乗り物
クルマ
2018/7/10 17:00

清水草一がトヨタ「ヴェルファイア」を徹底解剖!「マイホームのような安らぎを覚える一台」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はトヨタの“フラッグシップミニバンブラザーズ”の弟分、ヴェルファイアに試乗しました。「なぜか心が安らぐ」というこの車の真価とは?

 

【登場人物】

永福ランこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】トヨタ ヴェルファイア

SPEC【ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ】●全長×全幅×全高:4930×1850×1950㎜●車両重量:2220㎏●パワーユニット:2493㏄直列4気筒DOHCエンジン+2モーター●エンジン最高出力:152PS(112kW)/5700rpm●エンジン最大トルク:21.0㎏-m(206Nm)/4400〜4800rpm●カタログ燃費:18.4㎞/ℓ●335万4480円〜750万8160円

 

マイホームにいるような安らぎを覚える

安ド「殿! 今回はマイナーチェンジしたヴェルファイアです!」

清水「アルファードではないのか?」

安ド「弟分のヴェルファイアです!」

清水「アルファードのほうが好きなのだが」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「それは、あの銀歯を剥き出したような顔が好きだからだ」

安ド「ええ〜〜〜〜っ! エレガントなフェラーリを愛する殿が、あんなイカツい顔が好きなんですかぁ!?」

清水「フェラーリはクルマ界の究極形だが、アルファードの顔もまた究極。何ごとも究極は尊い。一方、ヴェルファイアの顔は従来の延長線上にあり、斬新さはない」

安ド「すいません、取材車がヴェルファイアしか空いてなかったもので……」

清水「なら仕方ないな」

安ド「今回はヴェルファイアのなかでも、一番ゴージャスなグレードの“ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ”ですので、ご勘弁ください!」

清水「うむ。実にゴージャスな装備だった」

安ド「運転席での乗り心地が良くてビックリしましたが、2列目はさらに快適だったのでは?」

清水「いや、あまり快適ではなかった」

安ド「ええ〜〜〜っ!?」

清水「このクルマは重心が高すぎる。だから少しの段差を乗り越えるときでも、大きく揺れる。クルマは重心が高すぎると乗り心地が悪くなるのだ」

安ド「ま、そう言われれば」

清水「バカデカいスライドドアのせいで、ボディ剛性も低い。これも乗り心地に悪影響を及ぼす」

安ド「僕はメチャメチャ乗り心地が良いと思ったんですが……」

清水「平坦な道を走っているときは、フワフワ快適なのだが」

安ド「考えて見れば、このクルマ、フェラーリ好きの殿の好みに合うはずないですよね!」

清水「いや、2列目はともかく、運転するのはわりと楽しかった」

安ド「ええ〜〜〜っ! 2列目でふんぞり返るよりですか?」

清水「うむ。このクルマを運転していると、なぜか心が安らぐのだ」

安ド「デカすぎて、杉並区の狭い道では、あまり心が安らぎませんでしたが……」

清水「いや、ボディが四角いため見切りが良く、狭い道でも大きな問題はなかった。宅配便のトラックのような感覚だ」

安ド「見切りが良いから安らぐんですか?」

清水「言うなれば、このクルマはヤドカリなのだ。ヴェルファイアに乗っていると、家ごと移動しているような感覚があるだろう?」

安ド「確かに、部屋が動いているようです」

清水「どこか、マイホームにいるような安らぎを覚える。人気があるのもうなずけるな」

安ド「こんなゴージャスなマイホームが欲しいです……」

 

【注目パーツ01】ラゲッジ床下収納

床板をはがすと隠し収納が出現

 3列目シートの下には大容量(148ℓ)の床下収納が隠されています。これだけ広いと漬物でも貯蔵したくなりますね。スライドレールの下にあるので、収納を開けない時は3列目シートを後ろのほうまで下げることもできます。

 

【注目パーツ02】シルバー木目加飾

 新感覚のメタリックなウッドデザイン 

インテリアのパネルには3Dプリント技術によって立体の陰影を組み合わせたシルバーの木目加飾が施されています。樹木のような細かな紋様がありながら、光が当たると金属的な輝きをみせる見応えのあるデザインです。

 

【注目パーツ03】リアサスペンション

ラグジュアリーな乗り味を演出

 

高級セダンなどに採用される「ダブルウィッシュボーン」という形式のリアサスペンションが搭載されています。コストはかかりますが、優れた乗り心地と操縦安定性を実現します。新時代の高級ミニバンとして象徴的な装備ですね。

 

【注目パーツ04】LEDルーフカラーイルミネーション

 車内をムーディな雰囲気に

天井にはライン状のイルミネーションが搭載されており、夜の車内空間にムードのある雰囲気を生み出してくれます。カラーは16色から選ぶことができますが、あまり派手な色にしておくと周囲から怪しい人だと思われそうです。

 

【注目パーツ05】ヘッドランプ&グリル

 押し出し感をアピール

 

豪華さや重厚感を特徴としてきた歴代ヴェルファイアですが、最新型ではさらなるインパクトを生み出すべく、二段ヘッドライトの下にビローンと伸びた盾のようなパネルを採用しました。何かがぶつかってもはね返しそうです。

 

【注目パーツ06】アシストグリップ

 バリアフリー対応もバッチリ

2列目シートの乗降時に便利な“取っ手”が備えつけられています。先代よりグリップが大型化したそうで、子どもから高齢者までうれしい装備です。ちなみに乗降口のステップも低くなっていて、やはり乗り降りしやすくなっています。

 

【注目パーツ07】トヨタ・セーフティ・センス

ステアリング操作もアシストしてくれる

 

カメラやミリ波レーダーを用いた衝突回避支援システムで、自転車の運転者や夜間の歩行者回避にも対応します。車線逸脱を避けるためのステアリング操作アシスト機能も追加されており、超常現象のように自動でぐいぐいハンドルが動きます。

 

【注目パーツ08】ウェルカムパワースライドドア

 近づくだけで開く自動ドア

 

事前に設定しておけば、スマートキーを持ったまま車両に近づくだけで、スライドドアが自動開錠して開くという、まるで手品のような新機能が搭載されています。開くスピードはゆっくりですがリッチな気分が味わえます。

 

【注目パーツ09】サイド&リアウインドウ

 ボディサイズを感じさせないデザイン手法

 運転席&助手席後方のピラー(窓間の柱)より後方のピラーがすべてブラックアウトされているので、フロントウインドウ以外のすべてのウインドウがつながっているかのよう。重厚なボディをスマートに見せるアイデアです。

 

【これぞ感動の細部だ】エグゼクティブパワーシート

広く柔らかく乗り心地も最上級

 

上級グレードにのみ設定される、ラグジュアリー仕様のエグゼクティブなシートです。シート幅は通常のものより広く、クッション性も高いので座り心地は抜群です。そのうえ、電動式のオットマンや温熱機能、ベンチレーション機能、格納式テーブルまで備えています。車高の高さからくる揺れは気になりますが、くつろいで乗っていられます。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税