【発見の旅2】運転台が左でなく右にある同社のオリジナル車両
隣接する車両基地の車両を確認し終わったら0番線ホームの電車に乗り込もう。
この日、筆者が乗車した電車は6000形だった。上信電鉄が自社発注して製造したオリジナル車両で、四角張った車体に特徴がある。正面に貫通トビラは無く、大きな正面窓、下部に自動車のバンパーのようなパーツが付き、そこに前照灯、連結器がまとめられる。
姿形は6000形の一代前の車両、1000形のデザインに近い。ちょうど現在、日野自動車の広告塗装の姿で走っているが、電車の前面スタイルというよりも、日野の大型トラックの前面に近いといったデザインだ。
この6000形、珍しいことに運転台が右にある。6000形だけでなく250形、1000形といった上信電鉄のオリジナル車両の多くが、運転台を右に付けている。
日本の鉄道車両の多くは左側に運転台が付く。その理由としては日本の鉄道開業当時、最初に輸入されたイギリス製の機関車が左に運転台があったためだとされる。複線の路線で左側通行をしていることもあり、また信号が左側に付くことが多い日本の鉄道。運転台が左にあった方が運転しやすく、信号の確認もしやすいとされている。ただし、右か左か、どちらかにしなければいけないという決まりはない。どちらにつけても良いわけだ。
上信電鉄のように右に運転台が付く車両は、地下鉄専用の車両などの一部に限られている。実は、上信電鉄の車両も運転台がすべて右側というわけではない。左に運転台がある車両も走っている。同じ鉄道会社でこの違いは、やや不思議に感じる。
さらにここで上信電鉄を走る車両を簡単に紹介しておこう。
◆上信電鉄オリジナル車両200形、250形、1000形、6000形
上信電鉄では自社で発注したオリジナル車両が多い。1964年製の2000形から、前述した1981年製の6000形に至るまでオリジナル製の車両を導入してきた。この4タイプとも右側に運転台を付くことが大きな特徴となっている。
◆上信電鉄オリジナル車両7000形
2013年、30年ぶりに自社発注した車両。富岡製糸場が世界遺産に登録されることが見込まれたことから、沿線自治体の供出金から製作資金が捻出された。地方の民営鉄道の場合には、大手私鉄で使われた新古車を使う場合が多く、まったくの新製車両を導入されることは、近年では珍しくなっている。2両のみの導入に留まっていることがちょっと残念なところ。ちなみに、この車両は上信電鉄のオリジナル車両ながら、運転台は既存車と異なり左側に付く。
◆旧西武鉄道の車両150形、500形
各地の民営鉄道では大手私鉄の車両が導入されるケースが多いが、上信電鉄も例外ではない。オリジナル車両では足りなくなる不足分を旧西武鉄道からの道入車でまかなってきた。150形には元西武701系と801系の改造車両。500形には元西武の新101系の改造車両が使われている。
すでに150形は西武鉄道時代を加えると、車歴が半世紀に及ぶことから、この夏に、引退車両が現れた。元JR107系の700形が整備されて登場することになれば、真っ先にこの150形や、オリジナル車両で最も古い200形が消えていくことになりそうだ。