【弥彦線の秘密④】吉田駅を境に大きく変る弥彦線の列車ダイヤ
さて、弥彦線に関わる歴史話が長くなったが、現代に話を戻そう。
17.4kmと短い路線だが、弥彦駅〜東三条駅間を通して走る列車の本数は少ない。ほとんどの列車が弥彦駅〜吉田駅と、吉田駅〜東三条駅間というように、別々に運行されている。弥彦駅〜吉田駅間が所要8〜9分ほど。吉田駅〜東三条駅間は約20分と乗車時間は短い。
とはいえ、列車の運転日が季節運転や、臨時列車、週末のみ運転という不定期列車が多い。果たしてこの列車は今日走るのだろうかと時刻表を良く確認しておかないと、次の列車まで1時間待ちということになりかねないので注意しておきたい。
とくに弥彦駅〜吉田駅間は、平日の日中、2〜3時間ほど列車がない時間帯があるので細心の注意が必要だ。
【弥彦線の秘密⑤】JR東日本では希少車となったE127系0番台
走る車両について触れておこう。主力の車両はE127系(0番台)とE129系だ。越後線を走ることが多い115系は、途中の吉田駅構内で見かけることが多いものの、弥彦線では朝夕に走る程度とされる(筆者は視認できず)。
E127系0番台は1995年から新潟地区を走り始めた車両。115系では二次新潟色と呼ばれる濃い緑と薄い緑の2色の帯を車体に巻いている。
現在、2両編成×2本のみが弥彦線と、越後線の一部の列車に使われている。JR東日本では4両しかない車両である。
なぜ少ないのだろう。2015年3月、北陸新幹線の開業に伴い、信越本線と北陸本線の新潟県区間を引き継いだえちごトキめき鉄道に売却されたためだ。E127系0番台の10編成×2両がえちごトキめき鉄道に移っている。
よってこの車両デザイン、車両色は弥彦線と越後線でしか乗ることができない。鉄道ファンにとって、ちょっと興味をそそる車両と言って良いだろう。
ちなみにE127系には1000番台というデザインなどが異なる車両が2両編成×12本導入され、こちらは長野県内のJR東日本の路線を走っている。
【弥彦線の秘密⑥】東三条駅の行き止まりホームから旅がスタート
余談が長くなったが、本ローカル線の旅では、弥彦線の終点となる東三条駅からその旅をスタートさせよう。弥彦線は東三条駅で信越本線と接続する。
東三条駅のホームは0番線から3番線まであり、弥彦線はおもに0番線から発車する(2番線利用の列車もあり)。駅北口の改札を入ると1番線ホームに出る。0番線はこの1番線の長岡駅側にあり、切欠けと呼ばれるL字形をしたホームで、線路は行き止まりスタイルとなっている。
筆者が乗ろうとした列車は0番線に停車中。車両はE127系0番台だった。
東三条駅13時10分発の弥彦駅行に乗り込んだ。次の列車が15時4分までないので、乗り遅れたら大変だった。
乗客は客席のほぼ8割を埋めた状態。週末にもかかわらず学生が多い。信越本線に沿って走り、間もなく高架上を右に大きくカーブして走る。このあたりは都市部の近郊電車の趣だ。
次の北三条駅も高架の上にある。しばらく走ると左に川が見えてきて、このあたりから地上部を走るようになる。この左に見えてきた川は信濃川だ。信濃川といえば大河のイメージが強いが、三条付近は、それほど川幅は広くない。
その理由は三条市街のやや上流部分で、川がいくつかに分かれているから。前回の越後線でも紹介したが、大河津分水(おおこうづぶんすい)、そして三条市内で中ノ口川(なかのぐちがわ)が分流している。そのため本流にも関わらず川幅があまり広くないのである。
ちなみに分流した中ノ口川を弥彦線は燕三条駅〜燕駅間で渡る。
またまた余談で申し訳ないのだが、この信濃川と分流する中ノ口川は、戦国時代に越後を治めた上杉家の家老、直江兼続(なおえかねつぐ)が整備したと伝わる。かつては直江川とも呼ばれたそうだ。戦略家であり、素晴らしい行政能力を持っていた兼続の名前が、このようなところに出てきたことに驚かされる。
弥彦線は信濃川を見つつ、左にカーブ、流れを渡る。渡ると大型店舗やホテルが連なる街が広がり、間もなく燕三条駅に到着する。