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2019/3/31 18:00

相鉄の長年の悲願だった都心乗り入れ―― この秋、東京でハマの「ネイビーブルー電車」に乗車できる!

【新型12000系②】ここがおしゃれ!ハマのネイビーブルー電車

かしわ台車両センターで公開された新型12000系。車体カラーは2016年から徐々に導入されている「YOKOHAMA NAVYBLUE」。輝き感のある紺色塗装が魅力だ。

 

さらに電車の顔とも言える前面は日本の伝統芸能である能の面・獅子口をもとにデザインされた。獅子口といえば、怖い印象があるが、本来は「智恵の象徴であり守り神、めでたいもの」という意味があるとされる。「新たな輸送体系の実現へ、わたしたちを護る存在」と相模鉄道ではPRする。

 

筆者は新型12000系がなかなかイケメンだと感じた。

↑少し下から12000系を眺めてみる。さまざまな角度から眺め、写してみたが、締まった顔つきで「ファッショナブルな車両だな」と感じた

 

ちょうど報道公開では昨年春から走り始めた20000系が並べて公開されていた。20000系は2018年度グッドデザイン賞を受賞している。こちらもおしゃれな車両である。

 

新型12000系とどのあたりが違うのだろう。ここからは写真を中心に、まず顔からその違いに迫ってみた。

↑新型12000系の前照灯とグリル部分をアップしてみる。ライトを覆うカバーは黒縁取りがされていた。人の目にたとえると目尻は上がりもせず、下がりもせずの控えめな位置。「SOTETSU」のロゴがちょうど中央に入っていて、バランス良く見える

 

↑こちらは2018年春にデビューした20000系。前照灯はつり目がちとなっている。将来、地下鉄路線を走ることも考え、非常時用の貫通トビラも設けられている。前面ガラスが12000系に比べてやや立ちぎみ。12000系の方がやや寝かせ気味の角度で付けられている

 

12000系と20000系とでは車内の造りも異なる。東急の路線への乗り入れように造られた20000系は、走ることができる車両の大きさ(車両限界)がJRの路線に比べてやや小さめだ。

 

そのためそれを基準に造られている。車内の写真で見比べてみよう。

↑12000系の車体は20000系に比べて横幅で15cmほど広い。天井は通常の高さになっている。下の20000系に比べるとやはり広い印象だ

 

↑こちらは20000系の車内。座席や車内の座席など諸施設はほぼ同じだが、横幅が狭い分、中央部の天井を高くして狭さを感じさせない工夫を取り入れている

 

前面のデザインで変更されたのが前照灯のデザインなどのほか、前面のガラス窓の角度。12000系は20000系に比べて、ガラス窓をより寝かせている。視認性を向上させるための変更だとされる。

 

次に車内の細部をもう少し見ていこう。

↑より運転しやすいように、と前面ガラスの角度に改良が施された

 

 

【新型12000系③】各車に設けられたフリースペースとUD席

乗る人への配慮も怠りない。各車に車椅子、ベビーカーを利用する人が乗車しやすいようにフリースペースが設けられた。フリースペースは中間車のすべて横浜駅側、トビラの横と決められた位置にある。対面する座席はUD席、ユニバーサルデザイン対応の席とした。

 

どっしり座るというよりも、立ちぎみで気軽に座れ、また立ちやすいように座面をやや高くしている。ただし20000系よりも、座面の位置はやや低くした。こうしたユニバーサルデザインの座席は優先席だけでなく、一般席用も設けられた。

↑中間の2〜9号車では、必ず横浜駅側にフリースペース(写真左)が設けられる。対面する座席はユニバーサルデザインの優先席。座りやすくするためにやや座面が高くされている

 

↑荷物棚はガラスとなっていて、荷物を置き忘れないように工夫されている。つり革は握りやすさを考え、楕円形とされた。ほか乗降トビラは半自動式で、ドア横に開け閉めボタンが付けられている。寒い日、暑い日など駅での停車時に便利な機能だ

 

相鉄の新型12000系は総合車両製作所の車両ブランド「sustina(サスティナ)」が元になっている。sustinaでは車体構造や、機器システムをできるかぎり共通化させる設計スタイルを採用している。

 

さらに今回は、JR東日本の路線に乗り入れを考え、JR東日本の車両などと運転システム、前頭部の寸法、トビラ位置など共通化している。

 

とはいえ車両カラーは「YOKOHAMA NAVYBLUE」。顔も個性的な顔立ちとされた。それこそおしゃれなハマの「ネイビーブルー電車」が都心を走るようになる。早く乗りたいものだ。

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