【秩父再発見の旅3】日本で一番新しい駅が誕生した理由は?
武川駅付近ともなると、郊外の趣が深まり、田畑が多くなってくる。この先、寄居駅までそうした風景が続くが、途中に新駅が誕生した。
10月20日に開業した「ふかや花園駅」がその新駅で、いま日本で一番新しく誕生した駅でもある。新駅周辺は今のところ、田畑が広がっているが、2020年にはアウトレットモールが開設される予定だとされる。
この駅、深谷市が総事業費を全額負担して生まれた駅だ。実は周辺の農地は優良農地に指定されていた。
そのため商業施設の造成ができなかった。ところが、駅が誕生したことにより、その縛りが解けて開発可能となる。「なるほど!」と筆者も納得させられた策である。農地を商業地化する是非はあるだろうが、鉄道と、地方経済をより活発化させるという意味で、今後が注目される。
新駅は関越自動車道の花園ICも近い。将来はSL列車も停車する予定で、ここ数年で、駅周辺が大きく変って行くことだろう。
【秩父再発見の旅4】寄居駅を過ぎると景色が一転、山景色に
秩父本線の起点、羽生駅からちょうど1時間ほどで寄居駅に到着する。終点の三峰口駅まで、普通列車であと1時間ちょっとかかる。路線のちょうど中間駅と言って良いだろう。
この寄居駅は東武東上線とJR八高線の接続駅でもある。そのため乗り換え客もさぞや多いのだろうと推測したが、意外に少なめだった。駅前のショッピングセンターなども閉店している。
推測するに、秩父鉄道の沿線に訪れる人たちはJR高崎線の熊谷駅、または西武秩父線を乗り継いでという人が多くなっているように思われる。以前は西武秩父線から乗り入れて寄居駅まで行く列車もあったが、利用者の減少から現在は長瀞駅までの運転となっている。
このような状況を見ても、誕生したふかや花園駅周辺の商業地開発が、埼玉県北西部、そして秩父鉄道にとっても今後の大きな鍵となりそうだ。
寄居駅を出発すると、車窓は山景色に変化する。さらに電車は荒川に添うように走る。秩父本線ではこの先、長瀞駅周辺が、最も観光客で賑わうポイントとなる。
長瀞といえば荒川を下る「アドベンチャー舟下り」が名物となっている。冬期は休業となるが、来春は3月10日ごろからの受付を開始の予定。地名でも長瀞と呼ばれるぐらいで、長瀞付近は流れが緩やかだ。その反面、舟下りコースの一部には急な流れもあって流れを乗り切る際はスリル満点となる。
この舟下りが通る荒川橋梁。同橋梁付近の「SLパレオエクスプレス」の通過時間は下り列車が11時46分ごろ、上り列車が15時ごろで、運が良ければ舟下りの船上からベストショットを狙うことができる。
上長瀞駅〜親鼻駅間にかかる荒川橋梁は全長153mのプレートガーダー橋梁で、左右に障害物がなく、非常に展望も良い。荒川本流の最上流に架かる鉄道橋でもある。舟下りとともに車窓からも荒川の眺めを堪能したい。