【国鉄形気動車④】誕生して40年以上も走り続けたキハ66系
製造年 | 1974年〜1975年(現存車両数28両) |
残る路線 | JR九州:大村線、長崎本線など |
国鉄ではキハ58系といった急行形気動車を1960年代に開発した。キハ58系は計1823両と大量の車両が造られ、各地で運用された。この急行形気動車の技術を引き継ぎ、さらに次世代形の気動車を目指して開発されたのがキハ66系だった。
キハ66系はまず山陽新幹線の博多駅開業に合わせ、新幹線連絡用列車として筑豊本線などの路線用に造られた。従来の急行形気動車よりも、動力性能、乗り心地を良くするなど接客設備の向上が図られた。1976年には優れた車両に贈られるローレル賞(鉄道友の会が選定)も受賞している。しかし、車両自体が重いこと、コスト高といったマイナス面もあり、増備は行われず計30両が製造されたのみとなった。
キハ66系は増備がかなわなかったものの車両性能は優秀だった。その後のキハ40系などにも、その技術が応用されている。
優れた車両だったこともあり長年、使われ続け、残る国鉄形車両の中では、かなりの長寿車両となりつつある。2両のみ廃車となったが、残る28両は、すべて佐世保車両センターに配置され、大村線を中心に走り続けている。
すでに車内外の更新、エンジンなどの機器の交換などの改造が行われている。JR九州では、後継のYC1系ハイブリッド気動車の開発を進めており、キハ66系との入れ替えを発表している。外観はキハ40系に近いが、乗り心地は、まったく違う車両とされている。早めに乗っておいたほうが良い国鉄形気動車の1つと言って良いだろう。
【国鉄形気動車⑤】キハ183系が残るのは石北本線の特急のみ
製造年 | 1979年〜1992年(現存車両数67両・JR九州の車両は除外) |
残る路線 | JR北海道:函館本線、石北線 |
北海道の非電化路線の特急には1960年代からキハ80系が使われてきた。このキハ80系は酷寒地の運転には不向きで、接客設備の貧弱さも目立っていた。代わる車両として、キハ181系をベースに北海道用に開発・製造したのがキハ183系だった。
初期の基本番台は高運転台で非貫通の「スラントノーズ」と呼ばれる先頭車が特徴だった。さらに国鉄最晩年にあたる1986年には500番台と1500番台の後期型が造られ、JR化後も550番台、1550番台という新車両が増備された。
北海道内を走る多くの特急に使われてきたキハ183系だったが、後進の車両が増備されるに従って活躍する路線が減ってきていた。さらに2010年代なかごろには、不具合が相次いで見つかり、列車の減便が余儀なくされた。すでにスラントノーズを特徴としていた基本番台は消え、残るは後期型のみとなり、定期運用は特急「オホーツク」「大雪」と、石北本線(一部は函館本線)を走る特急のみとなっている。
JR北海道はキハ261系の増備を図っている。キハ183系の定期運用はここ数年のうちに消え、あとは臨時列車の運用を残すのみとなっていきそうだ。
ちなみにキハ183系には1000番台が造られている。こちらは国鉄分割民営化された後すぐの、1988年にJR九州が製造した車両で、1階に展望席、2階に運転台がある。現在は特急「あそぼーい!」として活躍している。こちらはキハ183系とはいうものの、形が大きく異なり、国鉄形というよりも、JR形式として見たほうが良いかと思われる。