【表示器の傾向3】撮影難度が高い新型車両をピックアップした
100分の1前後のシャッター速度でないと、カラーLED表示器がきれいに写らない新型車両もある。100分の1ともなると、撮影場所を選び、かなり気配りして撮影しないと、厳しいシャッター速度だ。代表的な車両を見ていこう。
●西武鉄道40000系(Sトレイン用) → シャッター速度125分の1以下
シートの向きが変更でき、座席指定制の有料列車「Sトレイン」として使われる西武鉄道40000系。表示器をきれいに撮ろうとすると100分の1(125分の1でも撮影が可能)が理想となかなか厳しい。
●東武鉄道70000形(日比谷線乗り入れ用) → シャッター速度100分の1以下
赤い色使いが鮮やかな東武鉄道の新型70000形。東京メトロ日比谷線乗り入れ用に導入された車両だ。表示器はシャッター速度100分の1で文字がきれいに写せた。日比谷線では東京メトロの13000系も導入されているが、こちらも遅めのシャッター速度が必要となる。
●都営地下鉄5500形(浅草線用)→ シャッター速度100分の1以下
都営浅草線用に20年ぶりの導入された5500形。カラーLED表示器は100分の1以下でないときれいに撮れない。ほか都営地下鉄では新宿線用の10_300形の最新車両も125分の1以下のシャッター速度が必要だった。
このように、同じ鉄道会社で同メーカーの同タイプの表示器が使われることが多いために起こりがちな現象。上手く対応するためにも、この傾向は知っておいたほうがよさそうだ。
●阪神電気鉄道5500系(リノベーション車両)→ シャッター速度125分の1以下
関西を走る大手私鉄では、これまで方向幕を利用した車両が多かったが、徐々にカラーLED表示器を利用した車両が増えている。
各社の車両の多くが200分1〜250分の1のシャッター速度でカバーできるが、非常に厳しく感じられたのが、阪神電気鉄道の5700系と5500系リノベーション車両。5500系は、リノベーション前に方向幕が利用されていたが、リノベーションにあたり、カラーLED表示器が利用されている。5700系とともに125分の1以下で撮ることが必要だった。
関西の大手私鉄では、ほかに近畿日本鉄道の9820系(3色LED表示器の利用)が125分の1以下と、やや遅めのシャッター速度が必要だった。
またOsaka Metoro御堂筋線を走る30000系も125分の1以下という遅めのシャッター速度が必要に。ちなみに同線を走る北大阪急行の9000形は250分の1というシャッター速度でもLED表示器の撮影が可能だった。
●JR四国 特急形車両8600系・2600系 → シャッター速度125分の1以下
一部の特急列車の特急名(愛称)をカラーLED表示器で表示する車両の例が出始めている。JR北海道やJR西日本の特急形車両は、250分の1ぐらいのシャッター速度で撮影できた。
難しいと感じたのはJR四国の8600系や2600系。最高運転時速が130kmと速く、カーブも車体傾斜装置で高速で通り抜ける。走行中は125分の1以下というシャッター速度では、とても撮影できないと感じられた。駅で撮影しても、条件によってはにじみが見られた。
JR四国では121系をリニューアルした7200系通勤用電車が3色LED表示器を利用している。こちらは100分の1以下といったシャッター速度が必須だった。
●西日本鉄道9000形 → シャッター速度125分の1以下
西日本鉄道(西鉄)ではこれまで方向幕を使った車両が主体だった。新型として登場した9000形で初めてカラーLED表示器が使われている。この表示器が125分の1以下のシャッター速度の設定が必要。きれいに撮影したい場合は100分の1以下が望ましい。
はじめはなかなか難しく感じられるLED表示器を撮るコツ。慣れるまで大変かもしれないが、だんだんと自然に身体が動くようになってくる。きれいに撮れると、楽しさも増してくるだろう。
さらにシャッター速度を落として撮ると、迫力ある写真を撮影することもできるようになる。鉄道写真の新たな世界を見いだせる可能性もある。ぜひチャレンジしていただきたい。