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2019/4/27 17:30

上州名物・赤城山の南麓を走る「上毛電気鉄道」10のお宝

 

【上毛電鉄のお宝⑨】昭和レトロ!モダンな洋風建築の西桐生駅

中央前橋駅から乗車すること52分。終点の西桐生駅に到着した。この駅、プラットホーム、そして駅舎がとても古風だ。路線開業時の建物がそのまま残っている。この駅も上毛電鉄のお宝と言っていいだろう。

 

駅舎の外観はモダンな洋風建築。入口中央の屋根は勾配がゆるやかだが、こうした姿は「腰折れ屋根」と呼ばれる。外壁は褐色のモルタル塗り、内部は漆喰塗り、上部には明かり取りを兼ねたガラス製の飾り付きの換気口が設けられている。昭和初期の職人さんたちの思いが感じられるようだ。

 

この建物も国の登録有形文化財。現在、上毛電鉄の7施設が登録有形文化財となっているが、その中でも西桐生駅は最も早い2005(平成17)年12月26日に登録されている。それだけ価値が高いと見なされたわけだ。

↑歴史を感じさせる西桐生駅の駅舎。プラットホームと含めて一見の価値がある。昭和初期の職人さんたちが細部までこだわった造りに感心させられる

 

ちなみに西桐生駅はJR両毛線の桐生駅と300mほどしか離れていない。起点駅、終点駅が他の路線と接続していないと最初に触れたが、この距離ならば歩いてもほんの数分といったところ。

 

厳密に言えば接続していないが、都会のターミナル駅での乗換えは、同一駅なのにこのぐらいの距離は離れていることがよくある。桐生では、上毛電鉄とJR両毛線は、ほぼ接続していると見なして良いのかも知れない。

 

 

【上毛電鉄のお宝⑩】サイクルトレイン&高齢者に優しい駅の造り

上毛電鉄の名物となっているのが「サイクルトレイン」だ。平日は中央前橋駅発が朝の7時47分以降、西桐生駅発が8時以降の列車ならば終電まで「サイクルトレイン」として運行、乗車券のみで自転車の持ち込みができる。ちなみに日曜日や祝祭日は終日、持ち込むことが可能だ。

 

一般的な鉄道路線ならば、そのまま自転車を持ち込むことができない。自転車を分解して、コンパクトにし、さらに輪行袋(りんこうぶくろ)に入れて、乗車券のほかに普通手回り品料金として1個280円を払わなければいけない。はっきり言って自転車の車内持ち込みはとても厄介なのである。

 

ところが上毛電鉄では、朝のラッシュ時を除き、自転車そのものを持ち込めるのだ。車両が空き気味ということもあるのだが、実は、上毛電鉄の自転車持ち込みを多く見かける理由には、ほかにもその理由があった。

↑上毛電鉄では朝のラッシュ時を除き、全列車に自転車の持ち込みが可能となっている。スポーツサイクル以外に、買い物に出かける、そんな姿の利用者も多い

 

実は上毛電鉄の駅の23駅全部に、跨線橋がない。これは非常に珍しいことだ。ホームからはじかにスロープが延び、地上に降り立つことができる。もちろん遮断機付きの構内踏切は一部の駅にあるものの、気軽に自転車で駅まで走ってきて、自転車を押してホームまで入るのに、ほとんど手間入らず。

 

ホームへの出入りがスロープのみ、というのは、自転車の利用者だけでなく、高齢者といった人たちにもありがたいことだ。

 

もちろん都市開発の波に上毛電鉄が飲み込まれなかったという路線ならではの事情もある。こうした造りが、高齢化が進む日本の社会にとっては、逆に非常にありがたいのではないだろうか。

 

上毛電鉄に乗って見つけた一つの特徴であり、今や貴重なお宝となっていること自体が、おもしろく感じられた。

 

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