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2019/8/18 18:00

乗って歩けば魅力がいっぱい!「上田電鉄別所線」で見つけた11の発見

 

【別所線で発見⑪】和装の制服に袴姿の観光駅長が出迎える

ひと駅前の八木沢駅から乗車。終点の別所温泉駅を目指す。ここから電車は坂を上り始める。平坦だった塩田平が終わり、傾斜地を登りはじめた。

 

八木沢駅からの登り坂は40パーミル。1000mの間に40m上がるという急坂だ。かつて使われた旧型車両はこの坂でスピードが出せず、ゆっくりゆっくりと登っていったそうだ。

 

そして別所温泉駅へ電車が到着した。ここでうれしいお出迎えがある。和装の制服に袴を着た女性の観光駅長が乗客を出迎える。

 

和装制服に袴といえば……。そう!  八木沢駅の駅名標にあった「八木沢まい」ではないか。鉄道むすめシリーズのホームページによると、八木沢まいの肩書きは別所温泉観光協会・別所温泉駅駅長なのだそう。「家は地元の温泉旅館」で、「『まるまど』からの景色が大好き」とある……。なるほどねえ。

 

鉄道むすめというキャラクターと、現実の世界が、この駅でリンクしていたわけだ。現実に存在する駅長さんは、2人の観光駅長さんが交代で勤務、日中(窓口業務は9〜17時)には乗客の送り迎えをしているので、上田電鉄を乗車した時の、お楽しみとしていただきたい。

 

↑終点の別所温泉駅の駅舎とホーム。左下の駅名標を含め、レトロな案内や広告がそのままの形で使われている。中塩田駅と同じく洋風なたたずまいが特徴となっている。同駅の逆側には丸窓電車の愛称で親しまれる5250形が保存されている

 

 

さて肝心の別所温泉だが。別所温泉駅から別所温泉の中心へは徒歩で10分ほどのところにある。ただし、温泉へはやや登り道が続く。

 

このような観光地の駅に訪れ、常に感じることは駅から歩こうという人が非常に少ないこと。筆者が訪れたのは真夏ということもあったのだが、徒歩10分という距離を歩く人はまれ。旅館の送迎バスに乗り込む姿が多く見られた。

 

クルマで目的地に向かうことは確かに楽ではある(筆者ももちろんだ)。とはいえ、見落としてしまうことも多いように感じる。歩いてこそ、電車に乗ってこそ発見できることが多い。それこそ、これが旅の醍醐味。見落としてしまうということは、非常に惜しいように思えるのだが、いかがだろう。

 

↑別所温泉には大師湯(写真)といった風情ある共同浴場が3軒ある。上田電鉄では別所温泉駅までの往復乗車券と共同浴場のいずれかに入浴できる入浴券がセットになった「外湯入浴券つききっぷ」を発売中。上田電鉄ではこうした企画きっぷを多く販売している

 

↑別所温泉内にある安楽寺の境内にある八角三重塔。長野県で最初に国宝に指定された建物で13世紀末の建築と推測される。屋根の姿からして四重塔と見えるのだが、一番下はひさしとされている。別所温泉駅からは徒歩で約10分。見学有料

 

↑別所温泉内には地元の味が楽しめる食堂が複数軒ある。写真は馬肉うどんで、別所温泉の名物となっている。馬肉に含まれた甘みとうどんが絡み合い忘れられない味となった

 

【ギャラリー】

 

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