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2019/4/27 17:30

上州名物・赤城山の南麓を走る「上毛電気鉄道」10のお宝

 

【上毛電鉄のお宝②】今も現役!昭和初期に誕生したデハ101

↑春秋の上毛電鉄のイベント日や、貸切列車として走るデハ101。国内に残る現役の電車としては最古級のお宝車両となっている

 

上毛電鉄のお宝といえば、デハ101。この車両を抜きにして上毛電鉄は語れないだろう。川崎車両製造製で、1928(昭和3年)年11月10日の上毛電鉄の開業日から走り始めた歴史的な電車だ。車体はぶどう2号(国鉄が定めた色の名称で「こげ茶色」)。角張った武骨な車体が何とも味がある。

 

さらに車内が素晴らしい。古風な板張り、レトロな形の照明、座席の肘掛け部分などの装飾などにも時代を感じさせる。乗れば吊り掛け駆動式の重厚なモーター音が車内に伝わる。「かつてはこのような電車に乗っていたのだなぁ」、とある年代以上の鉄道ファンとしてはとても懐かしく感じるに違いない。

↑車内は昭和初期の車両らしく床をはじめ木材が多用されている。側面(右下写真)の行先表示(サボ)はホーロー(琺瑯)製。側面に丸頭のリベットが打たれているあたりも古い車両らしく味わい深い

 

現在、デハ101は、ことでん(香川県)を走る20形、1000形、3000形、5000形(1925〜1928年製)、または阪堺電気鉄道のモ161(1928年製)とならび、国内に残る最古級の現役電車と言って良い。

 

デハ101は貸切電車、また春秋の上毛電鉄のイベント開催日の臨時運行に限られている。直近のイベントとしては4月21日に臨時運行が終了したばかりだが、今後は6月8日(土)にイベント列車が、10月27日(日曜日)のイベント開催日に臨時運行が行われる予定だ。

 

ちょっと先のことながら上毛電鉄のサイトでチェックしておきたい。

 

 

【上毛電鉄のお宝③】起点の中央前橋駅は疎水百選のほとりにある

さて、上毛電鉄の旅を始めることにしよう。JR前橋駅からはシャトルバスが便利(運賃100円)。列車の発車時間にあわせてバスが走っている。

↑JR前橋駅と上毛電鉄の中央前橋駅間を走るシャトルバス。レトロな造りが特徴となっている。運賃は大人100円で、所要約10分で駅間を結ぶ。JR前橋駅の発車時間は9時台から18時台まで同一で26分発、56分発と30分おきに運行している

 

JR前橋駅からバスで10分ほど。中央前橋駅に到着する。駅舎に入るとすぐ目の前がホームとなっていて便利だ。そのホームの横には水量が豊富な川が流れている。

 

この流れは広瀬川。利根川水系の河川でもある。広瀬川は潅漑用水として利根川の水を引き込み、整備されたもの。かつては水運にも使われた。

 

農業を支えてきた日本を代表する用水「疎水百選」にも選ばれた流れだ。前橋市のキャッチフレーズは「水と緑と詩の町」。広瀬川は市のシンボルともなっている。

 

そんな街のシンボル、広瀬川がホームのすぐ横を流れる中央前橋駅。清らかな水の流れは上毛電鉄にとって一つのお宝と言っていいだろう。

 

↑前橋市のシンボル・広瀬川を横に見ながら西桐生駅行きの電車が発車する。都市部の河川は暗きょとなる例も多いが、ここは駅前のロータリーを除き、こうしたのどかな情景が広がっている

 

 

【上毛電鉄のお宝④】車内を彩る「デコトレイン」に心が癒される

上毛電鉄の電車に乗ると、ちょっと驚きがある。飾り付けされた電車に乗り合わせることがあるのだ。こうした飾り付けされた電車を上毛電鉄では「デコトレイン」と呼んでいる。

 

最近の例でいうと、4月末まで運行予定なのが「桐生織物号」。沿線の桐生の名産品、桐生織物を知ってもらおうと、地元企業とコラボして走らせている電車だ。花びらガラの織物が車内の天井、また窓の上に飾られ、爽やかだ。

 

ほか「ぐんま昆虫の森号電車」という「デコトレイン」も走る。新緑と昆虫、菜の花と蝶といった飾り付けが楽しい。手作り感満点のこの「デコトレイン」。まさに上毛電鉄のスタッフのアイデアが満開といった造りが楽しめ、心が癒される。

↑季節に合わせた飾り付けが楽しめる「デコトレイン」。手作りの良さが魅力となっている。夏は風鈴電車が走り、上毛電鉄の名物となっている

 

 

【上毛電鉄のお宝⑤】上泉駅近くから見る赤城山は一見の価値あり

中央前橋駅を発車した電車は、市内の駅を小まめに止まっていく。4つめの上泉駅付近からは駅間も次第に長くなり、沿線に田園風景が広がるようになる。

 

上泉駅(かみいずみえき)を過ぎたら進行方向左手に注目したい。次の赤坂駅までの間、赤城山の姿が楽しめる。

↑上泉駅はホーム一つで、上下列車の行き違いが可能な構造となっている。上毛電鉄の駅には跨線橋がない。ホームからバリアフリーのスロープが延びている。この駅の形も上毛電鉄のお宝と言って良いだろう(詳細後述)

 

↑上泉駅とひとつ手前の片貝駅の間には水田風景が広がる。稲の刈り取りが終わった秋の水田は水鳥たちのパラダイスとなっていた

 

↑上泉駅〜赤坂駅間は赤城山を望む。盛土の上を走る700形が水田越しに見えて絵になる
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