【表示器の弱点】天敵である太陽光の光にいかに対応するか
上の写真では、太陽光が順光で車両にきれいに当っているのは良いものの、肝心のLED表示器が見えなくなってしまっている。なぜだろう。
LED表示器の最大の難敵は太陽光だ。太陽の光の当る角度によって、見えなくなることがある。特に初期のLED表示器の場合は、この傾向が顕著だった。
現在は、どのような対策が施されているのだろうか。
上の写真はコイト電工のカラーLED表示器の例である。ヨコ一列が点灯する単位のため、一列ごとに、わずかな出方だが「ひさし」を設けている。これにより、太陽光が当たって表示が見えないということを防いでいる。
さらに新幹線の車体側面にあるカラーLED表示器の場合、カバーとなるガラス窓をスモークガラスにしている。
細部に配慮が行き届いているわけだ。LED表示器をしっかり見せたいという技術者の熱意を知ることができた。
【LED表示器の今①】文字案内だけでなく季節の草花も表示する
LED表示器が瞬時に点灯、消灯していることはわかった。では文字はどのようにインプットされているのだろう。パソコンのように文字単位で、表示されるのだろうか。
車内用のLED表示器などで、文字だけを読ませればよい場合には、文字単位・文章単位でデータがインプットされる。
一方、車外用のLED表示器の場合は、文字単位でなく、文字も含めた1枚の絵にして、その絵を表示しているのだという。つまり、私たちが見る車外用のLED表示器の文字や案内は、表示器メーカーが“絵”として作ったものが表示されているのだ。
カラーLED表示器の技術が向上し、今は草花を表示する例もいくつかの電車で見られるようになっている。
【LED表示器の今②】色覚特性のある人に対応し始めたLED表示器
技術の進歩が著しいカラーLED表示器。最新機器では、一部の色が見えない、見にくいといった色覚特性のある人に対応したカラーユニバーサルデザイン化も進められている。
例えば、横浜市営地下鉄の新型3000V形では、色覚バリアフリーに配慮した車内外の表示器で対応。車外のカラー表示器では、文字の視認性を高めるため、背景と文字の間に輪郭線のある袋文字を使用。特に車内の17.5インチのLCD表示器では、色覚特性のある人にも判読が容易な色を使い、文字はユニバーサルデザインで表示している。
さらにグローバル化に合わせ、駅名は4か国語、5言語に対応している。
このように最新のカラーLED表示器、さらにLCD表示器ではバリアフリーということへの配慮も進められていることがわかった。
高度になりつつあるカラーLED表示器の世界。次回は、鉄道会社や車両によって異なるLED表示器の現状と、写真撮影を楽しむ方向けに、どのように対応していけばよいのかを解説していきたい。
<取材協力:コイト電工株式会社>
コイト電工はカラーLED表示器以外に、鉄道関連事業としては、例えばLED室内灯、新幹線等の回転リクライニングシート、また運転台のモニタ装置やマスコンなどの機器を製造する。また道路施設関連の製品も多く、交通信号機、道路照明設備、道路情報板などの製造も行う。KIホールディングス株式会社の持株会社で、親会社は自動車用照明部品メーカーの株式会社小糸製作所。