今回は1月に北米で発表されたスープラのプロトタイプと対話型インターフェイスを採用した新型Aクラス、そして高性能ディーゼルを搭載したX3をリポート。17年ぶりに復活したスポーツカーとドイツ・プレミアムブランドが投入した新作の出来映えやいかに?
【その1】トヨタの本格スポーツ、17年ぶりに復活!
トヨタ
GRスープラ・プロトタイプ(スポーツカー・プロト試乗)
SPEC【RZ】●全長×全幅×全高:4380×1865×1295㎜●車両重量:1520㎏●総排気量:2998㏄●エンジン形式:直列6気筒DOHC+ターボ●最高出力:340PS/5000〜6500rpm●最大トルク:51.0㎏-m/1600〜4500rpm
【3面図(外部配信から閲覧の方は本サイトではギャラリーページを用意しています)】
ダイレクト感に溢れた走りとグラマラスな外観が魅力!
GRスープラは、トヨタとBMWの技術的コラボにより誕生。基本はBMWのZ4をベースとしながら、デザインはトヨタのオリジナル。そのテイストは、最近流行りのスッキリ系とは異なりコッテリ系。超グラマラスだし、ロングノーズ&ショートデッキのフォルムもいい意味でレトロっぽいです。
エンジンは3ℓの直列6気筒ターボを搭載し、8速ATを組み合わせます。アクセルを踏み込むと、エンジン回転数を問わず瞬時に力強さが立ち上がり、「クォーン」という快音を響かせながら強烈な加速が持続。そして、7000rpmに迫る勢いで鋭く吹け上がります。
サスペンションの設定も、トヨタのオリジナル。ステアリング操作に対して長い鼻先が〝スバッ〟と向きを変えるダイレクト感が、きっとスポーツカー好きの気持ちを熱くさせる。ただ、2ℓの直列4気筒ターボエンジンを積むモデルは、〝スイッ〟と向きを変えるライト系の操縦性を示すはず。発売間近、春には日本上陸を果たします。
【Point】
搭載エンジンは3タイプに
試乗したプロトは3ℓ直列6気筒ターボでしたが、市販時には2つのスペックを持つ2ℓ4気筒ターボも用意されます。室内はスポーツカーらしいタイト感のある仕立て。
2シーター化でスポーツカーの理想を追求
2人乗りとしたことで、ホイールベースは86より100㎜短い2470㎜。さらに低重心化と前後50対50の前後重量配分を実現してスポーツカーに相応しい走りの性能を追求しています。
MTのスポーツセダンが限定発売
こちらはトヨタGAZOOレーシングが手がけるGRシリーズの頂点に位置付けられる限定車。3.5ℓの自然吸気V6エンジンに6速MTを組み合わせ、FRスポーツセダンの魅力が満喫できます。1月に注文受け付けを開始。販売は350台を予定しています。価格は513万円です。
【その2】「話す」メルセデス・ベンツの第1弾
メルセデス・ベンツ Aクラス
SPEC【A180スタイル】●全長×全幅×全高:4420×1800×1420㎜●車両重量:1360㎏●総排気量:1331㏄●エンジン形式:直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:136PS/5500rpm●最大トルク:20.4㎏-m/1460〜4000rpm●WLTCモード燃費:15.0㎞/ℓ
【3面図(外部配信から閲覧の方は本サイトではギャラリーページを用意しています)】
対話型のインターフェイスMBUXを初搭載!
シンプルながら本質を極めた新世代デザインや快適性を大幅に高めた乗り味など、新型Aクラスの見所は多岐にわたりますが、なかでも話題となっているのがMBUXです。「ハイ、メルセデス!」と呼びかけることで起動する自然対話形式のインフォテイメントで、例えば「ちょっと寒い」と言えばエアコンの設定温度が1℃上がり、カーナビの目的地設定もニュアンス的な音声入力でOK。LTEモジュールとの連携で学習機能も働き、ユーザーの行動を先読みした提案を行うようにもなっていきます。
ドライバーが運転中にできるサブタスクは限られるゆえ、こういった相棒感はありがたいです。クルマとの付き合い方にパラダイムシフトを起こすことになりそう。
【Point】
メーター回りはタブレット風に
「ハイ、メルセデス!」と話しかけるとディスプレイが応えるMBUX。メーターまわりの作りは、横長のタブレットのようなデザインになり先進度のアピールも十二分です。
設定グレードはシンプル
現状で設定されるグレードは1.4ℓターボを搭載したA180とA180スタイルの2タイプとシンプルですが、遠からずバリエーションは増えるはず。本国では高性能なAMGもデビュー済み。
【その3】ディーゼルでもスポーティな走り!
BMW X3 M40d
(SUV・試乗)
SPEC【M40d】●全長×全幅×全高:4725×1895×1675㎜●車両重量:1980㎏●総排気量:2992㏄●エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:326PS/4400rpm●最大トルク:69.3㎏-m/1750〜2750rpm●JC08モード燃費:14.9㎞/ℓ
【3面図(外部配信から閲覧の方は本サイトではギャラリーページを用意しています)】
事前知識がなければディーゼルとは気付かない?
ディーゼルは、燃費がいいし力強さを感じるけど楽しくない。そんな一般論は、X3が積む3ℓ直列6気筒ディーゼルターボには当てはまりません。そもそも、事前知識がなければ超高性能なガソリンエンジンと思うはず。なにしろ、エンジンの吹け上がりがスムーズで、重厚感あふれるサウンドの迫力もバツグン。加速の勢いに、気分がアゲアゲになります。
それでいて、周囲の流れに合わせるように走れば洗練度の高さが確かめられます。エンジン音が静かで、ザラついた路面を通過する際のロードノイズの抑えぐあいも高級サルーンに匹敵。サスペンションの設定は引き締まっていますが、余計な抵抗感がないので、乗り心地も上質です。
6気筒ディーゼルはツインターボを採用
ただ力強いだけではなく、6気筒ディーゼルターボはスポーティなキャラクターも実現。室内はMスポーツ仕様を基本としたスポーティかつ上質な仕立てになります。
X3唯一の「Mパフォーマンス」モデル
標準的なBMWとスポーツ性を極めたMモデルとの中間を埋める「Mパフォーマンス」モデルの最新作となるX3 M40d。日本仕様では最速のX3となります。価格は878万円。
文/石井昌道、萩原秀輝 撮影/トヨタ自動車、柏田芳敬、菊池貴之