970kg ●パワーユニット:1371cc直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:140PS(103kW)/5500rpm ●最大トルク:23.4kg-m(230Nm)/2500〜3500rpm ●カタログ燃費:16.4㎞/リットル
安ド「殿!新型のスイフトスポーツ、いかがでしたか!」
清水「スバラシイな!」
安ド「えっ!確か殿は、新型スイフトの通常モデルに関しては、あまり評価は高くなかったのでは?」
清水「その通り。ボディを軽量化しすぎた影響で、ペナペナ感があった」
安ド「なのにスイフトスポーツはスバラシイのですか?」
清水「スバラシイ!普通のスイフトとはまるで別モノだ!」
安ド「確かに、ボディもしっかり感じましたが……」
清水「実はスイフトスポーツは、普通のスイフトに比べると100kg以上重い。それはボディを強化したためだ」
安ド「そうだったんですね!」
清水「重くはなったが、エンジンは1.4リットルターボ。パワーがまるで違うので、加速も段違いだ!」
安ド「ビックリするくらい速く感じました!」
清水「理由は、本車がハイオク仕様である点にある!」
安ド「そうなんですか!?」
清水「このエンジンは、いわゆる直噴ダウンサイジングターボ。低い回転からのぶ厚いトルクと低燃費が特徴だが、レギュラー仕様だとガックリ元気が出なくなる」
安ド「な、なぜですか!?」
清水「ガソリンのオクタン価が低いと、ダウンサイジングターボはすぐノッキングしてしまうのだ」
安ド「へぇ〜……」
清水「しかしハイオク仕様なら、それを防止できる。欧州製のダウンサイジングターボも、すべてハイオク仕様だろう?」
安ド「ですね」
清水「しかし日本では、ハイオク仕様はゼイタク仕様。それこそが、国産車にダウンサイジングターボが普及しない壁なのだ。普通のスイフトにも、RStという1.0リットルターボモデルがあるが、レギュラー仕様のため、パワーもトルクも物足りなかった」
安ド「そうだったんですか〜」
清水「しかし、本車のようなスポーツモデルなら、ハイオク仕様でも買ってもらえる。この1.4リットルターボエンジンは、ハイオク仕様にすることで、ビックリするくらいパワフルで気持ち良い加速をしてくれる」
安ド「本当にビックリしました! 先代までのスイスポとは、普通のゴルフとゴルフGTIくらいの違いを感じます!」
清水「スイスポの走りはスバラシイ! しかも6速MT仕様がある。実用性も十分!」
安ド「このクルマなら、家族もクルマ好きも納得だと思います!」
清水「価格も、安全装備をフルに付けて約200万円。決して安くはないが、性能を考えれば納得だ」
安ド「デザインもいいですし、輸入車を買う必要がない感じです!」
清水「うむ。お前ももうイタリア車かぶれはやめて、次はコレを狙え。もちろん中古でな!」
安ド「そんな〜!」
カーボン調パーツ:戦闘力のありそうなルックス
フロントグリルやバンパー、サイドアンダースポイラーなどにはカーボン調パーツが用いられています。ここが通常のスイフトとの外観上の大きな違いです。リアルカーボンかどうかは問題ではなく、断然見た目がスポーティになります。
17インチアルミホイール:大きくてデザインも特別感あり
スイフトは16インチ&15インチサイズですが、スイフトスポーツでは17インチサイズの大きなタイヤ&ホイールが採用されています。アルミを削ったようなデザインだったり、一部ブラックに塗られていたり、ワイルドな印象です。
マフラー:太く、大きく、男らしく
排気ガスは嫌われますから、エコカーではマフラーを目立たないようにするのがトレンド。スイフトもそうです。しかし、スイフトスポーツではこんなに太くてたくましいのが2本も、まるで大砲のように備わっています。
フロントサイドウインドウ:オールドポルシェを彷彿させる
窓を開けたときに初めて気づくこと。窓枠は写真のように曲線なのですが、中のガラスは角が立っています。これ、実は古いポルシェの窓も同じようなつくりで、それだけでもクルママニアの心を奮い立たせてくれます。
リアドアハンドル&Cピラー:存在しないかのように配置
リアドアの取っ手(ハンドル)部分をドア後方上部に配置して、2ドアクーペのように見せる手法は、近年のクルマでよく採用されています。スイフトスポーツではさらにリアピラーからリアウインドウまで同化させています。
6速MT:スポーツモデルはやっぱりMTが楽しい
いまやATのほうがMTよりシフト操作が早いということで、F1でさえAT化されていますが、やっぱりMTは楽しい。歴代モデル同様、スイフトスポーツにはしっかりMT仕様が設定されていて、赤いステッチなど心憎い演出もあります。
先進安全技術:充実装備でスポーツモデルでも安心
オプション装備扱いになりますが、「セーフティパッケージ」を付ければ、ブレーキサポートや車線逸脱抑制機能、誤発進抑制機能など先進安全装備が全搭載されます。コンパクトカーでもスポーティモデルでも、もう安全面で妥協する必要のない時代です。
260㎞/hメーター:180㎞/hより上まで刻まれた表示
スイフトスポーツはヨーロッパでも販売されているグローバルモデルですから、スピードメーターはなんと260km/hまで記載されています。果たしてこんなにスピード出るのでしょうか!?日本ではサーキットじゃないと試せません。
グラデーション柄オーナメント:まるで高級スポーツカーのよう
インパネ正面(エアコン吹出口下)やコンソール(運転席と助手席間の仕切り)、ドアのアームレストにも、赤から黒へと変化するグラデーション柄のオーナメントが付けられています。スポーティなのに高級感があります。
これぞ 感動の細部だ!
ブースタージェットエンジン:ターボエンジンらしからぬトルク性能
現行型に搭載されるエンジンは1.4リットルターボになりました。人によっては従来のスイフトスポーツのようにNA(自然吸気)が良かったと言う人もいます。しかしこのエンジンは、ターボといっても昔のような急加速する“ドッカンターボ”ではなく、低い回転域でも十分なトルクを発揮するので、扱いやすく気持ち良い走りを味わえます。
【参考にした本】
タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り
価格:926円+税