【別所線で発見⑤】路線がクランク状になった理由を振り返る
上田電鉄別所線の路線図を見ると、上田原駅と下之郷駅の2か所で大きく折れ曲がっている。その形は折れ曲がったクランクの形に近いと言っても良い。
さてどうして、このように折れ曲がったちょっと不自然な形の路線となっているのだろう?
すでに触れてきたように、かつて上田原駅では青木線と、下之郷駅では西丸子線と接続していた。青木線は上田原駅から現在の国道143号の上を走る併用軌道線として青木村へ向かっていた。西丸子線は下之郷から南へ、田園の中を走り丸子へ向かっていた。
別所線はもともと、青木線の支線として、さらに下之郷駅で西丸子へ路線を延ばすことを念頭に路線が敷かれた。その後に両線が廃止された。両線が消えたことにより、こうしたクランク状の形をした路線のみが残されたのだった。
西丸子線の分岐駅だった下之郷駅。西丸子線が走っていた当時の施設が一部に残されている。駅の入口に残るホーム跡は、西丸子線用のホームだったところだ。
この旧ホーム上に小さな建物が立つが、壁には「上田丸子電鉄」という旧社名が掲げられ、駅の名前を右側から記した、つまり文字にすると「うごのもし」となる、戦前の案内標も残されていた。
【別所線で発見⑥】走る元東急電鉄の車両を確認しよう
東急グループの一員ということもあり、現在、上田電鉄を走る車両はすべてが元東急の車両だ。東急電鉄の車両を、東急グループの一員、東急テクノシステムが、別所線用に改造した上で、入線している。
主力は1000系電車で、東急でも1000系だった車両だ。東横線で活躍した後、池上線、東急多摩川線に移り、今も主力車両として活躍している。
1000系は車両の長さが18mと短めで3扉車。地方私鉄では使い勝手が良いのだろうか。上田電鉄以外にも伊賀交通、福島交通、一畑電車など多くの私鉄で走り続けている。
1000系の後に導入されたのが6000系。この6000系も元になった車両が東急の1000系だ。しかし、正面の形が少し異なっている。6000系は、東急1000系の中間車を改造したためだ。ちなみに6000系には「さなだどりーむ号」という愛称が付く。
このように現在の上田電鉄の車両は1000系と6000系の2種類だ。一応、2018年5月まで走り続けた人気の車両も、ここで記しておこう。上田電鉄7200系で、こちらも東急電鉄で7200系として走った車両だった。
7255・7555という車両番号の編成が最後となったが、この車両は引退したものの廃車とならず、現在は千葉県内の保育園の園内で保存されている。