ランドクルーザー 70といえば、トヨタが開発した世界中で愛されるオフロード車だ。1984年の発売以来、30年の時を経てもその人気は衰えない。日本での販売は2004年に終了したが、その人気から2015年の6月までの限定で期間限定で再販モデルが販売されている。今回は、トヨタの製品企画本部チーフエンジニアの小鑓貞嘉さんに、ランドクルーザーに込めたこだわりを聞いた。
神髄は「どこでも行けて壊れても直せる」
──ランドクルーザー 70の最大のこだわりは、ズバリ何でしょうか?
「70」の開発で最も重視、そして苦労したのは、信頼性・耐久性・悪路走破性に加え、どんな場所でも“修理”できるこ
とです。砂漠や鉱山、災害・紛争地域だろうが、どこでも行けて、壊れても直して帰って来られる整備性の高さ。そのために、最新のクルマでは当たり前の電子制御を、必要箇所以外は使わずメカにこだわっています。
──悪路走破性を高める具体的な機構はどういったものがありますか?
フロントサスペがコイルリジット式(※)であることですね。他のものでは達成できない悪路走破性と耐久強度や信頼性、安心感を与えてくれています。
──30年間、基本部分にあまり変更がないですよね?
不必要に部品を変えてしまうと、僻地でユーザーが部品を入手できなくなったり、整備方法を学んだりするのが必要になります。変えないことが価値であり、今日の信頼性につながっていると思います。
海外には、“ランクル以外禁止”の看板も
──「70」を象徴するエピソードに、ランクルしか走れないことを意味する“ランクル以外禁止”という看板があるそうですね。
実際に看板があるかどうか定かではないですが、実際「70」をはじめとしたランクルは、国連や赤十字の人道支援、災害復興などの社会貢献活動における車両の半数に用いられています。難民の人々の安心と希望の象徴になっており、ランクルでないと行けない場所もあります。
──6月まで国内で再販されていますが、発表4か月での受注は月販目標を大幅に上回る約6000台を達成していますね。
多くの方に購入いただき、30年かけて磨きあげた操る楽しさを味わってもらいたいです。
トヨタ
製品企画本部
チーフエンジニア
小鑓貞嘉さん
2007年からランドクルーザーのチーフエンジニアに就任。入社以来、フレーム車の開発業務を手掛けている。
インタビュアー
モータージャーナリスト
岡本幸一郎さん
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。実際に同車でオフロードを走行し、悪路走破性を体感済み。