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2019/5/18 17:30

開業100周年を迎える「美濃赤坂線」――ミニ路線を巡る10の秘密

【美濃赤坂線の秘密③】時刻表誌では東海道本線と別ページに掲載

美濃赤坂線が東海道本線の支線にも関わらず、地元に住む人たちには申し訳ないが、やや隅っこに置き去られた存在になっているように感じた。それが感じられるのは、例えば「時刻表」誌での扱い。

 

時刻表は交通新聞社が発刊するJR版と、JTBパブリッシングが発刊するJTB版が出版されている。それぞれの誌面で、東海道本線はやはり最大の幹線ということもあり、在来線の中でトップのページに掲載されている。

 

一方の美濃赤坂線は、東海地方の時刻表ページの、下の方に小さなスペースに載せられている。目立たない。さらに美濃赤坂線の名はなく、両誌とも「大垣−美濃赤坂(東海道本線)」と記載されている。

↑南荒尾信号場から美濃赤坂線へ入る美濃赤坂駅行き列車。大垣駅(右上写真)では「美濃赤坂方面」と記された行き止まり式の3番線ホームから同路線の列車が発車している

 

実際に美濃赤坂線に乗ろうと大垣駅を訪ねても、そうした隅っこに置き去りにされた印象がある。東海道本線の2番線ホーム(下り方面)と4番線ホーム(上り方面)の先、米原駅側に、美濃赤坂線の3番線専用ホームが“ひっそりと”設けられている。

 

頭上の案内には「3番 美濃赤坂方面」のみ。ホームはちょうど2両編成の電車が停車できる長さだ。

 

以前は、名古屋方面からの直通列車が運転されていたが、2013年3月のダイヤ改正で直通列車は消え、大垣駅〜美濃赤坂駅間を往復する列車のみとなってしまった。ちなみに平日の列車と、土曜・休日運転の列車では、ダイヤがだいぶ異なる。15分以上も発車時間が異なる列車があるので、しっかり時刻を確認してから利用したい。

 

大垣駅は西濃地方の中心駅でもある。JR東海以外に、樽見鉄道や養老鉄道の列車も共用している。鉄道の旅を楽しむにあたり、これらの鉄道も気になるところだろう。大垣駅では1番線から5番線ホームをJRの列車が利用、6〜7番線が樽見鉄道の専用ホームとなっている。

↑養老鉄道の大垣駅ホーム。養老鉄道ではこれまで元近鉄の車両がメインで使われてきたが、東急電鉄から多くの7700系が入線した。今後徐々に車両の入れ換えが行われていく予定で、注目されている

 

さらに養老鉄道の大垣駅は、そのホームがやや西側にずれている。JRのホームとの連絡通路はあるものの、駅舎が異なっている。

 

美濃赤坂線が発着する3番線ホームからは、ちょうど線路をはさんだところに養老鉄道のホームが見えた。東急電鉄から養老鉄道へ多くの7700系(東急池上線・東急多摩川線を走ったステンレス車両)が輸送されたばかり。大垣駅ではこうした養老鉄道の“新型車”の動きも気になるところだ。

 

【美濃赤坂線の秘密④】沿線には関ヶ原の戦いに絡む史跡があった

美濃赤坂線は路線距離が短く、大垣駅を乗ったらあっという間に着いてしまう。とはいえ沿線模様をごく簡単に紹介しておきたい。歴史好きにはちょっと気になるところもあった。

 

大垣駅の3番線を発車した列車はまず左手に大垣車両区を見て走る。ここには313系や311系といった東海道本線を代表する車両が停められている。

 

その先で養老鉄道の揖斐駅(いびえき)行きの線路と立体交差、すぐに杭瀬川(くいせがわ)を渡る。

 

杭瀬川付近は実は古戦場だった。大きな転換ポイントとなった関ヶ原の戦い(西暦1600年)の前哨戦、「杭瀬川の戦い」が行われていたのだ。戦闘場所が明確でなく、両軍が渡河した場所は特定されていないので、碑など残っていないのがちょっと残念だ。この戦いでは西軍が勝利している。

 

杭瀬川を渡ると、左手に水田が広がる。少し走ると線路の上を東海環状自動車道の高架橋がまたぐ。その先に美濃赤坂線が分岐する南荒尾信号場がある。

↑赤坂支線で唯一の途中駅・荒尾駅。東海道本線の南荒尾信号場から分岐、大きく曲がるカーブ上にホームが設けられている。改札はなく、運賃は車内で支払うシステム
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