【リアス線おもしろ旅④】津軽石駅がどう変ったか訪ねてみた
宮古駅から2つめに津軽石という駅がある。宮古湾の南側、最奥に位置する駅だが、東日本大震災では津波の影響を受け、ホーム手前まで線路とともに路盤が流されるなどした。
ちょうど2年前(2017年5月6日)に津軽石駅に訪れ、写真を撮影した。比べた写真が下記だ。線路が敷かれているため、まったく同位置に立つことはできなかったが、2年のうちにこうして復旧がされていたことが実感できた。
さらに駅のすぐそばに立派な立体交差道が出来ていたのにはびっくりさせられた。こうした公共工事は着々と進む一方で、駅周辺に空き地が目立った。被災地ではこうした寂しい現実も散見される。
【リアス線おもしろ旅⑤】豊間根駅を過ぎて峠越えの区間に入る
津軽石駅からは山間へ入っていく。2つ先の豊間根駅(とよまねえき)と、次の陸中山田駅までは駅の間の距離が11.1kmとリアス線の中で最も長い。
ちなみにJR山田線は当初、陸中山田駅を目指して路線が敷かれたこともあり、山田線と名付けられた。現在JR山田線(盛岡駅〜宮古駅間)は、山田までは走らない路線となったが、昔からの山田という名前が路線名として残されている。
豊間根駅〜陸中山田駅間には旧北リアス線や旧南リアス線では見ることが出来ない険しい峠越えがある。そのため、リアス線の列車はスピードを抑えつつ、急な坂をのぼり、また峠を越えると軽やかに坂を下って走る。
旧山田線の魅力は海景色とともに、こうした山や里の景色が場所ごとに変化していくところだろう。
【リアス線おもしろ旅⑥】海景色が楽しめる浪板海岸駅付近
旧山田線沿線は、55.4kmという距離のうち、半分近くの21.7kmが浸水、鉄橋なども6か所で破壊された。中でも陸中山田駅、大槌駅、鵜住居駅(うのすまいえき)といった標高が低く海が近い平野部が津波の大きな影響を受けた。
旧山田線の復旧に時間がかかった一つの理由として、こうした場所にあった住宅地の再生計画の行方を待たなければいけなかったこともあった。かさ上げをするなど再生計画もその土地ごとに異なっていた。
訪れた陸中山田駅や大槌駅周辺もようやく街の再生が始まりつつある。そして街の中心、そしてシンボルにリアス線の新しい駅がなりつつあった。
さて、陸中山田駅の次の駅、織笠を過ぎると、海を望みつつ列車が走るようになる。さらに列車は進み、浪板海岸駅(なみいたかいがんえき)の前後で海がさらに良く見えるようになる。とはいえ、旧山田線の海沿いの区間では線路と海の間に樹木が茂る箇所が多く、ピンポイントでしか海景色が楽しめないのがちょっと残念だった。
浪板海岸駅は大槌町の町内にある駅だ。この大槌町、町の中心である大槌駅周辺が震災の大きな影響を受けている。津波により町内の住まいが多く流された。現在は、かさ上げが行われ、新しい住まいも建ち並ぶようになっている。その一方で、工事を待つ空き地も多く残っていたのが印象的だった。
大槌駅から先、JR釜石線との接続駅、釜石駅へはあと2駅。鵜住居駅(うのすまいえき)、そして両石駅(りょういしえき)と列車は停まりつつ進む。