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2019/9/1 18:00

【2019秋 保存版】乗るなら今のうち!消えゆく国鉄形車両 その2〈気動車編〉

JR各社に残る国鉄形気動車を全チェック! 〜〜キハ32形からキハ185系まで〜〜

国鉄が分割民営化されたのは1987(昭和62)年4月1日のこと。JR各社が誕生して早くも32年の時が経つ。昭和末期生まれの国鉄形車両は平成、令和と時代を越え使われてきたものの、ここ数年、消滅する形式も増えてきた。今回は「国鉄形車両」紹介の2回目、気動車の動向をまとめた。

 

なお現存車両数は2019年4月1日現在のもの。その後、さらに車両数を減らしている気動車もある。

 

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【はじめに】後継の車両が先輩車両より先に消えていくケースも

国鉄形気動車の代表格といえば、やはりキハ40系だろう。登場してから約40年、800両以上が造られ、今もJR東海を除く、各社で利用されている。

 

一方で、下の写真はキハ31形。国鉄最晩年の1986年〜1988年に九州地区用に製造された。キハ40系よりもかなり後に生まれた車両ながら、2019年3月で運用終了となった(残るは保留車のみ)。形式自体の消滅も近いと思われる。

 

↑熊本の三角線、肥薩線などで使われてきたキハ31形。近郊路線を1両で走ることが多い車両だったが、トイレがなく不評だった。国鉄の最晩年に開発された車両は、コストダウンを重視し、製造されたためか、実情に合わない車両もあった

 

早く引退した理由の一つは、トイレがなかったためとされる。トイレがない車両は長距離用の列車としては使い難い。JR九州ではトイレの設置を検討したが、構造上、難しかったとされる。さらに国鉄最晩年に造られた車両で、コスト削減を重視するあまり、廃車部品を流用、バスの機器を利用するなどしたため、通常の車両よりも老朽化も早かったようだ。先輩格のキハ40系は、JR九州に142両(2019年4月1日現在)と大量に残っていたのにも関わらず、後継のキハ31形の方が先に消えてしまったのである。

 

国鉄分割民営化後に生まれたJR形の車両ですら、すでに消えてしまった車両が現れている。この先、国鉄形の中では比較的、新しい車両であっても、キハ31形の例のように、引退となる車両が現れても不思議がない状況になっている。

 

一方で、今回、紹介の国鉄形気動車の中にも意外に長生きしている車両もある。そんな国鉄形気動車の現状をチェック。まずはキハ32形から見ていこう。

 

 

【国鉄形気動車①】JR化後の四国用に造られたキハ32形

製造年1987年(現存車両数23両)
残る路線JR四国:予讃線、内子線、予土線、土讃線など

 

国鉄分割民営化にあたり、6つのJR旅客会社のうち三島(北海道、四国、九州)の将来を危ぶむ声が強かった。そのため、国鉄では事前に古い気動車に代わる新造車両を用意しておこうと、キハ31形、キハ32形、キハ54形といった気動車を製造した。

 

このうちキハ32形は四国用の車両で、他車両と同じく廃車から発生した部品や、バス用の部品を利用するなどして、コスト削減が図った。さらにワンマン運転用の機器が取り付け可能な形とした。ちなみにトイレは設置されていない。

 

↑全長16.3mと小ぶりなキハ32形。JR四国のローカル線の普通列車に使われている

 

国鉄時代に21両が造られ、主にローカル線の普通列車に使われている。予土線では海洋堂ホビートレインや、新幹線の0系を模した鉄道ホビートレインなど観光列車にリメイクされて、人気となっている。

 

筆者が乗車した時には、トイレがない構造ながら、下り上り列車が行き違う駅で、列車の待ち時間が適度にある。その待ち時間がトイレ休憩となるので、あまり問題にはなっていないようだった。時刻に余裕があるローカル線ならではの話なのだが。

 

↑予土線を走る観光列車「鉄道ホビートレイン」。キハ32形の高知側のみを新幹線0系の形に改造した。この車両を乗りにわざわざ予土線を訪れる鉄道ファンも多い

 

さらに運転台付きのトロッコ形車両、キクハ32形の2両が新造され、この2両がキハ32系の一員に加えられたことから、現存車両数は国鉄時代よりも2両増えている。四国の閑散路線には、ちょうど良いサイズだったこともあり、この先、かなりの期間、使われ続けることになりそうだ。

 

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